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子どもを叱ったあと後悔する方へ|怒りすぎた自分を責めずに気持ちを整える方法

子どもを叱ったあと後悔する方へ|怒りすぎた自分を責めずに気持ちを整える方法

子どもを叱ったあと、少し時間がたってから「言いすぎてしまった」「あんなに強く怒る必要はなかった」と後悔することはありませんか。子どもの寝顔を見ながら、さっきの表情や自分の言葉を何度も思い返し、「私は親として失格なのではないか」と苦しくなる方もいるかもしれません。

本当は、優しく伝えたかった。落ち着いて話を聞きたかった。それでも、何度言っても動いてくれない、時間に追われている、自分にも余裕がないといった状況が重なると、思っていた以上に強い言葉が出てしまうことがあります。怒りは突然生まれたように見えても、その前には疲れや焦り、我慢、ひとりで頑張り続けてきた苦しさが積み重なっている場合があります。

叱ってしまった自分を振り返ることは大切です。ただし、後悔するたびに「またダメだった」と自分を責め続けても、心の余裕は戻りにくくなります。必要なのは、怒った自分を正当化することでも、厳しく罰することでもありません。「あのとき、私は何に困っていたのだろう」「本当はどうしてほしかったのだろう」と、怒りの奥にある気持ちを少しずつ整理することです。

子どもとの関係は、一度怒ってしまったからといって、すべてが壊れるわけではありません。落ち着いてから言葉を交わし、必要であれば謝り、次に同じことが起きたときの対応を考えることで、関係を整え直すことができます。

この記事では、子どもを叱ったあとに後悔してしまう理由や、怒りの背景に隠れている気持ちを見つめながら、自分を責めすぎずに心を整える方法をお伝えします。今も「怒りすぎてしまった」と苦しくなっている方は、まず、その後悔の奥に子どもを大切にしたい気持ちがあることから、ゆっくり確かめていきましょう。

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投稿者プロフィール

佐藤 公俊
佐藤 公俊心理カウンセラー
■ 一言キャッチコピー

ストレス・人間関係・自己肯定感の悩みに寄り添い、“話を聴いてもらえる安心”から考え方のクセを整える心理カウンセラー

■ 経歴・実績

心理カウンセラーとして、ストレス、不安、うつ傾向、人間関係、自己肯定感の低さ、仕事やキャリアの悩みなど、幅広いご相談に対応しています。

オンラインを中心にカウンセリングを提供し、安心して本音を話せる時間を大切にしています。

また、人材紹介会社にてキャリアコンサルタントとして転職相談に従事してきた経験もあり、仕事の悩みやキャリアの迷い、職場での人間関係についても、現実的な視点を持ちながらサポートしています。

■ 保有資格

産業カウンセラー

■ 主な相談内容

ストレス・メンタル不調
不安・うつ・気分の落ち込み
職場・家族・恋愛などの人間関係の悩み
自己肯定感の低さ・自己否定
HSP気質・繊細さによる生きづらさ
仕事の悩み・キャリアの迷い
本音が言えない・自分の気持ちが分からない悩み
誰かに話を聴いてほしい時の気持ちの整理

■ カウンセリングの特徴・強み

私が大切にしているのは、まず安心して話せることです。

悩みを抱えている時、人はすぐに答えがほしいとは限りません。アドバイスよりも先に、「まずは話を聴いてほしい」「分かってほしい」と感じていることがあります。

そのため、否定せず、急かさず、話がまとまっていなくても受け止めることを大切にしています。

そのうえで、ストレスや不安の背景にある気持ちを一緒に整理し、自分でも気づきにくい“考え方のクセ”や“認知の歪み”に気づけるようサポートします。

ただ聴くだけで終わるのではなく、話すことで心を整え、必要に応じて日常で実践できる具体的な対処法も一緒に考えていきます。

■ アプローチ方法

クライアント中心療法、来談者中心療法を大切にしながら、認知行動療法、CBTの考え方も取り入れています。

特に、感情・思考・行動のつながりを一緒に見える化し、ストレスや不安が強くなるパターンを整理していきます。

「なぜ同じことで悩みやすいのか」
「どうして自分を責めてしまうのか」
「人間関係で疲れやすい理由は何か」

そういった部分を、無理に決めつけるのではなく、対話を通して一緒に見つけていきます。

■ カウンセラーになったきっかけ

子どもの頃から、自分の気持ちや「嫌だ」という思いをうまく言えない環境で育ちました。

本当はつらいと感じていても、それを言葉にすることが難しく、気持ちを飲み込んでしまうことが多くありました。

その経験から、「自分の気持ちを安心して話せる場所があること」「否定されずに話を聴いてもらえること」が、人にとってどれほど大切なのかを、身をもって感じるようになりました。

大人になってからは、人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして転職相談に携わりました。

そこでは、仕事の悩みやキャリアの迷いだけでなく、職場の人間関係、将来への不安、自信のなさなど、さまざまな思いを抱えた方のお話を聴く機会が多くありました。

相談を受ける中で感じたのは、多くの方が「答え」だけを求めているわけではないということです。

まずは自分の気持ちを整理したい。誰にも言えなかった不安を聴いてほしい。否定されずに、今の思いを受け止めてほしい。

そういった気持ちを抱えながら、一人で頑張っている方がたくさんいることを実感しました。

話を聴いてもらうことで、表情が少し和らいだり、自分の本音に気づいたり、次の一歩を考えられるようになったりする姿を見て、傾聴には人の心を支える力があると感じました。

子どもの頃に感じていた「うまく言えない苦しさ」と、キャリア相談の現場で出会った「誰かに聴いてほしい思い」。

その両方の経験が重なり、安心して本音を話せる場所をつくりたい、一人で抱え込んでいる方の力になりたいと思うようになったことが、心理カウンセラーを目指すきっかけです。

■ 大切にしていること

安心して本音を話せる場づくり
否定せず、そのままを受け止めること
一人ひとりの価値観やペースを尊重すること
話すことで心を整える時間を大切にすること
「話してもいいんだ」と感じられる経験を積み重ねること

■ メッセージ

ストレスや不安、人間関係の悩みの多くは、自分でも気づかない“考え方のクセ”が影響していることがあります。

ただ、そのクセに気づくためには、まず安心して話せることが大切です。

整体で身体を整えるように、心もまた、話すことで少しずつ整っていくことがあります。

「こんなことで相談していいのかな」
「うまく話せるか分からない」
「誰かに聴いてほしいけれど、身近な人には話しにくい」

そんな段階でも大丈夫です。

話がまとまっていなくても、同じ話を繰り返しても、途中で言葉に詰まってもかまいません。

安心して話せる場所として、そして自分の本音に気づき、少しずつ自分らしく生きるための時間としてご利用ください。

目次

子どもを強く叱ったあと、後悔が止まらなくなるとき

子どもを強く叱ったあと、後悔が止まらなくなるとき

子どもに強い言葉をぶつけたあと、静かになった部屋で「どうしてあんな言い方をしてしまったのだろう」と胸が苦しくなることがあります。叱っている最中は必死だったのに、少し時間がたつと子どもの表情が思い浮かび、「怖い思いをさせたかもしれない」「心に傷を残したのではないか」と、自分を責める気持ちが大きくなってしまうのです。

寝る前になっても気持ちを切り替えられず、何度も同じ場面を思い出す方もいるでしょう。「もっと優しく伝えればよかった」「親なのだから感情を抑えるべきだった」と考え続け、自分は子育てに向いていないのではないかと感じることもあるかもしれません。

けれども、強く叱ってしまった場面だけを見て、「私は悪い親だ」と決める必要はありません。そのときのあなたには、時間に追われる焦りや、何度伝えても分かってもらえない苦しさ、休む間もなく家事や仕事を続けてきた疲れがあったのではないでしょうか。怒りは、その瞬間だけに突然生まれるものではなく、それまで抑えてきた気持ちや負担が重なった末に表れることがあります。

もちろん、子どもを傷つけるような言葉をそのままにしてよいわけではありません。ただ、自分を責め続けるだけでは、心の余裕はなかなか戻ってきません。大切なのは、「怒ってしまった私は最低だ」と裁くことではなく、「あのとき、私はどれほど疲れていたのだろう」「本当は何に困っていたのだろう」と、自分の内側を振り返ることです。

私たちは、叱ったあとに後悔する気持ちの中には、子どもを大切にしたい思いが含まれていると考えています。どうでもよいと思っているなら、これほど悩むことはないでしょう。後悔はつらいものですが、親子の関わり方を見直す入口にもなります。まずは、強く叱ってしまった事実と、自分のすべてを同じものとして扱わないことから始めてみましょう。

叱った場面を何度も思い出してしまうのはなぜ?

子どもを強く叱ったあと、その場面が頭から離れなくなることがあります。洗い物をしているときや、お風呂に入っているとき、布団に入ったあとにも、子どもの驚いた顔や泣いていた姿が浮かび、「あの言葉は言わないほうがよかった」と何度も考えてしまうのです。

私たちの心は、自分にとって大切な出来事ほど繰り返し思い返す傾向があります。特に、「もっと違う対応ができたはずだ」という思いが残っていると、頭の中で場面を再生しながら、別の答えを探そうとします。けれども、どれだけ考えても過去の場面は変えられないため、次第に反省が自分への攻撃へと変わってしまうことがあります。

たとえば、「今日は余裕がなかった」と振り返るだけなら、次に向けた手がかりになります。ところが、「また怒ってしまった」「私はいつも失敗する」「こんな親では子どもがかわいそうだ」と考えが広がると、一つの出来事から自分の人格全体を否定する方向へ進んでしまいます。

このようなときは、頭の中だけで反省を続けるよりも、紙やスマートフォンのメモに事実を書き出してみる方法があります。「子どもが片づけなかった」「三回声をかけた」「私は大きな声を出した」「子どもが泣いた」というように、評価を入れずに並べてみます。

そのあとで、「私は焦っていた」「何度言っても伝わらず悲しかった」「一人で全部やることに疲れていた」と、自分の気持ちを書き足してみてください。事実と気持ちを分けると、「悪い親だから怒った」のではなく、余裕を失うだけの背景があったことに気づきやすくなります。

繰り返し思い出してしまうのは、あなたがその出来事を軽く考えていないからです。ただし、何時間も自分を責め続けることが、子どものためになるとは限りません。振り返る時間を持ったあとは、「明日、落ち着いて話そう」「次は一度その場を離れよう」と、これからできることへ少しずつ意識を移していきましょう。

「私は親として失格かもしれない」と感じてしまうとき

強く叱ったあとに、「こんな私は親失格だ」と感じる方は少なくありません。普段は子どもの食事を用意し、体調を気にかけ、学校や園の予定を確認しながら、毎日たくさんのことをしているのに、怒ってしまった一場面だけが大きく見えてしまうことがあります。

特に、子育てについて真面目に考えている方ほど、「親はいつも穏やかでなければならない」「子どもの気持ちをきちんと受け止めなければならない」という理想を持っています。その理想と実際の自分に差が生まれたとき、「できなかった私はダメだ」と感じやすくなるのです。

けれども、親であっても一人の人間です。眠れていない日もあれば、仕事で嫌なことがあった日もあります。体調が悪い日や、家族から十分な協力を得られず、気力が残っていない日もあるでしょう。そのような状況でも、いつも同じように穏やかでいることは簡単ではありません。

大切なのは、「怒らなかった親」になることよりも、怒ってしまったあとに自分の言動を振り返り、必要な言葉を子どもへ届けることです。「さっきは大きな声を出してごめんね」「言いたかったのは、あなたが嫌いということではないよ」と伝えることで、親子の間にできた小さな溝を埋めることができます。

子どもに謝ると、親としての立場が弱くなるのではないかと心配する方もいます。しかし、間違ったときに謝る姿を見せることは、「失敗しても関係を直せる」「自分の言葉に責任を持てる」ということを子どもへ伝える機会にもなります。

「親失格」という言葉は、とても強い言葉です。一度の失敗だけで、これまで続けてきた子育てのすべてを否定してしまいます。そんな言葉が浮かんだときは、「今日は余裕がなくて、強く言いすぎた」「この部分は謝りたい」と、より具体的な表現に言い換えてみてください。

私たちは、完璧な親を目指すよりも、間違いに気づいたあとに関係を整えようとする姿勢のほうが、親子にとって大切だと考えています。失敗した自分を切り捨てるのではなく、「ここから何ができるだろう」と考えることが、心を少しずつ落ち着かせてくれます。

後悔の奥には、子どもを大切にしたい気持ちがあります

叱ったあとに後悔するのは、「本当はあんな言い方をしたくなかった」という思いがあるからです。自分の言葉で子どもを傷つけたかもしれないと感じ、胸が痛むのは、子どもの心を大切にしたい気持ちがあるからでしょう。

ただ、後悔している最中は、その愛情が見えにくくなります。「怒ってしまった」という事実ばかりに意識が向き、自分の中にある優しさや、これまで子どもへ注いできた時間まで否定したくなることがあります。

けれども、子育ては一つの場面だけで決まるものではありません。朝起こしたこと、食事を用意したこと、話を聞いたこと、忘れ物がないか確認したこと、体調を心配したこと。そのような小さな関わりが積み重なって、親子の関係はつくられています。強く叱ってしまった一度の出来事が、そのすべてを消してしまうわけではありません。

後悔が浮かんだときは、「私は何を大切にしたかったから、こんなに苦しくなっているのだろう」と自分に問いかけてみてください。「子どもに安心してほしかった」「約束を守れるようになってほしかった」「危険なことから守りたかった」など、怒りの奥に願いが見つかるかもしれません。

その願いが分かると、子どもへ伝える言葉も変わります。「どうして何度言っても分からないの」と責める代わりに、「道路に飛び出すと危ないから心配だった」「朝の準備が遅れると私も焦ってしまう」と、自分の気持ちや理由を言葉にしやすくなります。

また、子どもへ謝るときも、長い説明をしなくて大丈夫です。「大きな声で言ったことはごめんね」「怖かったよね」と、子どもが感じたことに触れながら、短く伝えるだけでも意味があります。そのうえで、「片づけてほしかったことは変わらないから、一緒にやり方を考えよう」と話せば、謝ることと、必要なルールを伝えることを両立できます。

後悔をなくそうと無理をする必要はありません。まずは、その苦しさを「子どもを大切に思っているからこそ生まれた気持ち」と捉えてみましょう。私たちは、後悔を自分への罰にするのではなく、親子の関わりを少しやわらかくするための手がかりに変えていくことが大切だと考えています。

怒りすぎてしまう背景には、親の疲れや焦りが隠れています

怒りすぎてしまう背景には、親の疲れや焦りが隠れています

子どもに強く言いすぎてしまったとき、私たちは「もっと感情を抑えればよかった」「どうしてあんなことで怒ってしまったのだろう」と、怒りそのものだけを問題にしがちです。しかし、怒りが大きくなった理由を丁寧に振り返ってみると、その少し前から、疲れや焦り、不安、寂しさといった別の感情が積み重なっていたことがあります。

たとえば、朝の支度がなかなか進まない場面でも、時間に余裕がある日なら「そろそろ着替えようね」と声をかけられるかもしれません。ところが、寝不足が続いていたり、仕事の予定が迫っていたり、自分の準備が終わっていなかったりすると、同じ出来事でも受け止め方が変わります。「どうして今やってくれないの」「何度言えば分かるの」と、普段より強い言葉が出やすくなるのです。

このとき、本当に苦しかったのは、子どもがすぐに動かなかったことだけではないかもしれません。「遅刻したらどうしよう」「また私が全部やらなければならない」「誰も私の大変さを分かってくれない」といった思いが重なり、心の中に残っていた余裕が少なくなっていた可能性があります。

怒りは、私たちの中にある困りごとや限界を知らせるサインでもあります。だからこそ、怒った自分を責めるだけではなく、その前に何が起きていたのかを知ることが大切です。疲れていたのか、時間に追われていたのか、ひとりで抱えすぎていたのか。それが分かると、次に必要なのは「もっと我慢すること」ではなく、予定を減らすことや、家族に協力を求めること、ほんの少し休むことかもしれません。

もちろん、背景に事情があれば、どのような叱り方をしてもよいという意味ではありません。ただ、「私は怒りっぽい親だから」と自分の性格だけで片づけてしまうと、同じ状況が起きたときにできる工夫が見つかりにくくなります。私たちと一緒に、怒りの表面だけでなく、その下に隠れている気持ちや負担へ目を向けてみましょう。

何度言っても動いてくれないと、心がすり減っていく

子どもに「着替えてね」「片づけようね」「そろそろ宿題を始めよう」と声をかけても、なかなか動いてくれないことがあります。一度なら待てても、二度、三度と同じことを伝えているうちに、声が少しずつ大きくなってしまうこともあるでしょう。

親から見ると、「聞こえているのに無視している」「わざと困らせている」ように感じられることがあります。自分は次の予定を考え、家事や仕事を進めながら声をかけているため、子どもが遊び続けている姿を見ると、「私ばかりが頑張っている」という気持ちになるかもしれません。

けれども、子どもは大人と同じように、言われたことをすぐ行動へ移せるとは限りません。遊びに集中していて言葉が十分に入っていないこともあれば、次に何をすればよいか分からず止まっていることもあります。また、「片づけて」という言葉が子どもにとっては広すぎて、どこから手をつけるのか判断できない場合もあります。

だからといって、毎回穏やかに対応できなくても不思議ではありません。同じ説明や声かけを繰り返すことは、想像以上に気力を使います。子どもに合わせようと頑張るほど、親の中には「もう分かってほしい」「これ以上説明する元気がない」という思いがたまっていきます。

そんなときは、「怒らないようにしなければ」と気持ちだけを抑える前に、声のかけ方や環境を小さく変えてみる方法があります。たとえば、「片づけて」ではなく、「赤い箱にブロックを入れよう」と具体的に伝える。離れた場所から何度も声をかけるのではなく、近くへ行って目線を合わせる。時間を知らせるときは、「あと五分で終わり」と予告する。すべてがうまくいくわけではありませんが、親が繰り返し注意する回数を少し減らせることがあります。

また、「何度も言うことに疲れた」という自分の気持ちを認めることも大切です。「この程度で疲れるなんて」と否定せず、「毎日同じことを伝え続けているのだから、疲れて当然だ」と受け止めてみてください。

私たちは、怒りを減らすためには、親だけが忍耐力を増やすのではなく、親子の双方が動きやすくなる仕組みを考えることが必要だと思っています。強く叱ってしまった日は、「私は何回目の声かけで苦しくなったのだろう」と振り返るだけでも、次の場面でできる工夫が見つかりやすくなります。

時間に追われていると、いつもの出来事が大きな問題に見える

朝の登園や登校前、出かける直前、夕食から入浴、就寝へと進めたい時間帯。子育てには、時計を見ながら行動しなければならない場面がたくさんあります。そんなときに子どもがゆっくり靴を履いていたり、急に別の遊びを始めたりすると、親の中に強い焦りが生まれます。

「このままでは遅れる」「予定に間に合わない」「また私が謝らなければならない」と考えると、子どもの一つひとつの行動が、予定を邪魔するもののように感じられることがあります。本当は数分の遅れだったとしても、気持ちの中では大きな失敗につながるように思えてしまうのです。

焦りが強くなると、私たちの視野は狭くなります。「今すぐ動かせなければ」という思いが中心になり、子どもが何を感じているのか、自分がどれほど緊張しているのかを考える余裕がなくなります。その結果、「早くして!」「いい加減にして!」という言葉が勢いよく出てしまいます。

このような場面では、怒りを我慢することだけを目標にするよりも、「私は今、時間に間に合わないことが怖いのだ」と気づくことが助けになります。怒りの下にある焦りが分かると、「子どもに腹が立っている」という見方から、「予定どおりに進まないことに不安を感じている」という見方へ変わるからです。

できる範囲で、予定そのものに余白をつくる方法もあります。出発時間を五分だけ早く設定する、朝に決めることを減らす、前日のうちに服や持ち物を準備するなど、親の判断回数を減らすと心の負担も軽くなります。ただし、毎日余裕を持って動けるとは限りません。仕事やきょうだいの予定があり、どうしても急がなければならない日もあるでしょう。

そんな日は、子どもに短く状況を伝えてみてください。「今日は八時に家を出ないと間に合わなくて、私は少し焦っているよ」「一人では間に合わないから、靴下を履くところまで手伝ってほしい」と、自分の状態と頼みたいことを分けて伝えます。

それでも強く叱ってしまった場合は、あとから「急いでいて大きな声になった。怖かったよね」と言葉をかけることができます。時間に追われた自分を責め続けるのではなく、次に少しだけ余裕を増やすにはどうするかを考える。その積み重ねが、同じ場面での苦しさを和らげてくれます。

本当は「少し休みたい」「誰かに助けてほしい」のかもしれない

子どもへ怒りをぶつけたあと、自分でも驚くほど感情が大きかったと感じることがあります。「おもちゃを片づけなかっただけなのに、どうしてあそこまで怒ったのだろう」と思うなら、その出来事以外にも疲れが積み重なっていなかったか振り返ってみてください。

子育てでは、目に見える家事だけでなく、たくさんのことを頭の中で管理しています。明日の持ち物、学校や園からの連絡、食事の献立、予防接種や通院の予定、子どもの体調や人間関係。家族から見ると何もしていないように見える時間にも、親の頭の中では次の予定や心配事が動き続けています。

「頼まなくても気づいてほしい」「少しくらい代わってほしい」と思っていても、うまく言えずに抱え込んでしまう方もいます。助けを求めたときに嫌な顔をされた経験があったり、「親なのだから自分でやるべきだ」と考えていたりすると、限界が近づいても頑張り続けてしまいます。

その結果、本当は家族や周囲へ向いていた「助けてほしい」という気持ちが、目の前にいる子どもへ怒りとして表れることがあります。子どもが原因というより、これ以上抱えられないほど心と体が疲れていたのです。

こうした状態に気づいたときは、まず自分の負担を具体的な言葉にしてみましょう。「寝不足が三日続いている」「今日は仕事で気を張っていた」「夕食から寝かしつけまで一人で対応するのがつらい」など、何に疲れているのかを細かく見ていきます。「子育てがつらい」という大きな言葉だけでは分からなかった助け方が、見つかるかもしれません。

家族に頼むときも、「もっと手伝って」ではなく、「今夜は食器を洗ってほしい」「子どものお風呂をお願いしたい」と具体的に伝えると、相手も行動しやすくなります。身近な人へ頼みにくい場合は、家事サービス、一時保育、地域の相談窓口など、家庭の外にある助けを検討してもよいでしょう。

また、まとまった休みが取れなくても、子どもが安全に過ごせる状態をつくり、五分だけ別の部屋で深呼吸する、温かい飲み物を一杯飲むなど、小さく休む方法もあります。

私たちは、「少し休みたい」と思うことは、親としての愛情が足りない証拠ではないと考えています。休みたいのは、これまで十分に頑張ってきたからです。怒りが強くなったときは、自分を責める前に、「私は今、何を一人で抱えているのだろう」と問いかけてみてください。その答えが、気持ちを整えるための大切な手がかりになります。

「怒ってしまった私はダメ」と決めつけず、考え方を整理してみる

「怒ってしまった私はダメ」と決めつけず、考え方を整理してみる

子どもを強く叱ったあと、私たちの頭にはさまざまな言葉が浮かびます。「また怒ってしまった」「私は母親として失格だ」「こんな家庭では、子どもの心に悪い影響が残るかもしれない」。その瞬間は、どの言葉も事実のように感じられるかもしれません。

けれども、ここで少し立ち止まってみると、「子どもを強く叱った」という出来事と、「私は親として失格だ」という判断は、同じものではないことに気づきます。前者はその場で起きたことですが、後者は出来事を受けて頭の中に浮かんだ考えです。

強い後悔や罪悪感を抱えているときは、この二つが重なりやすくなります。一度言いすぎたことから、「私はいつも感情的だ」「子どもとの関係はもう壊れてしまった」と、結論を大きく広げてしまうこともあります。すると、必要な振り返りを越えて、自分の存在そのものを責める状態になってしまいます。

反省することと、自分を傷つけ続けることは違います。反省には、「どの言葉が強すぎたのか」「次は何を変えたいのか」という具体的な視点があります。一方、自分を責め続けるときは、「私が悪い」「何をしてもダメ」と考えが抽象的になり、これからできる行動が見えなくなります。

そこで役立つのが、出来事、頭に浮かんだ考え、感じた気持ちを分けて整理する方法です。たとえば、「子どもが約束の時間になってもゲームをやめなかった」が出来事です。「私の話を軽く扱っている」「こんな状態がずっと続くかもしれない」が考えです。そして、「腹が立った」「悲しかった」「不安だった」が気持ちです。

これらを分けてみると、怒りの奥にあった本当の心配や願いが見つかることがあります。私たちは、考え方を無理に前向きに変える必要はないと考えています。大切なのは、一つの厳しい見方だけに縛られず、今の自分が受け止められる、少し現実的でやわらかな見方を探すことです。

「いつも優しい親でいるべき」という思いが自分を追い詰める

子育てについて調べていると、「子どもの気持ちを受け止めましょう」「感情的に怒らず、落ち着いて伝えましょう」といった言葉を目にします。どれも大切な考え方ですが、真面目に取り組もうとするほど、「親はいつも優しくなければならない」という強い決まりに変わってしまうことがあります。

「子どもの話は最後まで聞くべき」「どんなに疲れていても感情を抑えるべき」「親なのだから自分より子どもを優先すべき」。このような考えが強くなると、できなかった日の自分を許せなくなります。一度大きな声を出しただけでも、「親として守るべきことを破ってしまった」と感じ、必要以上に落ち込んでしまうのです。

もちろん、子どもへ落ち着いて接することは大切です。ただ、「できるだけ穏やかに伝えたい」という希望と、「何があっても穏やかでいなければならない」という義務は違います。前者には、できない日があってもまた試してみようという余地があります。後者には、失敗を許す余地がほとんどありません。

このように「こうあるべき」という考えが強くなっていると気づいたら、言葉を少し変えてみましょう。「私はいつも優しくあるべき」を、「できる範囲で落ち着いて伝えたい」に変えます。「怒ってはいけない」を、「怒りを感じても、傷つける言い方を減らしていきたい」と言い換えてみてもよいでしょう。

言い換えることは、子どもへの接し方を甘くすることではありません。実際の自分に合った目標へ調整することです。達成できないほど高い目標を掲げると、失敗するたびに自己否定が強くなり、さらに心の余裕を失ってしまいます。反対に、「今日は一度でも声を落として話せた」「怒ったあとに謝れた」と、小さな変化を見つけられると、次の行動につながります。

また、優しい親とは、一度も怒らない親だけを指すわけではありません。自分の言い方を振り返り、子どもの気持ちを想像し、必要なときに関係を整え直そうとすることも、十分に優しさの一部です。

私たちは、「理想の親になれなかった」と自分を責めるより、「今日の自分にできる、少し丁寧な関わりは何だろう」と考えることを大切にしています。完璧でなくても、昨日より一つだけ選び方を変える。その積み重ねが、親子にとって無理のない関わり方をつくっていきます。

一度怒っただけで「悪い親」と決めつけない

子どもに言いすぎたあと、「こんな怒り方をする私は悪い親だ」と考えてしまうことがあります。けれども、この考え方には、一度の行動から自分全体を決めつけてしまう苦しさがあります。

たとえば、忙しい朝に「早くして!」と大声を出してしまったとします。その言い方については、振り返る必要があるかもしれません。しかし、「大声を出した」という一つの行動から、「私は子どもを大切にできない親だ」と結論づけると、それまでの関わりがすべて見えなくなってしまいます。

体調を心配して看病したこと、学校であった話を聞いたこと、好きな食事を用意したこと、眠れない夜にそばにいたこと。親子の日常には、叱った場面以外にも多くの時間があります。それらを含めず、失敗した場面だけで自分を評価するのは、少し厳しすぎる見方かもしれません。

「悪い親」という言葉が浮かんだときは、人格ではなく行動について考えてみましょう。「私は悪い親だ」ではなく、「今日は言葉が強くなりすぎた」と表現します。「子どもを傷つけてばかりだ」ではなく、「さっきの言い方は、子どもを怖がらせたかもしれない」と具体的にします。

具体的に考えると、変えられる部分が見えてきます。「大きな声を出したことは謝ろう」「次は、最初の一言を短くしよう」「疲れが強い日は、家族に早めに伝えよう」と、次の行動を選びやすくなります。一方、「私は悪い親だ」という大きな言葉のままでは、何をすればよいのか分からず、ただ落ち込むだけになりがちです。

自分を責める気持ちが強いときは、親しい人が同じ失敗をしたと想像してみる方法もあります。友人が「子どもに言いすぎてしまった。私は最低だ」と話したら、あなたは何と声をかけるでしょうか。「本当に最低だね」とは言わず、「疲れていたんだね」「言いすぎた部分は謝ればいいよ」と伝えるのではないでしょうか。

その言葉を、自分にも向けてみてください。自分にだけ厳しい判定を下していないか、立ち止まって確かめます。

私たちは、行動を振り返ることは必要でも、存在そのものを否定する必要はないと考えています。よくなかった言葉があれば、その部分を認めて整え直す。それは「悪い親」だからすることではなく、子どもとの関係を大切にしたい親だからできることです。

出来事・考え・感情を分けると、怒りの奥が見えてくる

怒りが大きくなった場面を振り返ろうとしても、「とにかく腹が立った」「子どもが言うことを聞かなかった」としか思い出せないことがあります。そのようなときは、起きたことと、自分が考えたこと、感じたことを分けて書き出してみると、気持ちを整理しやすくなります。

たとえば、子どもが宿題をせずに動画を見続けていた場面を考えてみましょう。

出来事は、「宿題をする約束の時間を過ぎても、子どもが動画を見ていた」「二回声をかけたが、すぐには動かなかった」と表せます。

そのとき頭に浮かんだ考えは、「私の話を無視している」「このままでは、何も自分でできない子になる」「私が厳しく言わないと、ずっと変わらない」といったものかもしれません。

そして感情には、怒りだけでなく、「この先が心配」「何度伝えても届かなくて悲しい」「毎日同じことの繰り返しで疲れた」といった気持ちが含まれている可能性があります。

このように分けると、目の前の子どもに対する怒りだけではなく、将来への不安や、自分の努力が報われないような寂しさが重なっていたことに気づけます。「宿題をしなかったから怒った」と思っていた場面が、実は「この子の将来を私が何とかしなければ」という強い責任感によって、さらに苦しくなっていたのかもしれません。

次に、頭に浮かんだ考えが、すべて確実な事実なのかを確認してみます。約束の時間に動けなかったことは事実ですが、「私の話を無視している」とまでは言い切れないかもしれません。動画に集中して切り替えられなかった可能性もあります。「何も自分でできない子になる」という未来も、今の一場面だけで決まるものではありません。

ここで大切なのは、「子どもは悪くない」と無理に思い込むことではありません。「別の見方もあるかもしれない」と、考えに少し余白をつくることです。

たとえば、「約束を守ってほしい気持ちはある。でも、この一回だけで将来が決まるわけではない」「私は二回声をかけて疲れている。まず気持ちを落ち着けてから、やり方を話そう」と考え直すことができます。

怒りが強い最中に、ここまで整理するのは難しいでしょう。その場では「今は話すと強く言いそうだから、少し離れるね」と伝え、落ち着いてから振り返るだけでも十分です。

私たちは、考え方を整理する目的は、怒りを完全になくすことではないと考えています。怒りの奥にある不安や疲れを知り、子どもへぶつける以外の伝え方を少しずつ増やすことです。自分の心の動きが分かるようになると、「今、私は余裕を失いかけている」と、爆発する前に気づける場面も増えていきます。

叱ったあとからでも、親子の関係は整え直せます

叱ったあとからでも、親子の関係は整え直せます

子どもに強く言いすぎたあと、「もう取り返しがつかないかもしれない」と不安になることがあります。子どもが黙り込んでいたり、自分から離れていったりすると、「嫌われてしまったのではないか」「心に深い傷を残してしまったのではないか」と、さらに後悔が強くなるかもしれません。

けれども、親子の関係は、一度のやり取りだけで決まるものではありません。毎日の生活の中で言葉を交わし、すれ違ったときには話し直し、ときには謝りながら、少しずつつくられていくものです。強く叱ってしまったことをなかったことにはできませんが、そのあとにどう関わるかは選ぶことができます。

大切なのは、後悔した気持ちを自分の中だけで抱え続けるのではなく、落ち着いたときに子どもとの間へ戻っていくことです。「さっきは大きな声を出してごめんね」と伝えることは、親としての立場を失うことではありません。自分の言葉を振り返り、相手がどのように感じたかを大切にする姿を見せることでもあります。

ただし、謝ることと、必要なことを伝えることは両立できます。たとえば、「大きな声で怒ったことはごめんね。でも、道路に飛び出すことが危ないという気持ちは変わらないよ」と話すことができます。言い方については謝りながら、守ってほしい約束や家庭のルールは、落ち着いた言葉で改めて伝えればよいのです。

また、同じ場面を二度と起こさないように完璧な対策を立てる必要もありません。「次は怒る前に一度水を飲む」「朝の準備を一つだけ前日に済ませる」「一人で難しい日は家族に頼む」など、小さな工夫から始めてみましょう。

私たちは、親子の関係に必要なのは、失敗しないことではなく、失敗したあとに戻ってこられることだと考えています。怒ってしまった自分を責めるだけで終わらせず、子どもと自分の気持ちを少しずつつなぎ直していく。その経験は、親子の間に「うまくいかないときも、また話し合える」という安心を育ててくれます。

落ち着いてから、短く分かりやすい言葉で謝る

子どもに言いすぎたと気づいたとき、「すぐに謝らなければ」と焦ることがあります。しかし、まだ怒りや動揺が残っている状態で話し始めると、謝るつもりが長い言い訳になったり、再び子どもを責めたりしてしまうことがあります。

まずは、親自身が少し落ち着く時間を持っても大丈夫です。深呼吸をする、水を飲む、洗面所で顔を洗うなど、短い時間でも気持ちを切り替える行動を挟みます。そのうえで、子どもの近くへ戻り、できるだけ短い言葉で伝えてみましょう。

たとえば、「さっきは大きな声で怒ってごめんね」「怖い言い方になってしまったね」といった言葉です。ここで大切なのは、「でも、あなたが言うことを聞かなかったから」と、すぐに子どもの責任へ話を戻さないことです。

謝る場面では、まず自分の言い方について認めます。「大きな声を出したこと」「傷つく言葉を使ったこと」「話を聞かずに決めつけたこと」など、謝りたい部分を具体的にすると、子どもにも伝わりやすくなります。

一方で、「ママは最低だよね」「こんな親でごめんね」と、自分を強く責める言葉を子どもへ向ける必要はありません。子どもが親を慰めなければならない雰囲気になると、子ども自身の怖かった気持ちや悲しかった気持ちを表しにくくなるからです。

「私は悪い親だ」と伝えるのではなく、「あの言い方はよくなかった」と、行動について話すことを意識してみてください。すると、親も子どもも、何を整え直せばよいのかが分かりやすくなります。

子どもがすぐに返事をしてくれないこともあります。「もういいよ」と言うこともあれば、黙ったまま遊びへ戻ることもあるでしょう。その反応を見て、「許してくれなかった」と決めつけなくても大丈夫です。子どもにも気持ちを落ち着ける時間が必要な場合があります。

「今すぐ話さなくても大丈夫だよ。話したくなったら聞かせてね」と伝え、少し待ってみましょう。謝ったあとに普段どおり食事を用意したり、必要な世話を続けたりすることも、安心を取り戻す関わりの一つです。

私たちは、謝る言葉は長さよりも、誠実さが大切だと考えています。完璧な説明を用意しなくても、「言いすぎたことに気づいている」「あなたの気持ちを大切にしたい」という姿勢は伝わります。短く謝り、その後の関わりを丁寧に重ねることが、親子の関係を少しずつやわらかくしてくれます。

怒った言い方と、伝えたかった内容を分けて話す

子どもに謝ろうとすると、「謝ったら、注意したことまで間違いだったと思われるのではないか」と迷うことがあります。特に、危険な行動や家庭の約束について叱った場合は、「ここで譲ったら、また同じことをするかもしれない」と不安になるかもしれません。

けれども、強すぎた言い方について謝ることと、伝える必要があった内容を取り下げることは別です。二つを分けて話すことで、子どもにとっても理解しやすい伝え方になります。

たとえば、子どもが道路へ飛び出そうとして、思わず「何を考えているの!」と怒鳴ってしまったとします。落ち着いてから、「大きな声で怖い言い方をしてごめんね」と謝ることができます。そのあとで、「車が来る場所へ飛び出すと、けがをするかもしれなくて心配だった。道路では手をつないで歩こう」と、伝えたかった内容を改めて話します。

宿題や片づけの場面でも同じです。「あなたは何を言ってもできないね」と言ってしまったなら、「できない人のように言ったことはごめんね」と謝ります。そのうえで、「宿題を始める時間については、一緒に決めたい」「床のおもちゃは踏むと危ないから、寝る前に片づけたい」と、必要な部分を具体的にします。

このとき、「言うことを聞きなさい」という大きな要求ではなく、子どもにしてほしい行動を一つずつ伝えることがポイントです。「ちゃんとして」ではなく、「使った鉛筆を箱へ戻そう」、「早くして」ではなく、「今は靴下を履こう」と言葉を小さくします。

子ども側の気持ちを聞く余裕があれば、「あのとき、どうしたかったの?」と尋ねてみてもよいでしょう。遊びを途中でやめたくなかった、何を片づければよいか分からなかった、親の声が怖くて動けなくなったなど、親からは見えなかった事情が分かることがあります。

ただし、尋ねても子どもがうまく説明できない場合があります。そのときは、答えを急がせず、「急に終わりと言われて嫌だったのかな」「何から始めるか分からなかった?」と、いくつかの可能性を提示してみましょう。

私たちは、しつけや約束を伝えることと、子どもの気持ちを尊重することは、どちらか一方を選ぶものではないと考えています。必要なことは伝えながら、怖がらせた言い方については認める。そのような関わりを重ねることで、子どもは「注意されても、自分の存在まで否定されたわけではない」と感じやすくなります。

親にとっても、言い方と内容を分ける習慣がつくと、「謝ったら負け」という感覚から離れやすくなります。謝ることは、親としての役割を手放すことではありません。より伝わりやすい方法で、もう一度伝え直すための一歩です。

次に同じ場面が来たときの対処を一つだけ決める

子どもを叱ったあと、「もう二度と怒らない」と強く決意することがあります。その気持ちは真剣ですが、目標が大きすぎると、次に少し声が強くなっただけで「またできなかった」と落ち込みやすくなります。

怒りを完全になくすことは、現実的ではありません。子育てをしていれば、危険を止めなければならない場面もあれば、約束を守ってほしいと感じる場面もあります。大切なのは、怒りを感じない親になることではなく、怒りが大きくなり始めたときに選べる行動を増やすことです。

そのため、振り返るときは、次にできそうな工夫を一つだけ決めてみてください。朝の支度で怒りやすいなら、「着替えは前日の夜に用意する」。片づけで言い争いになるなら、「最初の五分だけ一緒に片づける」。宿題の場面で強く言ってしまうなら、「始める時刻を親だけで決めず、子どもと相談する」といった具合です。

怒りが高まったときの自分の合図を決める方法もあります。「声が大きくなってきた」「同じ言葉を三回以上繰り返している」「胸や顔が熱くなってきた」など、自分の変化に気づいたら、一度会話を止めます。

「今は強い言い方になりそうだから、少し落ち着いてくるね」と伝え、安全を確認したうえでその場を離れます。数分後に戻り、「さっきの続きを話そう」と再開してもよいでしょう。その場を離れることは、子どもを見捨てることではなく、傷つける言葉を減らすための工夫です。

また、怒りが強くなる場面を一人で乗り切ろうとしないことも大切です。家族がいるなら、「夕方は余裕がなくなりやすいから、お風呂をお願いしたい」「宿題を見る日は交代にしたい」と具体的に相談してみましょう。

周囲に頼れる人がいない場合でも、予定を一つ減らす、冷凍食品を使う、部屋が多少散らかっていても今日は休むなど、自分に課している負担を減らす方法があります。怒りを抑える努力だけでなく、怒りが大きくなりにくい生活へ調整することも必要です。

それでも同じように怒ってしまう日があるかもしれません。そのときは、「対策が無駄だった」と考えるのではなく、「どの時点なら止まりやすかったか」を見直します。前回より少し早く気づけた、怒ったあとに早めに謝れたという変化も、大切な前進です。

私たちは、親子の関係を整えるための方法は、家庭ごとに違うと考えています。一般的に正しい方法を完璧にこなすより、自分たちの生活で続けられる工夫を一つ見つけることが大切です。

そして、一人で考えていると自分を責める方向へ進んでしまうときは、まとまらないまま誰かに話してみても構いません。「怒りたくないのに怒ってしまう」「自分でも何がつらいのか分からない」という言葉からでも十分です。話すことで、怒りの背景にある疲れや本当の願いが見え、次に選べる小さな行動が見つかることがあります。

一人で反省を繰り返してしまうときは、まとまらないまま話してみませんか

一人で反省を繰り返してしまうときは、まとまらないまま話してみませんか

子どもを強く叱ってしまったあと、「次から気をつけよう」と思っても、気持ちがなかなか落ち着かないことがあります。

「また怒ってしまうかもしれない」
「子どもを傷つけているのではないか」
「こんなことで悩んでいるのは、自分だけかもしれない」

そう考えながら一人で反省を続けていると、怒りの背景にある疲れや焦りよりも、「自分はダメな親だ」という思いばかりが強くなってしまうことがあります。

けれども、気持ちを整理するために、最初から上手に話す必要はありません。

「今日、子どもに怒りすぎてしまった」
「後悔しているけれど、まだ腹が立つ気持ちも残っている」
「何がつらいのか、自分でもよく分からない」

そんなまとまらない言葉からでも大丈夫です。

傾聴ラウンジ「ここより」は、すぐに答えを出したり、子育ての正解を押しつけたりする場所ではありません。誰かに言うと責められそうで話せなかったことや、親だから弱音を吐いてはいけないと思っていたことも、今の気持ちのままお話しいただけます。

話していくうちに、「本当は疲れていた」「少し休みたかった」「誰かに分かってほしかった」と、怒りの奥に隠れていた気持ちに気づくことがあります。すぐに解決できなくても、自分の中にあったものを言葉にするだけで、心に少し余白が生まれることもあります。

一人で考え続けることに疲れたときは、傾聴ラウンジ「ここより」をご利用ください。

ご予約は、公式サイトからLINE公式アカウントを友だち追加し、予約フォームへ進むだけで簡単に行えます。話したい内容を事前にきれいにまとめる必要はありません。

「子どもを叱ってしまった」という一言からでも大丈夫です。

叱ってしまった自分を責めるためではなく、これまで頑張ってきた自分の気持ちを、少し休ませるために話してみませんか。

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