話を聞いてもらうと涙が出るのはなぜ?傾聴の先に見えてくる未来

人の話を聴く仕事をしていると、話し始めたときには笑顔だった方が、途中から静かに涙を流されることがあります。
私がキャリアアドバイザーや派遣コーディネーターとして働いていた頃にも、そんな場面に何度も出会ってきました。最初は「仕事をどうするか」「これからどんな働き方をするか」といった話だったはずなのに、ゆっくり話を聴いていくと、「本当はずっとつらかった」「誰にも言えなかった」「自分なりに頑張ってきたんです」という言葉が少しずつ出てくる。そして、その言葉と一緒に涙があふれてくるのです。
私は、そうした姿を見るたびに、涙は悲しいときだけに流れるものではないのだと感じてきました。ずっと心の中に溜めていた気持ちが、誰かに受け止めてもらえたことで、ようやく外に出てきたのかもしれません。
そして不思議なことに、十分に話し、涙を流したあとには、「これからはこうしたい」「本当はこんなふうに生きてみたい」と、少し先の未来について話し始める方もいました。
私が傾聴を大切にするようになった原点には、こうした一つひとつの出会いがあります。今回は、これまで人の話を聴く仕事をしてきた中で私が感じた、「話を聴いてもらうこと」と「涙」、そしてその先に見えてくる未来についてお話ししたいと思います。

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投稿者プロフィール

- 心理カウンセラー
-
ストレス・不安・人間関係・自己否定などの悩みを、安心して話せる対話から整理し、考え方のクセや気持ちのパターンを一緒に見つけていく心理カウンセラーです。
■経歴・資格
産業カウンセラー。
人材紹介会社でキャリアアドバイザーとして転職相談に携わり、仕事やキャリア、職場の人間関係など、さまざまな相談に対応してきました。
現在はオンラインを中心に、ストレス、不安、人間関係、自己肯定感、自己否定、HSP、仕事やキャリア、本音を言えない悩みなどの相談を受けています。
■得意な相談
・ストレス・不安・気分の落ち込み
・職場・家族・恋愛などの人間関係
・自己肯定感の低さ・自己否定
・HSP・繊細さによる生きづらさ
・仕事・キャリアの悩み
・本音が言えない、自分の気持ちが分からない悩み
■大切にしていること
まずは、否定されず安心して本音を話せることを大切にしています。
話を聴くだけで終わるのではなく、対話を通して気持ちを整理し、自分では気づきにくい「考え方のクセ」や、ストレス・不安が強くなるパターンを一緒に見つけていきます。
来談者中心療法の考え方を大切にしながら、必要に応じて認知行動療法(CBT)の考え方も取り入れています。
「こんなことで相談していいのかな」「うまく話せるか分からない」という段階でも大丈夫です。話がまとまっていなくても、安心してお話しください。
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目次
- ○ 「仕事を探したい」という話の奥にあった、言葉にしてこなかった気持ち
- ・「人間関係が理由です」の一言だけでは分からないこと
- ・話しているうちに、自分でも忘れていた気持ちを思い出す
- ・涙が出たとき、私は急いで次の話へ進まないようにしていた
- ○ 答えを出す前に、ただ話を聴く時間が必要だった
- ・「こうしたほうがいい」より先に、聴いてほしい気持ちがある
- ・話を遮らずに聴いていると、言葉の奥から本音が出てくる
- ・涙が止まったあと、少しだけ表情が変わる瞬間
- ○ 涙を流した先で、少しずつ「これから」が見えてくる
- ・「次はどうしたいですか?」への答えが変わっていく
- ・過去を振り返ることは、後ろ向きになることではない
- ・誰かに決めてもらうのではなく、自分の未来を自分で話し始める
- ○ 話せる場所があることが、未来への小さな一歩になる
- ・何を話したらいいのか分からなくても、話すことは始められる
- ・涙は、前に進めていない証拠ではない
- ・「ここより」は、未来を決めてもらう場所ではなく、一緒に言葉を探す場所
- ○ 誰かに話してみたいと思ったときは
「仕事を探したい」という話の奥にあった、言葉にしてこなかった気持ち

キャリアアドバイザーや派遣コーディネーターとして面談をしていた頃、私の前に来られる方の多くは、当然ながら「仕事を探したい」という目的を持っていました。
そのため面談の入り口では、これまでどんな仕事をしてきたのか、どんな経験があるのか、次はどんな仕事を希望しているのか、といった話をしていきます。その流れの中で、「前の会社を辞めた理由は何だったんですか?」「今のお仕事から転職を考えたきっかけはありますか?」と、退職理由についても軽く尋ねます。
最初は「人間関係ですね」「もう少し条件のいいところを探したくて」「仕事が合わなかったので」と、比較的さらっと答えられる方も少なくありませんでした。
ところが、そこで答えを聞いて終わりにせず、その方の言葉を受け止めながらゆっくり話を聴いていくと、少しずつ表情が変わっていくことがあります。
「あのとき、本当はかなりつらかったんです」
そう話したところで言葉が止まり、ふいに涙がこぼれる。
私は何度も、そんな場面に立ち会ってきました。
「人間関係が理由です」の一言だけでは分からないこと
たとえば、前職の退職理由を聞いたときに、「人間関係があまり良くなかったので辞めました」と答える方がいました。
仕事探しの面談ですから、その言葉だけを情報として受け取ることもできます。「なるほど、人間関係が退職理由だったんですね。それでは次の職場では……」と、希望条件の確認へ進むこともできるでしょう。
でも私は、その方の話し方や表情を見ながら、もう少しだけ話を聴いてみることがありました。
「どんなことが一番大変だったんですか?」
すると、「まあ、いろいろあって」と笑いながら話していた方が、少しずつ当時の出来事を思い出していきます。
自分だけ仕事を押しつけられていたこと。困っていても誰にも相談できなかったこと。毎朝会社に向かうのが苦しかったこと。それでも「社会人なんだから、このくらい我慢しないと」と、自分に言い聞かせていたこと。
一つひとつは、履歴書にも職務経歴書にも書かれません。
けれど、その人が仕事を辞めるまでには、そこに至るまでの時間があります。「人間関係」という短い言葉の奥には、その人にしか分からない毎日があるのだと、私は面談を重ねる中で感じるようになりました。
話しているうちに、自分でも忘れていた気持ちを思い出す
興味深かったのは、最初から「つらかったことを聞いてほしい」と思って面談に来ているわけではない、ということです。
本人としては、新しい仕事を探しに来ています。
だから最初は、「次は土日休みがいいです」「通勤時間は30分くらいまでで」「これまでの経験を活かしたいです」と、ごく普通に仕事の希望を話しています。
ところが、これまでの仕事についてじっくり振り返っていくうちに、少しずつ話が変わってくることがあります。
「あのとき上司に言われた言葉、今でも覚えているんですよね」
「辞めると伝えたとき、本当は悔しかったんです」
「誰にも言わなかったんですけど、家に帰ってから毎日のように泣いていました」
そんな言葉が出てきたあと、目の前で涙を流されることもありました。
話しているうちに、その当時は考える余裕さえなかった感情を思い出すのかもしれません。
必死に働いている最中は、立ち止まって自分の気持ちを確認することなどなかなかできません。「今日を乗り切ること」で精いっぱいだった人ほど、環境を離れて少し時間が経ってから、ようやく「あのときの自分は、本当につらかったんだ」と気づくことがあります。
私は、その涙を見ながら、人は話すことで初めて気づく感情があるのだと思うようになりました。
涙が出たとき、私は急いで次の話へ進まないようにしていた
面談には、本来の目的があります。
希望する仕事を確認し、経験や条件を整理して、その人に合いそうな仕事を一緒に考えていくことです。
けれど、目の前の方が涙を流しているときに、「では次に希望する勤務地を教えてください」と話を進めることは、私にはできませんでした。
そんなときは、少し時間を取って、その方が話したいことをそのまま聴くようにしていました。
無理に励ますわけでも、「こう考えたほうがいいですよ」と答えを出すわけでもありません。
話が途切れれば少し待ち、また話し始めたら聴く。
すると、涙を拭いたあとに「すみません、こんな話をするつもりじゃなかったんです」と笑う方がいました。
私はその言葉を聞くたびに、「話すつもりがなかったことほど、心のどこかに残っていたのかもしれない」と感じていました。
仕事を探すために始まった面談なのに、気がつけばその人がこれまで抱えてきたものを言葉にする時間になっている。
そして、十分に話したあとには、不思議と表情が少しやわらかくなっていくことがありました。
その姿を何度も見てきたことが、私にとって「人の話を聴く」ということを深く考えるきっかけになっていったのです。
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答えを出す前に、ただ話を聴く時間が必要だった

仕事を探している方との面談ですから、私の役割は本来、その方に合った仕事を一緒に探していくことです。
希望する職種や条件を確認し、これまでの経験を整理して、「それなら、こういう仕事はどうでしょう」と提案していく。キャリアアドバイザーや派遣コーディネーターとして考えれば、それが仕事の中心でした。
けれど、面談の中で涙を流す方と何度も出会ううちに、私は少しずつ考えるようになりました。
この人に今必要なのは、本当に次の仕事の提案なのだろうか、と。
もちろん、最終的には仕事を探していかなければなりません。それでも、まだ前の職場で感じた悔しさや悲しさを抱えたまま、「次はどうしますか」と未来だけを急いで考えようとしても、気持ちがついてこないことがあります。
そんなときは、何か答えを出すことよりも、その人がこれまで抱えてきたものを、一度ゆっくり話せる時間のほうが大切なのかもしれない。
私は現場での経験を通して、そう感じるようになっていきました。
「こうしたほうがいい」より先に、聴いてほしい気持ちがある
人の話を聴いていると、つい何か役に立つことを言いたくなるものです。
「次はこういう職場を選んだほうがいいですよ」
「そんな会社なら辞めて正解ですよ」
「もっと自信を持って大丈夫ですよ」
どれも相手を思って出てくる言葉だと思います。私自身も、仕事を紹介する立場ですから、「この人が次にうまくいくためにはどうすればいいだろう」と考えながら面談をしていました。
けれど、あるときから、その答えを少し待つようになりました。
前の職場であった出来事を話しながら、「自分にも悪いところがあったと思うんです」と言う方がいます。
そこで「そんなことないですよ」とすぐに返すのではなく、
「そう思っているんですね」
と、そのまま聴いてみる。
すると、そのあとに続く言葉があります。
「でも、本当は納得できていなくて……」
「ずっと自分が悪いと思うようにしていたんですけど……」
最初の一言だけでは見えなかった気持ちが、その先から少しずつ出てくるのです。
私はそこで、相手が話し終わる前に答えを渡してしまうと、その人自身がたどり着こうとしていた気持ちを止めてしまうこともあるのだと気づきました。
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話を遮らずに聴いていると、言葉の奥から本音が出てくる
面談の中で印象に残っているのは、最初と最後で話している内容が変わっていくことでした。
最初は、
「残業が多かったので辞めました」
と話していた方が、少し時間をかけて振り返っていくと、
「残業そのものより、頑張っても誰にも認めてもらえなかったことがつらかったのかもしれません」
と話すことがあります。
「上司と合わなかった」と言っていた方が、
「本当は、何を言っても否定されるのが怖くなっていたんです」
と気づくこともありました。
私は何か特別な質問をしていたわけではありません。
その人が話した言葉を受け止め、少し尋ね、また話を聴く。
それを繰り返していくだけです。
すると、自分で話しながら、「ああ、私がつらかったのはそこだったんですね」と気づく方がいました。
その瞬間に、また涙が出ることもあります。
私はその姿を見ながら、人は誰かに答えを教えてもらうことで気持ちを理解するのではなく、自分の言葉を誰かに受け止めてもらう中で、自分自身の本音に気づいていくことがあるのだと感じるようになりました。
涙が止まったあと、少しだけ表情が変わる瞬間
もちろん、話を聴いたからといって、抱えていた問題がその場ですべて解決するわけではありません。
前の職場で起きたことがなくなるわけでもありませんし、次の仕事がすぐに決まるわけでもありません。
それでも、十分に話したあとの表情が、面談の最初とは少し違って見えることがありました。
涙を拭きながら、
「こんなに話すとは思っていませんでした」
と笑う方。
「自分が何で辞めたかったのか、今になって分かった気がします」
と話す方。
そして再び仕事の話に戻ったとき、
「次は、給料だけじゃなくて、ちゃんと人と話せる職場がいいです」
「忙しくても、自分が納得できる仕事を選びたいです」
と、それまでより少し具体的に自分の希望を話せるようになる方もいました。
私は、こうした場面に出会うたびに感じていました。
涙を止めることが大切なのではなく、安心して涙を流せるくらい、自分の気持ちを話せる時間が必要なこともあるのだと。
そして、十分に話したあとだからこそ、ようやく「これからどうしたいのか」を考えられることがある。
私にとってこの経験は、「人の話を聴く」という行為への見方を大きく変えていくことになりました。
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涙を流した先で、少しずつ「これから」が見えてくる

じっくり話を聴いていると、面談の途中から涙を流される方がいました。
けれど、私が印象に残っているのは、涙そのものだけではありません。
それまで抱えていたことを十分に話したあと、少し時間が経つと、会話の中に変化が生まれることがありました。
「次は、もう少し自分の気持ちを言える職場がいいです」
「本当は、こういう仕事をやってみたかったんです」
「今度は条件だけで決めるのではなく、自分が納得できるところを探したいです」
面談の最初には出てこなかった言葉です。
私はそこで、過去の出来事を振り返ることと、未来を考えることは、別々のものではないのかもしれないと思うようになりました。
過去に何がつらかったのか。何を我慢していたのか。本当はどうしてほしかったのか。
そこを自分の言葉で話していくからこそ、「では、これからはどうしたいのだろう」という気持ちが少しずつ見えてくる。
涙を流したあとに語られる未来の話を聴きながら、私は何度もそんなことを感じてきました。
「次はどうしたいですか?」への答えが変わっていく
面談の最初にも、もちろん希望する仕事について尋ねます。
「どんな仕事を探していますか?」
すると、
「できれば給料が高いところがいいです」
「家から近ければ、特にこだわりはありません」
「とりあえず早く働きたいです」
といった答えが返ってくることがあります。
それは決して間違った希望ではありません。生活がありますから、給与や勤務地、働き始める時期はとても大切です。
ただ、前の仕事についてゆっくり話し、自分が何につらさを感じていたのかを振り返ったあと、同じように「次はどんな職場がいいですか?」と尋ねると、少し違う言葉が出てくることがありました。
「ちゃんと質問できる雰囲気のところがいいです」
「一人で抱え込まなくてもいい職場がいいですね」
「忙しくても、自分の仕事を見てもらえる環境がいいです」
条件だけだった希望に、その人らしい価値観が加わっていくのです。
私は、その変化を見るたびに、「仕事を選ぶ」ということは、単に求人票の条件を比べることだけではないのだと感じていました。
自分が何を大切にしたいのかを知ることも、次の仕事を選ぶ大切な準備なのだと思います。
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過去を振り返ることは、後ろ向きになることではない
つらかった経験について話すことを、「いつまでも過去のことを考えていても仕方がない」と感じる方もいると思います。
実際、面談でも、
「もう辞めた会社のことなので」
「今さら考えても仕方ないですよね」
と話される方がいました。
確かに、過去を変えることはできません。
けれど、過去について話すことは、必ずしもそこにとどまり続けることではないと私は感じています。
「あのとき、本当は何がつらかったんだろう」
「どうしてあんなに我慢していたんだろう」
「本当は、どう働きたかったんだろう」
そんなふうに振り返っていくと、自分がこれから大切にしたいものが見えてくることがあります。
たとえば、「人間関係がつらかった」と思っていた人が、話していく中で「自分の意見を聞いてもらえなかったことが一番苦しかった」と気づく。
そうすると、次の職場では「話しやすい環境」を大切にしたいという希望が生まれます。
過去を振り返ることは、過去に戻るためではなく、これから同じ苦しさを繰り返さないための材料になる。
私は、多くの方の話を聴く中で、そのことを教えてもらったように思います。
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誰かに決めてもらうのではなく、自分の未来を自分で話し始める
私が特に大切だと感じていたのは、こちらが「あなたにはこの仕事が向いています」と答えを決めてしまわないことでした。
もちろん、仕事について情報を提供したり、経験から選択肢を提案したりすることはできます。
けれど、最後にその仕事を選び、そこで生活していくのは本人です。
だからこそ私は、その人自身から出てくる言葉を大切にしたいと思っていました。
ある程度話したあと、
「本当はこんな仕事に興味があったんです」
「実は前からやってみたい仕事があって……」
と、少し照れながら話し始める方もいました。
それまでの経歴とは違う仕事かもしれません。すぐに実現できるとは限りません。
それでも、自分の口から「こうしたい」と言えたことには、大きな意味があるように感じました。
最初は前職の退職理由を話していただけだった。
そこから、我慢してきたことを思い出し、涙がこぼれ、自分の本当の気持ちに気づいていく。
そして最後には、「これからはこうしてみたい」という話になっていく。
私は、そんな場面に何度も立ち会ってきました。
私にとって「未来予想図」とは、誰かが正解として描いて渡すものではありません。
話しながら気持ちを整理し、自分自身の中にあった思いを一つずつ見つけていく。その先で、ぼんやりとでも「こんなふうに生きていけたらいいな」と思えるもの。
人の話を聴く仕事を続ける中で、私はその未来予想図が生まれる瞬間を、何度も見せてもらってきたのだと思います。
話せる場所があることが、未来への小さな一歩になる

キャリアアドバイザーや派遣コーディネーターとして多くの方と向き合っていた頃、私は仕事を紹介すること以上に、「人は誰かに話を聴いてもらうことで、自分の気持ちに気づいていく」ということを何度も教えてもらいました。
仕事を探すために来られた方が、前職について話しているうちに涙を流す。そして、抱えていた気持ちを十分に言葉にしたあと、「次はこんな働き方がしたい」「本当はこういうことを大切にしたかった」と未来の話を始める。
その姿を見ていると、人はいつも最初から答えを持っているわけではないのだと思います。
むしろ、話しながら自分の言葉を聞き直し、誰かに受け止めてもらうことで、少しずつ自分の本音を見つけていく。
現在、私が傾聴ラウンジ「ここより」で大切にしたいと思っていることも、その頃から変わっていません。
「答えを出すこと」より前に、「安心して話せること」。
その時間が、これからを考えるための小さな始まりになることがあるからです。
何を話したらいいのか分からなくても、話すことは始められる
「誰かに話したいけれど、何を話せばいいのか分からない」
そんな状態になることは、決して珍しいことではないと思います。
仕事の面談でも、「特に悩んでいるわけではないんですけど」と話し始めた方が、時間が経つにつれて、さまざまな気持ちを言葉にしていくことがありました。
「よく考えたら、あの頃からずっと無理をしていたのかもしれません」
「自分では気にしていないつもりだったんです」
「こうやって話すまで、こんなに引っかかっているとは思いませんでした」
最初から話したいことが整理されていたわけではありません。
話し始めたからこそ、気づいたのです。
私自身も、人に話すということは「きれいに整理したものを説明すること」ではないと思っています。
うまくまとまらなくてもいい。同じ話を何度してもいい。「自分でもよく分からない」と言いながら話してもいい。
言葉にしているうちに、「ああ、自分はこんなことを感じていたんだ」と見えてくることがあります。
だから私は、話す前に答えを用意する必要はないと思っています。
何を話せばいいのか分からない状態そのものから、人との対話は始められるのです。
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涙は、前に進めていない証拠ではない
これまで涙を流す方をたくさん見てきましたが、その経験から私が感じているのは、涙を必ずしも「つらさの象徴」だけとして捉えなくてもいいのではないか、ということです。
もちろん、悲しいときや苦しいときにも涙は出ます。
けれど、誰にも言えなかったことを初めて言葉にした瞬間や、「分かってもらえた」と感じた瞬間に涙が出ることもあります。
ずっと我慢していた自分に、ようやく自分自身が気づいたような涙もありました。
そして、涙を流したあとに、
「少しすっきりしました」
「話してみてよかったです」
と笑われる方もいました。
だから私は、誰かが涙を流したとき、「泣かないようにしなければ」「早く元気にならなければ」と急ぐ必要はないのだと思っています。
少し立ち止まって、これまで抱えていたものを外に出す時間があってもいい。
その涙の先に、すぐ答えが見つからなくても構いません。
ただ、「本当はつらかった」「本当はこうしたかった」と自分の気持ちに気づくことができれば、それだけでも次の一歩につながっていくことがあります。
私がこれまで見てきた涙の多くは、そこで終わるものではありませんでした。
そのあとに、その人自身の「これから」が少しずつ始まっていたのです。
「ここより」は、未来を決めてもらう場所ではなく、一緒に言葉を探す場所
傾聴ラウンジ「ここより」で、私がつくりたいと思っているのは、誰かに答えを決めてもらう場所ではありません。
「こうするべきです」
「あなたにはこれが向いています」
そんな答えを渡す前に、その人自身が何を感じ、何を大切にしているのかを話せる場所でありたいと思っています。
仕事のことでも、人間関係のことでも、家族のことでも構いません。
あるいは、はっきりした悩みがなくても、
「なんとなく疲れた」
「最近ちょっとモヤモヤする」
「誰かと話したい」
そんなところからでもいいのです。
キャリアアドバイザーや派遣コーディネーターとして働いていた頃、私は「仕事を探しに来た人」の話を聴いていました。
でも、じっくり話を聴いているうちに見えてきたのは、仕事だけではありませんでした。
その人が我慢してきたこと。悔しかったこと。本当は大切にしたかったこと。そして、これからどんな毎日を送りたいのか。
それらが少しずつ言葉になり、やがて未来の話へと変わっていく。
その経験が、今の私が大切にしている「傾聴」につながっています。
未来予想図は、最初からきれいに描けなくてもいいと思います。
今抱えていることを誰かに話しながら、「本当はどうしたいんだろう」と一緒に言葉を探していく。
傾聴ラウンジ「ここより」が、そんな時間を過ごせる場所の一つになれたらと思っています。
誰かに話してみたいと思ったときは

「ここまで読んで、自分も誰かに話してみたいと思った」
「悩みというほどではないけれど、少し気持ちを整理したい」
そんなときは、傾聴ラウンジ「ここより」をご利用ください。
ここよりは、何か答えを出すことを目的にするのではなく、今感じていることをそのまま話せる場所です。仕事、人間関係、家族、恋愛、将来のことなど、テーマがはっきりしていなくても構いません。
「なんとなくモヤモヤする」
「誰かに話を聴いてほしい」
「自分でも何がつらいのか、うまく説明できない」
そんな状態からでも大丈夫です。
話しているうちに、自分でも気づいていなかった気持ちが見えてくることがあります。涙が出ることもあるかもしれません。でも、その涙を無理に止める必要も、急いで答えを見つける必要もありません。
ここよりには、それぞれ異なる経験や雰囲気を持った「よりびと」がいます。「この人なら話してみたい」と感じる方を選んで、自分のペースでお話しいただけます。
そして、私に直接話を聴いてほしいと思ってくださった場合は、リハートカウンセリングの「Listen 30」をお選びください。
30分間、今感じていることや頭の中にあることを、まとまっていなくてもそのままお話しいただけます。
未来予想図は、最初から見えていなくても大丈夫です。
まずは今の気持ちを誰かに話してみること。
そこから少しずつ、「本当はどうしたいのか」「これからどうしていきたいのか」が見えてくることもあります。
傾聴ラウンジ「ここより」、そしてリハートカウンセリングのListen 30が、そのためのひとつの場所になれたらと思っています。
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