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認知症の親にイライラしてしまう|同じ話を繰り返す介護に疲れたときの気持ちの整え方

認知症の親にイライラしてしまう|同じ話を繰り返す介護に疲れたときの気持ちの整え方

認知症の親を介護していると、同じことを何度も聞かれたり、さっき説明したことをもう一度尋ねられたりすることがあります。

最初のうちは穏やかに答えられていても、それが一日に何度も続くと、「さっきも言ったよ」「何回説明すればいいの?」と、つい強い言い方をしてしまうこともあるでしょう。

そして、親にきつく当たったあとで、

「もっと優しく接しなければいけないのに」
「認知症なのだから仕方がないと分かっているのに」
「こんなことでイライラする私は冷たいのではないか」

と、自分を責めてしまう方も少なくありません。

けれど、頭では「本人もわざとではない」と理解していても、毎日同じことに対応し続ける私たちの心まで、いつも穏やかでいられるとは限りません。

食事や着替え、通院、服薬、家事、仕事との両立。そこへ何度も繰り返される質問や行動が重なれば、知らないうちに心の余裕が少なくなっていくことがあります。イライラは、親への愛情がなくなった証拠ではなく、「もう少し休みたい」「一人で抱えるのがつらい」という自分の疲れに気づくきっかけになることもあります。

この記事では、認知症の親の同じ話や行動にイライラしてしまうとき、なぜそれほど心が疲れてしまうのかを整理しながら、親への接し方だけではなく、介護する私たち自身の気持ちをどのように守っていけばよいのかを一緒に考えていきます。

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投稿者プロフィール

佐藤 公俊
佐藤 公俊心理カウンセラー
■ 一言キャッチコピー

ストレス・人間関係・自己肯定感の悩みに寄り添い、“話を聴いてもらえる安心”から考え方のクセを整える心理カウンセラー

■ 経歴・実績

心理カウンセラーとして、ストレス、不安、うつ傾向、人間関係、自己肯定感の低さ、仕事やキャリアの悩みなど、幅広いご相談に対応しています。

オンラインを中心にカウンセリングを提供し、安心して本音を話せる時間を大切にしています。

また、人材紹介会社にてキャリアコンサルタントとして転職相談に従事してきた経験もあり、仕事の悩みやキャリアの迷い、職場での人間関係についても、現実的な視点を持ちながらサポートしています。

■ 保有資格

産業カウンセラー

■ 主な相談内容

ストレス・メンタル不調
不安・うつ・気分の落ち込み
職場・家族・恋愛などの人間関係の悩み
自己肯定感の低さ・自己否定
HSP気質・繊細さによる生きづらさ
仕事の悩み・キャリアの迷い
本音が言えない・自分の気持ちが分からない悩み
誰かに話を聴いてほしい時の気持ちの整理

■ カウンセリングの特徴・強み

私が大切にしているのは、まず安心して話せることです。

悩みを抱えている時、人はすぐに答えがほしいとは限りません。アドバイスよりも先に、「まずは話を聴いてほしい」「分かってほしい」と感じていることがあります。

そのため、否定せず、急かさず、話がまとまっていなくても受け止めることを大切にしています。

そのうえで、ストレスや不安の背景にある気持ちを一緒に整理し、自分でも気づきにくい“考え方のクセ”や“認知の歪み”に気づけるようサポートします。

ただ聴くだけで終わるのではなく、話すことで心を整え、必要に応じて日常で実践できる具体的な対処法も一緒に考えていきます。

■ アプローチ方法

クライアント中心療法、来談者中心療法を大切にしながら、認知行動療法、CBTの考え方も取り入れています。

特に、感情・思考・行動のつながりを一緒に見える化し、ストレスや不安が強くなるパターンを整理していきます。

「なぜ同じことで悩みやすいのか」
「どうして自分を責めてしまうのか」
「人間関係で疲れやすい理由は何か」

そういった部分を、無理に決めつけるのではなく、対話を通して一緒に見つけていきます。

■ カウンセラーになったきっかけ

子どもの頃から、自分の気持ちや「嫌だ」という思いをうまく言えない環境で育ちました。

本当はつらいと感じていても、それを言葉にすることが難しく、気持ちを飲み込んでしまうことが多くありました。

その経験から、「自分の気持ちを安心して話せる場所があること」「否定されずに話を聴いてもらえること」が、人にとってどれほど大切なのかを、身をもって感じるようになりました。

大人になってからは、人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして転職相談に携わりました。

そこでは、仕事の悩みやキャリアの迷いだけでなく、職場の人間関係、将来への不安、自信のなさなど、さまざまな思いを抱えた方のお話を聴く機会が多くありました。

相談を受ける中で感じたのは、多くの方が「答え」だけを求めているわけではないということです。

まずは自分の気持ちを整理したい。誰にも言えなかった不安を聴いてほしい。否定されずに、今の思いを受け止めてほしい。

そういった気持ちを抱えながら、一人で頑張っている方がたくさんいることを実感しました。

話を聴いてもらうことで、表情が少し和らいだり、自分の本音に気づいたり、次の一歩を考えられるようになったりする姿を見て、傾聴には人の心を支える力があると感じました。

子どもの頃に感じていた「うまく言えない苦しさ」と、キャリア相談の現場で出会った「誰かに聴いてほしい思い」。

その両方の経験が重なり、安心して本音を話せる場所をつくりたい、一人で抱え込んでいる方の力になりたいと思うようになったことが、心理カウンセラーを目指したきっかけです。

■ 大切にしていること

安心して本音を話せる場づくり
否定せず、そのままを受け止めること
一人ひとりの価値観やペースを尊重すること
話すことで心を整える時間を大切にすること
「話してもいいんだ」と感じられる経験を積み重ねること

■ メッセージ

ストレスや不安、人間関係の悩みの多くは、自分でも気づかない“考え方のクセ”が影響していることがあります。

ただ、そのクセに気づくためには、まず安心して話せることが大切です。

整体で身体を整えるように、心もまた、話すことで少しずつ整っていくことがあります。

「こんなことで相談していいのかな」
「うまく話せるか分からない」
「誰かに聴いてほしいけれど、身近な人には話しにくい」

そんな段階でも大丈夫です。

話がまとまっていなくても、同じ話を繰り返しても、途中で言葉に詰まってもかまいません。

安心して話せる場所として、そして自分の本音に気づき、少しずつ自分らしく生きるための時間としてご利用ください。

目次

同じ話を繰り返されてイライラするのは、冷たいからではありません

同じ話を繰り返されてイライラするのは、冷たいからではありません

認知症の親を介護していると、「今日は何曜日?」「ごはんはまだ?」「明日はどこへ行くの?」と、同じことを何度も尋ねられることがあります。一度や二度なら穏やかに答えられても、それが一日の中で何度も繰り返されると、私たちの心にも少しずつ疲れがたまっていきます。

「さっきも説明したのに」「また同じ話?」と思ってしまい、思わず声が強くなることもあるでしょう。そして、その直後に「認知症なのだから仕方がないのに」「もっと優しくしなければ」と、自分を責めてしまうこともあります。

けれど、イライラしたからといって、親を大切に思っていないわけではありません。毎日の生活を支えながら、同じ質問や行動に繰り返し対応することは、想像以上に気力を使います。むしろ「最近、イライラすることが増えた」と感じたときは、私たち自身の心や体が「少し疲れているよ」と知らせているのかもしれません。

まずは、怒らないように頑張ることよりも、「私は今、かなり余裕がなくなっているのかもしれない」と自分の状態に気づくところから始めてみましょう。

何度も同じ質問に答えることは、思っている以上に心を消耗させます

同じ質問を何度もされると、私たちはつい「さっき答えたのだから、もう分かっているはず」と感じます。けれど、しばらくするとまた同じことを尋ねられ、そのたびに最初から説明し直すことになります。

一つひとつのやり取りだけを見れば、それほど大変そうには感じないかもしれません。しかし、それが朝から晩まで続くと話は違います。食事の準備をしながら答え、洗濯をしながら答え、自分の仕事や用事を中断して答える。こちらが何かに集中しようとした瞬間に、また声をかけられることもあります。

こうした小さな中断が積み重なると、私たちの中には「少しでいいから静かにしてほしい」「自分のことを考える時間がほしい」という気持ちが生まれてきます。

これは、親を邪魔だと思っているからではありません。私たち自身にも休息や自分の時間が必要だからです。

「同じ質問に答えるくらいで疲れるなんて」と、自分の疲れを小さく扱う必要はありません。繰り返し対応することそのものが負担になっていると認めることで、「どうすれば少し休めるだろう」と、自分を守る方向にも目を向けやすくなります。

「また?」と思ってしまう自分を責めなくても大丈夫です

親から同じことを聞かれたとき、心の中で「またか……」と思ってしまうことがあります。その瞬間、「そんなふうに思ってはいけない」と気持ちを打ち消そうとする方もいるかもしれません。

特に、以前は自分を支えてくれた親であれば、「今度は私が支えなければ」「できるだけ優しくしてあげたい」という思いも強くなります。そのため、イライラした自分を見ると、「私は親不孝なのではないか」と感じてしまうこともあります。

けれど、人の気持ちは一つだけではありません。

親を大切に思う気持ちと、「もう疲れた」と感じる気持ちが同時にあっても不思議ではありません。「できることなら穏やかに接したい」と思いながら、「今日はもう何もしたくない」と感じる日があってもいいのです。

大切なのは、「また?」と思った自分を責め続けることではなく、その言葉の奥にある気持ちに目を向けることです。

もしかすると、「昨日からほとんど休めていない」「自分だけが介護している気がする」「誰にも大変さを分かってもらえない」といった疲れが隠れているかもしれません。

イライラを悪い感情として押し込めるより、「私は何に一番疲れているのだろう」と考えてみることで、本当に必要な休息や助けが見えやすくなります。

怒ったあとの罪悪感が、さらに心の余裕を奪うことがあります

何度目かの同じ質問に、つい「さっき言ったでしょ」と強い口調で答えてしまう。その瞬間は抑えられなかったのに、あとから親の表情を思い出して胸が痛くなる。そんな経験をしたことがある方もいるでしょう。

そして、「次は絶対に怒らない」と心に決めます。

ところが、疲れが十分に回復していないまま次の日を迎えると、また同じ場面が起こります。すると再びイライラし、声を荒らげ、そのあとで自分を責める。この繰り返しによって、介護そのものの疲れに加えて、「優しくできない自分への疲れ」まで抱えるようになることがあります。

私たちは、怒ってしまった出来事だけを振り返りがちですが、その前に何があったのかも一緒に見てみることが大切です。

眠れていたでしょうか。食事をゆっくり取れていたでしょうか。仕事や家事で疲れていなかったでしょうか。誰かに介護を代わってもらえる時間はあったでしょうか。

怒りだけを直そうとしても、心の余裕がなくなった原因がそのままであれば、同じことが起こりやすくなります。

「怒ってしまった。私はダメだ」で終わらせず、「それだけ余裕がなくなるほど頑張っていたのかもしれない」と自分の状態を振り返ってみる。その視点を持つことが、親との関係だけでなく、私たち自身を守ることにもつながっていきます。

「さっき言ったのに」が通じない理由を知ると、少し見え方が変わります

「さっき言ったのに」が通じない理由を知ると、少し見え方が変わります

同じ質問を何度もされると、私たちはどうしても「さっき説明したのだから、覚えていてほしい」と思います。それはとても自然な感覚です。昨日まで普通に会話できていた親であれば、なおさら「どうして分からないの?」という戸惑いも生まれやすくなります。

けれど、認知症では、そのとき話した内容を理解できていても、新しい情報として記憶に残しておくことが難しくなっている場合があります。私たちにとっては「5回目の質問」でも、親にとっては「今初めて気になったこと」のように感じられていることもあるのです。

もちろん、仕組みを理解したからといって、急にイライラしなくなるわけではありません。ただ、「何度言えば分かるのだろう」と考え続けるより、「覚えていてほしいという私たちの期待と、今の親の状態にズレがあるのかもしれない」と捉え直すことで、少しだけ気持ちの置き場所が変わることがあります。

親の行動を無理に受け入れようとするのではなく、まずは「今までと同じやり取りが難しくなっている」という変化を知ること。それが、私たち自身の消耗を少し減らすための大切な視点になります。

本人にとっては「何度も聞いている」という感覚がないこともあります

「お昼ごはんはまだ?」と聞かれて、「さっき食べたばかりだよ」と答える。ところが10分ほどすると、また「ごはんは?」と聞かれる。そんな場面が続けば、私たちは「さっき説明したのに」と疲れてしまいます。

けれど、親の側では、食事をしたことや質問したこと自体がうまく記憶に残っていない場合があります。そのため、本人の感覚では「同じことを何度も聞いている」のではなく、その瞬間に生まれた疑問や不安を尋ねているだけ、ということもあります。

そう考えると、私たちが感じている「また同じことを言われた」と、親が感じている「今知りたい」という感覚には、大きな違いがあることが分かります。

もちろん、毎回穏やかに答えられなくてもかまいません。「仕方ない」と自分に言い聞かせ続ける必要もありません。ただ、同じ質問が繰り返されたとき、「わざと困らせているのではなく、本人の中では前のやり取りがつながっていないのかもしれない」と一度考えてみるだけでも、怒りが少しだけ和らぐことがあります。

親の行動を変えることだけに力を使うのではなく、私たちが受け止めやすい見方を持っておくことも、長く介護を続けるうえでは大切です。

「覚えていてほしい」という期待が、知らないうちに苦しさを大きくすることがあります

親子の関係が長ければ長いほど、私たちの中には「このくらいは分かってくれるはず」「これまでできていたのだから、今もできるはず」という感覚が残っています。

特に、以前の親がしっかりしていた場合、その姿を知っているからこそ、今の変化を受け入れることが難しくなります。「前はこんなことなかったのに」と感じるたびに、寂しさや戸惑いが積み重なっていくこともあるでしょう。

すると私たちは、目の前の親に接しながら、無意識のうちに「以前の親ならできたこと」を基準にしてしまいます。その期待と現実の差が大きくなるほど、「どうしてできないの?」という苛立ちも強くなりやすくなります。

だからといって、期待を全部捨てなければならないわけではありません。

「前のように覚えていてほしいと思っているんだな」
「変わっていく親を見ることが、私は寂しいんだな」

そんなふうに、期待の奥にある私たち自身の気持ちに目を向けてみることが大切です。

イライラの中には、怒りだけでなく、寂しさや悲しさ、これからへの不安が混ざっていることがあります。それに気づけると、「怒らないようにしなければ」だけではなく、「私もこの変化についていくのがつらいんだ」と、自分の気持ちを少しやさしく見つめられるようになります。

「わざとやっている」と感じるほど、怒りは強くなりやすくなります

同じ質問を何度もされたり、お願いしたことと違う行動をされたりすると、「私が困ると分かっていてやっているのでは?」と感じてしまうことがあります。

特に、介護で疲れているときほど、私たちの心には余裕がなくなっています。すると、親の何気ない行動まで「また私の仕事を増やした」「こちらの話を全然聞いてくれない」と受け取りやすくなります。

でも、実際に起きていることと、私たちがそこから感じ取った意味は、同じとは限りません。

たとえば「同じことを何度も聞かれた」という出来事に対して、「私を困らせようとしている」と考えれば怒りは強くなります。一方で、「不安になって確認したくなっているのかもしれない」と考えると、同じ出来事でも少し違った受け止め方ができることがあります。

これは、何でも前向きに考えようという話ではありません。疲れるものは疲れますし、腹が立つ日もあります。

ただ、「親の行動」と「私たちの受け取り方」を少し分けてみることで、必要以上に自分を追い詰めずに済むことがあります。そして、それでもイライラが続くなら、それは理解不足ではなく、私たちの心の余裕がかなり少なくなっているサインかもしれません。

次は、怒りを無理に消そうとするのではなく、その奥にある「もう余裕がない」という疲れに目を向けていきましょう。

イライラをなくすより、「もう余裕がない」に気づくことが大切です

イライラをなくすより、「もう余裕がない」に気づくことが大切です

親の行動には理由があると分かっていても、毎日の介護の中でイライラを完全になくすことは簡単ではありません。むしろ、「理解しているのだから怒ってはいけない」と自分に言い聞かせるほど、感情を抑えることに力を使い、さらに疲れてしまうこともあります。

私たちが注目したいのは、「なぜイライラしてしまったのか」という自分の状態です。睡眠不足が続いているのかもしれません。仕事や家事と重なっているのかもしれません。誰にも頼れない状況の中で、ずっと一人で対応してきたのかもしれません。

イライラは、ときに「もうこれ以上はしんどい」「少し休みたい」という心からのサインとして現れます。それを無理に消そうとするより、「今の私はどれくらい余裕が残っているだろう」と確認することのほうが大切です。

親への接し方だけを変えようとするのではなく、私たち自身の疲れ方にも目を向けてみる。そうすることで、怒った自分を責め続けるのではなく、「今は少し休む必要がある」と考えられるようになります。

イライラは、心の余裕が少なくなっているサインでもあります

同じ質問をされた瞬間に、いつも以上に強くイライラしてしまう日があります。昨日までは受け流せていたことなのに、今日はなぜか腹が立つ。そんなときは、その質問だけが原因ではないことも少なくありません。

前の晩によく眠れていなかったり、仕事で嫌なことがあったり、家事がたまっていたり、自分の体調がすぐれなかったり。介護以外の負担が重なっていると、私たちの中に残っている余裕は少なくなります。

コップに少しずつ水がたまっていくように、日々の疲れも少しずつ積み重なります。そして最後の一滴が、親からの「今日は何曜日?」という一言だったのかもしれません。

そう考えると、「こんなことで怒るなんて」と自分を責める必要はありません。見るべきなのは、その一言ではなく、そこに至るまでにどれだけ疲れが積み重なっていたかです。

「最近ちゃんと眠れているかな」
「一人になる時間はあったかな」
「誰かに頼ることができているかな」

そんなふうに、自分の生活を振り返ってみると、怒りの奥にある疲れが見えてきます。イライラそのものを悪者にするのではなく、心の余裕を確認する目印として受け止めてみることが大切です。

怒りそうになったときは、その場で全部解決しようとしなくて大丈夫です

親から同じことを聞かれたとき、「また説明しなきゃ」「ちゃんと分かってもらわなきゃ」と、その場で解決しようとすると、私たち自身が追い込まれてしまうことがあります。

気持ちが高ぶっているときほど、正しく説明しようと頑張っても、言葉が強くなったり、相手の反応にさらに腹が立ったりしやすくなります。そんなときは、まず「今は少し離れたほうがいいかもしれない」と考えてもかまいません。

安全が確保されているなら、別の部屋へ移動する。水を飲む。窓を開ける。深呼吸をする。数分だけ別の作業をする。それだけでも、感情の勢いが少し落ち着くことがあります。

大切なのは、「逃げてはいけない」と思わないことです。少し距離を取ることは、親を見放すことではありません。むしろ、強い言葉をぶつけてしまう前に自分を整えるための時間です。

介護では、何でもその場で完璧に対応しようとすると、私たちの心が持ちません。

「今は答えを出さなくてもいい」
「少し落ち着いてから考えよう」

そんな選択肢を持っておくことで、親にも自分にも無理の少ない関わり方をつくりやすくなります。

「何に一番疲れているのか」を言葉にすると、必要な助けが見えやすくなります

「介護に疲れた」と感じても、その中身は人によって違います。

同じ質問に何度も答えることがつらいのかもしれません。夜中に起こされて眠れないことが一番苦しいのかもしれません。仕事を休みにくいこと、兄弟姉妹が協力してくれないこと、自分の予定をいつも後回しにしなければならないことに疲れている場合もあります。

すべてを「介護が大変」という一言でまとめてしまうと、何を変えれば少し楽になるのか分かりにくくなります。

そこで、「今、一番しんどいのは何だろう」と少し具体的にしてみます。

「夜に何度も起こされるのがつらい」
「一人で全部決めるのがしんどい」
「同じ説明を続けることに疲れている」

ここまで言葉にできると、必要な助けも見つけやすくなります。休息が必要なのか、家族の協力が必要なのか、介護サービスの利用を考えたほうがいいのか、それとも誰かに気持ちを聞いてもらう時間が必要なのか。

イライラを抑える方法だけを探すのではなく、その奥にある負担を見つけていくこと。それが、私たち自身を守りながら介護を続けていくための大切な一歩になります。

認知症の親を支えるためにも、私たち自身が休める時間をつくりましょう

認知症の親を支えるためにも、私たち自身が休める時間をつくりましょう

認知症の親の介護が続くと、「私がやらなければ」「家族なのだから、できるところまで頑張らなければ」と考えてしまうことがあります。けれど、介護には明確な終わりの時間がありません。今日を何とか乗り切っても、明日にはまた食事や通院、服薬、身の回りのことへの対応が始まります。その状態が続けば、どれだけ親を大切に思っていても、私たちの心や体が疲れてしまうのは自然なことです。

だからこそ大切なのは、限界まで頑張ってから休むのではなく、「まだ動けるけれど、そろそろ休んだほうがいい」と思える段階で、自分のための時間を確保することです。

介護を続けるために必要なのは、いつも優しく接することでも、一人ですべてをこなすことでもありません。親を支える人にも、眠る時間、自分の予定を楽しむ時間、誰かに弱音を話す時間が必要です。

「休むことも介護の一部」と考えて、私たち自身が無理を重ねない方法を少しずつ探していきましょう。

一人で全部引き受けることを前提にしなくても大丈夫です

介護が始まった頃は、「できるところまでは家族でやろう」と思っていたとしても、時間がたつにつれて必要な支援が増えていくことがあります。最初は買い物の手伝いだけだったものが、通院の付き添い、食事の準備、服薬の確認、見守りへと広がり、気づけば生活の中心が親の介護になっていることもあるでしょう。

それでも私たちは、「これくらいなら私ができる」「人に頼むほどではない」と考えてしまいがちです。しかし、一つひとつは小さな作業でも、それが毎日続けば負担は大きくなります。

家族に頼めることはないか、介護サービスを利用できる場面はないか、定期的に自分が介護から離れられる時間をつくれないか。一度、今抱えていることを並べてみるのも一つの方法です。

誰かに任せることは、親を大切にしていないということではありません。私たちが疲れ切ってしまう前に、支えてくれる人や仕組みを増やしておくことも、長く親と関わっていくために必要な準備です。

「私がやるしかない」から、「これは誰かに頼めるかもしれない」へ。少し視点を変えるだけでも、心の負担が軽くなることがあります。

介護の方法だけでなく、「自分の気持ち」を話せる相手も必要です

介護について誰かに相談すると、「どんなサービスを使っていますか」「こういう対応をしてみてはどうですか」と、方法について話すことが多くなります。もちろん具体的な情報は大切です。ただ、私たちが苦しくなっているときに必要なのは、解決策だけとは限りません。

「同じことを何度も聞かれて、本当につらい」
「親に優しくできない自分が嫌になる」
「たまには介護のことを何も考えずに過ごしたい」

そんな気持ちは、家族だからこそ言いにくいことがあります。「そんなことを言ったら冷たいと思われるのでは」と心配して、本当の気持ちを飲み込んでしまうこともあるでしょう。

けれど、言葉にしないまま抱えていると、心の中では同じ思いが何度も回り続けます。誰かに話すことで、「私は親に怒っているというより、休めないことに疲れていたんだ」と、自分でも気づいていなかった気持ちが見えてくることがあります。

介護する人にも、何かを決めるためではなく、ただ気持ちを話せる時間が必要です。弱音を言える場所を持つことは、私たちが介護を続けるための大切な支えになります。

「もう疲れた」と言えることも、介護を続けるための大切な時間です

「介護に疲れた」と口にすると、親を見放すように感じてしまう方もいるかもしれません。けれど、「疲れた」という言葉は、「もう親のことを大切に思っていない」という意味ではありません。

毎日向き合ってきたからこそ疲れることがあります。何度も同じ質問に答え、予定を調整し、自分の生活を後回しにしてきたからこそ、「少し休みたい」と思うのです。

限界まで我慢して突然すべてが嫌になる前に、「今日はしんどかった」「もう少し誰かに頼りたい」と言葉にしてみることが大切です。気持ちを外に出すだけでも、張り詰めていたものが少し緩むことがあります。

傾聴ラウンジ「ここより」では、「何から話せばいいのか分からない」「こんなことを言っていいのかな」という状態のままでもお話しいただけます。親にイライラしたこと、優しくできなかった後悔、誰にも言えない疲れも、きれいにまとめてから話す必要はありません。

親を支え続けるためにも、まずは私たち自身が一人で抱え込みすぎないこと。「もう疲れた」と言える時間を持つことも、自分と家族を守るための大切な選択です。

親にイライラしてしまう気持ちも、そのまま「ここより」でお話しいただけます

Two women talk warmly in a cozy pastel living room with plants and a small table, conveying support and care for mental health.

認知症の親を介護していると、

「同じことを何度も聞かれて、もう疲れた」
「つい強い言い方をしてしまった」
「本当は少し離れたいと思っている」
「家族なのに、優しくできない自分が嫌になる」

そんな気持ちを抱えることがあります。

けれど、身近な家族や友人には、「こんなことを言ったら冷たいと思われるかもしれない」「親の介護なのだから仕方がないと言われそう」と考えて、本当の気持ちを話せないこともあるのではないでしょうか。

傾聴ラウンジ「ここより」は、そうした誰かに聞いてほしいけれど、身近な人には話しにくい気持ちを、そのまま言葉にできる場所です。

「介護の方法を知りたい」というときだけでなく、

「今日は本当にしんどかった」
「誰かに分かってほしい」
「答えはいらないから、とにかく話を聞いてほしい」

そんなときにもご利用いただけます。

話す内容をあらかじめ整理する必要はありません。話が途中で変わっても、同じことを何度話しても大丈夫です。解決を急ぐのではなく、そのとき感じていることを一つずつ言葉にしながら、私たち自身の気持ちを少し休ませる時間としてお使いいただけます。

ご予約も難しい手続きはありません。

LINE公式アカウントを友だち追加すると、予約フォームから希望の日時や「よりびと」を選んで、簡単にご予約いただけます。

「もう少し頑張ってから」ではなく、
「今日は少し疲れたな」と感じたときに。

介護について誰にも言えずに抱えている気持ちがあるときは、傾聴ラウンジ「ここより」で、そのままのお気持ちをお話しください。

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