介護で自分の人生がないと感じる方へ|自分の時間を取り戻す第一歩

親の介護が始まってから、自分の予定を立てることが少なくなった。友人から誘われても「その日は親のことがあるから」と断り、休日も通院の付き添いや買い物、食事の準備、身の回りの用事で一日が終わってしまう。
そんな生活が続いているうちに、ふと、
「私の時間って、いつからなくなったんだろう」
「この先もずっと介護を中心に生活していくのかな」
「自分の人生なのに、自分で決められることが少なくなった」
と感じることがあります。
もちろん、親のことは大切です。困っているなら支えたいという気持ちもあります。それでも、「たまには自分の好きなことをしたい」「何も気にせず一日過ごしたい」と思うことがあります。
ところが、そんな気持ちが浮かぶと、「親が大変なのに自分のことを優先していいのかな」「家族なのだから私がやらなければ」と、今度は罪悪感を抱えてしまうこともあります。
介護がつらいのは、やることが多いからだけではありません。自分の予定、自分の楽しみ、自分で選べる時間が少しずつ後回しになり、**「私自身の生活がなくなっていくように感じること」**も、私たちの心を疲れさせます。
だからといって、介護か自分の人生か、どちらか一方を選ばなければならないわけではありません。
すべてを一気に変えることは難しくても、今抱えていることを少し整理したり、自分でなくてもできることを誰かに任せたり、30分だけでも自分のための時間を取り戻したりすることはできます。
この記事では、介護を続けながらも私たち自身の人生を置き去りにしないために、「自分の時間がない」と感じる背景を整理し、生活の中に少しずつ自分の時間を取り戻していく方法を一緒に考えていきます。

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投稿者プロフィール

- 心理カウンセラー
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■ 一言キャッチコピー
ストレス・人間関係・自己肯定感の悩みに寄り添い、“話を聴いてもらえる安心”から考え方のクセを整える心理カウンセラー
■ 経歴・実績
心理カウンセラーとして、ストレス、不安、うつ傾向、人間関係、自己肯定感の低さ、仕事やキャリアの悩みなど、幅広いご相談に対応しています。
オンラインを中心にカウンセリングを提供し、安心して本音を話せる時間を大切にしています。
また、人材紹介会社にてキャリアコンサルタントとして転職相談に従事してきた経験もあり、仕事の悩みやキャリアの迷い、職場での人間関係についても、現実的な視点を持ちながらサポートしています。
■ 保有資格
産業カウンセラー
■ 主な相談内容
ストレス・メンタル不調
不安・うつ・気分の落ち込み
職場・家族・恋愛などの人間関係の悩み
自己肯定感の低さ・自己否定
HSP気質・繊細さによる生きづらさ
仕事の悩み・キャリアの迷い
本音が言えない・自分の気持ちが分からない悩み
誰かに話を聴いてほしい時の気持ちの整理
■ カウンセリングの特徴・強み
私が大切にしているのは、まず安心して話せることです。
悩みを抱えている時、人はすぐに答えがほしいとは限りません。アドバイスよりも先に、「まずは話を聴いてほしい」「分かってほしい」と感じていることがあります。
そのため、否定せず、急かさず、話がまとまっていなくても受け止めることを大切にしています。
そのうえで、ストレスや不安の背景にある気持ちを一緒に整理し、自分でも気づきにくい“考え方のクセ”や“認知の歪み”に気づけるようサポートします。
ただ聴くだけで終わるのではなく、話すことで心を整え、必要に応じて日常で実践できる具体的な対処法も一緒に考えていきます。
■ アプローチ方法
クライアント中心療法、来談者中心療法を大切にしながら、認知行動療法、CBTの考え方も取り入れています。
特に、感情・思考・行動のつながりを一緒に見える化し、ストレスや不安が強くなるパターンを整理していきます。
「なぜ同じことで悩みやすいのか」
「どうして自分を責めてしまうのか」
「人間関係で疲れやすい理由は何か」
そういった部分を、無理に決めつけるのではなく、対話を通して一緒に見つけていきます。
■ カウンセラーになったきっかけ
子どもの頃から、自分の気持ちや「嫌だ」という思いをうまく言えない環境で育ちました。
本当はつらいと感じていても、それを言葉にすることが難しく、気持ちを飲み込んでしまうことが多くありました。
その経験から、「自分の気持ちを安心して話せる場所があること」「否定されずに話を聴いてもらえること」が、人にとってどれほど大切なのかを、身をもって感じるようになりました。
大人になってからは、人材紹介会社でキャリアコンサルタントとして転職相談に携わりました。
そこでは、仕事の悩みやキャリアの迷いだけでなく、職場の人間関係、将来への不安、自信のなさなど、さまざまな思いを抱えた方のお話を聴く機会が多くありました。
相談を受ける中で感じたのは、多くの方が「答え」だけを求めているわけではないということです。
まずは自分の気持ちを整理したい。誰にも言えなかった不安を聴いてほしい。否定されずに、今の思いを受け止めてほしい。
そういった気持ちを抱えながら、一人で頑張っている方がたくさんいることを実感しました。
話を聴いてもらうことで、表情が少し和らいだり、自分の本音に気づいたり、次の一歩を考えられるようになったりする姿を見て、傾聴には人の心を支える力があると感じました。
子どもの頃に感じていた「うまく言えない苦しさ」と、キャリア相談の現場で出会った「誰かに聴いてほしい思い」。
その両方の経験が重なり、安心して本音を話せる場所をつくりたい、一人で抱え込んでいる方の力になりたいと思うようになったことが、心理カウンセラーを目指したきっかけです。
■ 大切にしていること
安心して本音を話せる場づくり
否定せず、そのままを受け止めること
一人ひとりの価値観やペースを尊重すること
話すことで心を整える時間を大切にすること
「話してもいいんだ」と感じられる経験を積み重ねること
■ メッセージ
ストレスや不安、人間関係の悩みの多くは、自分でも気づかない“考え方のクセ”が影響していることがあります。
ただ、そのクセに気づくためには、まず安心して話せることが大切です。
整体で身体を整えるように、心もまた、話すことで少しずつ整っていくことがあります。
「こんなことで相談していいのかな」
「うまく話せるか分からない」
「誰かに聴いてほしいけれど、身近な人には話しにくい」
そんな段階でも大丈夫です。
話がまとまっていなくても、同じ話を繰り返しても、途中で言葉に詰まってもかまいません。
安心して話せる場所として、そして自分の本音に気づき、少しずつ自分らしく生きるための時間としてご利用ください。
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目次
- ○ 自分の人生がなくなったように感じるのは、介護だけが毎日の中心になっているから
- ・自分の予定より、親の予定を優先する毎日になっていませんか
- ・休んでいるはずなのに、頭の中ではずっと介護のことを考えていることがあります
- ・「自分の時間がほしい」と思うことに、罪悪感を持たなくて大丈夫です
- ○ 「介護か自分の人生か」の二択にしなくても大丈夫です
- ・「私がやらなければ」と思っていることを、一度すべて書き出してみる
- ・自分でなくてもできることは、少しずつ誰かに渡してみましょう
- ・30分でも「介護をしない時間」を先に予定に入れてみる
- ○ 生活を取り戻す第一歩は、「自分はどう過ごしたいか」を思い出すことです
- ・介護が始まる前、どんな時間が好きだったか思い出してみましょう
- ・大きなことではなく、「またやりたいこと」を一つ選んでみる
- ・「家族のため」ではなく、「自分のため」に選ぶ時間を持ってみる
- ○ 家族を支えながら、私たち自身の人生も置き去りにしないことが大切です
- ・自分を大切にすることは、親を見捨てることではありません
- ・「本当はどうしたい?」と自分に聞いてみると、気持ちが見えてくることがあります
- ・自分の人生を取り戻すことは、小さな時間を自分に返すところから始まります
- ○ 介護だけの毎日になっていると感じたら、「ここより」で自分の気持ちを話してみませんか
自分の人生がなくなったように感じるのは、介護だけが毎日の中心になっているから

親の介護が続いていると、いつの間にか「自分の予定」よりも「親の予定」を先に考えることが当たり前になっていきます。病院の日程、買い物、食事の準備、薬の確認、電話への対応。ひとつひとつは短い時間でも、それらが毎日の中に何度も入ってくると、自分のために使える時間は少しずつ減っていきます。
そして、実際には少し空いている時間があっても、「何かあったらどうしよう」「そろそろ連絡が来るかも」と、頭の中では介護のことが離れないこともあります。
そんな日々が続けば、「私の生活って、どこにあるんだろう」と感じるのも無理はありません。
大切なのは、「もっと時間の使い方を上手にしなければ」と自分を責めることではなく、まず今の生活の中で、どれだけ自分の時間が介護に置き換わっているのかに気づくことです。
「自分の人生がない」と感じる気持ちは、わがままではありません。私たち自身の生活も大切にしたいという、ごく自然な思いです。
自分の予定より、親の予定を優先する毎日になっていませんか
介護をしていると、予定を立てるときの基準が少しずつ変わっていきます。
「その日は通院があるから無理」
「夕方までには帰らないといけない」
「急に呼ばれるかもしれないから、遠くには行けない」
そんなふうに、何かを決める前に、まず親の予定や体調を確認するようになります。
もちろん、それは親を支えるために必要なことでもあります。けれど、それが長く続くと、自分の予定を立てること自体を諦めてしまうことがあります。友人から誘われても最初から断ったり、「どうせ行けないから」と好きだったことから離れてしまったりすることもあるでしょう。
問題なのは、親を優先することそのものではありません。自分の予定を持つことさえ遠慮するようになっていないかということです。
私たちにも、会いたい人がいて、行きたい場所があり、何もせずゆっくりしたい日があります。
まずは、「最近、自分のために予定を入れたのはいつだったかな」と振り返ってみてください。もし思い出せなかったとしても、それは自分を責める材料ではありません。それだけ長い間、誰かのために時間を使ってきたということです。
自分の時間を取り戻すためには、まず「私にも予定があっていい」と思えるところから始めていきましょう。
休んでいるはずなのに、頭の中ではずっと介護のことを考えていることがあります
介護では、体が休んでいても、心まで休めているとは限りません。
たとえば、久しぶりに家でゆっくりしているのに、「薬は飲んだかな」「転んでいないかな」「明日の病院の時間は何時だったかな」と、次々と気になることが浮かんでくることがあります。
友人と食事をしていてもスマートフォンが気になったり、お風呂に入っていても「電話が鳴っていないかな」と落ち着かなかったりすることもあるでしょう。
こうした状態では、予定表の上では自由時間があっても、私たちの感覚としては「ずっと介護中」のままです。
そのため、「今日は何もしていないのに疲れた」と感じることがあります。でも実際には、何もしていなかったのではありません。頭の中ではずっと先のことを考え、何か起きたときに備え続けていたのかもしれません。
自分の時間を取り戻すというと、何時間も自由な時間を確保することを想像しがちです。けれど最初は、10分でも20分でも「今は介護のことを考えなくていい」と思える時間をつくることからでも十分です。
温かい飲み物をゆっくり飲む、好きな音楽を聴く、少し外を歩く。そんな短い時間でも、「私は今、自分のために過ごしている」と意識できることが、心を介護から少し離す練習になります。
「自分の時間がほしい」と思うことに、罪悪感を持たなくて大丈夫です
「一人でゆっくりしたい」
「今日は介護のことを考えたくない」
「たまには自分の好きなことをしたい」
そんな気持ちが浮かんだとき、「親が大変なのに、こんなことを思っていいのかな」と罪悪感を抱くことがあります。
特に、家族の介護では、「家族なのだから支えるのが当然」という思いが自分の中にも周囲にもあると、自分の時間を求めることがわがままのように感じられることがあります。
けれど、親を大切にしたい気持ちと、自分の時間も大切にしたい気持ちは、どちらか一つを選ぶものではありません。
私たちは介護をする人である前に、一人の生活者でもあります。仕事もあれば、人間関係もあり、好きなことやこれからやってみたいこともあります。
自分の時間を持つことは、親を見捨てることではありません。むしろ、ずっと自分を後回しにして心の余裕を失ってしまうよりも、少し休んだり、自分らしい時間を持ったりすることが、その後の関わり方を穏やかにしてくれることもあります。
「自分の時間がほしい」と思ったときは、その気持ちを打ち消さず、「私は今、自分の生活も大切にしたいと思っているんだな」と受け止めてみてください。
そこから、介護か自分の人生かという二択ではなく、両方を少しずつ守っていく方法を考えられるようになります。
「介護か自分の人生か」の二択にしなくても大丈夫です

自分の時間がなくなっていることに気づいても、「では介護を減らせばいい」と簡単に割り切れるものではありません。親の生活には実際に支えが必要ですし、「私がやらなかったら誰がやるのだろう」という現実的な不安もあります。そのため私たちは、自分の生活を取り戻したいと思いながらも、「介護を続けるなら自分のことは我慢するしかない」と考えてしまうことがあります。
けれど、選択肢は「全部自分でやる」か「介護から離れる」かの二つだけではありません。
今やっていることの中には、どうしても私たち自身が必要なこともあれば、家族に頼めること、サービスを利用できること、毎回同じようにやらなくてもよいことが混ざっているかもしれません。
大切なのは、介護そのものを投げ出すことではなく、私たちが抱えている役割を少しずつ整理して、自分に戻せる時間を探していくことです。
一度に生活を変える必要はありません。まずは「本当にこれは全部、私がやらなければいけないのかな」と立ち止まってみるところから、自分の生活を取り戻す道が見えてきます。
「私がやらなければ」と思っていることを、一度すべて書き出してみる
介護を長く続けていると、毎日の作業が習慣になり、「自分がやるもの」と考えることが増えていきます。
病院の予約をする。通院に付き添う。薬を確認する。食料品を買う。食事を準備する。役所の手続きをする。電話に出る。親から連絡があれば様子を見に行く。
こうしたことを頭の中だけで管理していると、私たちはいつも「次に何をしなければいけないか」を考え続けることになります。それだけでも、心はかなり疲れます。
そこで一度、今自分が担っていることを紙やスマートフォンのメモに全部書き出してみてください。
そして、それぞれについて、
「本当に毎回私が必要?」
「誰かと分けられない?」
「頻度を減らせない?」
「外部の支援を使える部分はない?」
と考えてみます。
すぐに答えが出なくても大丈夫です。書き出す目的は、すべてを効率よくすることではなく、自分がどれだけ多くのことを抱えているのかを自分自身で確認することです。
「こんなにやっていたんだ」と気づくだけでも、「私の頑張りが足りないから疲れているのではない」と見え方が変わります。そして、その中から一つでも手放せるものが見つかれば、それが自分の時間を取り戻す最初の余白になります。
自分でなくてもできることは、少しずつ誰かに渡してみましょう
介護では、「人に頼むより自分でやったほうが早い」と感じることがあります。家族に説明するのが面倒だったり、親が自分以外の人を嫌がったりすると、つい「もう私がやる」と引き受けてしまうこともあるでしょう。
その積み重ねによって、気づけば私たちだけが親の生活全体を把握し、何かあるたびに最初に連絡を受ける存在になっていることがあります。
もちろん、すべてを急に任せる必要はありません。
たとえば、買い物だけ家族にお願いする。月に一度の通院だけ付き添いを代わってもらう。配食や介護サービスなど、利用できるものについて情報を集めてみる。ほんの一部分からでも十分です。
最初は、「ちゃんとやってくれるかな」「親が嫌がらないかな」と落ち着かないかもしれません。それでも、自分以外の人が関わる機会を少しずつ増やしていくことには意味があります。
なぜなら、私たち一人だけが介護を支える状態では、自分が体調を崩したときにも代わりがいなくなってしまうからです。
誰かに任せることは、責任を放棄することではありません。介護を一人だけの仕事にしないための準備でもあります。
「全部自分でやらない」という選択を少しずつ増やすことで、私たちの生活の中にも、自分のために使える時間が戻り始めます。
30分でも「介護をしない時間」を先に予定に入れてみる
介護をしていると、「時間ができたら休もう」と考えがちです。
けれど実際には、一つ用事が終わると次の用事が見つかります。洗濯が終わったら買い物、買い物が終わったら電話、少し空いたら親の様子を確認する。その結果、「今日も自分のことは何もできなかった」と一日が終わってしまいます。
そこで、空いた時間を自分に使うのではなく、先に自分の時間を予定として確保するという考え方を取り入れてみます。
最初から半日や一日を空ける必要はありません。
30分カフェに行く。好きな番組を見る。本を読む。散歩する。昼寝する。何もせずお茶を飲む。それだけでもかまいません。
大切なのは、「家事が全部終わったら」「親が落ち着いたら」という条件をつけすぎないことです。介護には、完全に何もすることがない瞬間がなかなか訪れません。
だからこそ、「水曜日の午後3時から30分は自分の時間」のように、小さく予定に入れておきます。
最初は罪悪感が出てくるかもしれません。そのときは、「介護から逃げているのではなく、私自身の生活を守る時間なんだ」と考えてみてください。
30分でも、自分で使い方を決められる時間がある。その感覚が少しずつ増えていくと、「私の人生は介護だけではない」と思い出しやすくなります。そして次は、その時間の中で、私たちが本当はどんなことをしたかったのか、どんな毎日を送りたいのかにも目を向けていきましょう。
生活を取り戻す第一歩は、「自分はどう過ごしたいか」を思い出すことです

介護の負担を少しずつ整理して、自分のために使える時間ができても、「では何をしたい?」と聞かれると、すぐには思い浮かばないことがあります。長い間、親の予定や体調を優先してきた私たちは、自分の希望を考えることそのものから遠ざかっている場合があるからです。
せっかく時間が空いても、「その間に家事をしておこう」「次の通院の準備をしよう」と、また誰かのための時間に使ってしまうこともあるでしょう。それだけ、介護を中心に考える生活が当たり前になっていたということです。
自分の生活を取り戻すために、いきなり大きな目標を見つける必要はありません。「昔は何をしている時間が好きだったかな」「最近、少しでもやってみたいと思ったことはあるかな」と、自分に問いかけるところからで十分です。
人生を取り戻すというと、大きく生活を変えることのように感じますが、実際には、自分の気持ちで選べる時間を一つずつ増やしていくことから始まります。
介護が始まる前、どんな時間が好きだったか思い出してみましょう
介護生活が長くなると、「以前の自分が何を楽しんでいたのか分からなくなった」と感じることがあります。
仕事帰りにお気に入りのお店へ寄ること。休日に友人とランチをすること。映画を見ること。本を読むこと。庭の手入れをすること。一人でゆっくりコーヒーを飲むこと。特別な趣味ではなくても、私たちには以前、自分の気持ちで選んでいた時間があったはずです。
ところが、介護が生活の中心になると、「そんなことをしている場合ではない」と少しずつ遠ざけてしまいます。そしていつしか、「私は何がしたいんだろう」と、自分のことが分からなくなることもあります。
そんなときは、「これから何をしたいか」を無理に決めようとせず、「以前はどんな時間が好きだったか」から振り返ってみると考えやすくなります。
写真を見返したり、昔よく行っていた場所を思い出したりするのも一つの方法です。
「あの喫茶店が好きだったな」
「友人とくだらない話をする時間が楽しかったな」
そんな小さな記憶の中に、自分らしさの手がかりがあります。介護によってなくなったのではなく、しばらく後ろに置かれていただけかもしれません。
大きなことではなく、「またやりたいこと」を一つ選んでみる
「自分の人生を取り戻したい」と思うと、旅行へ行く、趣味を再開する、働き方を変えるなど、大きな変化を考えてしまうことがあります。
でも、今の介護状況によっては、まとまった時間をつくることが難しい場合もあります。そのため、「やりたいけれど無理」となり、かえって落ち込んでしまうこともあるでしょう。
そこで最初は、今の生活の中でも実現できそうなことを一つ選んでみます。
「30分だけ近所のカフェへ行く」
「好きだったドラマを1話見る」
「友人にメッセージを送る」
「少し遠回りして散歩する」
これくらい小さくてかまいません。
大切なのは、何をするかよりも、自分がやりたいと思ったことを、自分のために選ぶ経験を取り戻すことです。
介護生活では、どうしても「しなければならないこと」が多くなります。だからこそ、「したいこと」を一つ生活の中に戻すだけでも、自分の感覚が変わってきます。
できなかった日があっても失敗ではありません。「また今度やってみよう」と思える余白を持ちながら、自分の時間を少しずつ増やしていきましょう。
「家族のため」ではなく、「自分のため」に選ぶ時間を持ってみる
介護をしていると、私たちの毎日は「誰かのためにすること」でいっぱいになります。
親のために病院へ行く。家族のために食事を作る。仕事のために予定を調整する。そうした時間はもちろん必要ですが、そればかりが続くと、「私は何のために毎日を過ごしているんだろう」と感じることがあります。
そこで、ときどき「これは誰のための時間?」と考えてみてください。
そして一日の中に一つでも、「これは私のため」と言える時間をつくってみます。
好きなものを食べる。読みたかった本を開く。誰にも気を遣わずぼんやりする。それだけでも構いません。誰かの役に立たなくても、何かの成果につながらなくてもいいのです。
介護する私たちには、「役に立っている自分」だけでなく、「ただ自分として過ごす時間」も必要です。
自分の生活を取り戻すとは、介護がなくなることではありません。介護がある生活の中でも、少しずつ「私はこうしたい」と選べる場面を増やしていくことです。
その小さな選択が積み重なると、やがて「介護だけが私の人生ではない」と感じられるようになります。そして最後は、家族を大切にすることと同じように、私たち自身の人生も置き去りにしないための考え方につなげていきます。
家族を支えながら、私たち自身の人生も置き去りにしないことが大切です

介護が続いていると、私たちは「親を支えること」と「自分の人生を大切にすること」を、どこかで両立しにくいもののように感じることがあります。自分の予定を優先すると親に申し訳ない。休みたいと思うと無責任な気がする。そんなふうに考えているうちに、自分の希望を後回しにすることが当たり前になってしまうこともあります。
けれど、家族を大切にすることと、私たち自身を大切にすることは、本来どちらか一方を選ぶものではありません。
介護する側が疲れ切り、自分の生活を失ってしまえば、親との関わりそのものが苦しいものになってしまうこともあります。だからこそ、親を支える生活の中にも、「私はどう過ごしたいのか」「私にとって大切なことは何か」を考える時間が必要です。
自分の人生を取り戻すというのは、介護をやめることではありません。介護がある今の生活の中で、少しずつ自分の気持ち、自分の予定、自分の楽しみを戻していくことです。
「家族のために生きる私」だけではなく、「自分のためにも生きる私」を大切にすること。その両方を守る視点が、これからの介護生活を続けていくための支えになります。
自分を大切にすることは、親を見捨てることではありません
自分の時間をつくろうとすると、「その間に何かあったらどうしよう」「親が寂しい思いをするのではないか」と不安になることがあります。
友人と食事へ行くことや、趣味の時間を持つことさえ、「こんなことをしていていいのかな」と感じる方もいるでしょう。
でも、私たちが自分のために時間を使うことと、親を大切に思っていることは矛盾しません。
むしろ、ずっと自分を後回しにしていると、知らないうちに疲れや不満が積み重なります。そして、本当は親に対して怒っているわけではないのに、「どうして私ばかり」と感じたり、ちょっとしたことで強い言葉が出てしまったりすることもあります。
そんな状態になるまで頑張るより、少し休み、自分の好きなことをして、また親と向き合える余裕をつくるほうが、長い目で見れば大切なこともあります。
自分を大切にすることは、介護から逃げることではありません。これからも関わっていくために、私たち自身の心を守ることでもあります。
「今日は少し休む」
「この時間だけは自分のために使う」
そんな選択をしたとき、罪悪感が出てきたら、「私は親を見捨てているのではなく、自分も大切にしようとしているんだ」と思い出してみてください。
「本当はどうしたい?」と自分に聞いてみると、気持ちが見えてくることがあります
介護について考えるとき、私たちは「何をしなければならないか」には慣れています。
病院へ連れていかなければいけない。
薬を確認しなければいけない。
買い物をしなければいけない。
けれど、「私は本当はどうしたい?」と聞かれると、答えに迷ってしまうことがあります。
長い間、自分の希望より家族の必要を優先してきたからです。
そんなときは、立派な答えを出そうとしなくても大丈夫です。
「一日だけ何も考えずに眠りたい」
「友人とゆっくり話したい」
「昔好きだった場所へ行きたい」
「誰にも気を遣わず、一人で過ごしたい」
そんな素直な気持ちからで構いません。
私たちは、「介護が嫌だ」と感じていると思っていても、丁寧に気持ちを見ていくと、「休む時間がないのがつらかった」「全部を一人で決めることに疲れていた」と、別の思いが見えてくることがあります。
自分の気持ちを言葉にすることは、すぐに問題を解決するためではありません。今の私たちが何を必要としているのかを知るためです。
「こうしたい」と思える気持ちが見えてきたら、その中から今できそうなことを一つ選んでみる。それが、自分の生活を取り戻していく小さな一歩になります。
自分の人生を取り戻すことは、小さな時間を自分に返すところから始まります
「自分の人生を取り戻す」と聞くと、生活を大きく変えなければならないように感じるかもしれません。
けれど、介護を続けながら暮らしている私たちにとって、急に自由な時間を何時間もつくることは難しい場合があります。
だからこそ、最初は小さな時間でいいのです。
朝10分だけ好きな飲み物をゆっくり飲む。
昼に30分だけ散歩へ出る。
夜に好きな動画を見る。
月に一度、友人と食事をする。
一見すると小さなことですが、その時間には大切な意味があります。
「この時間は、自分が選んだ」
「これは誰かのためではなく、私のため」
そう感じられる時間があることで、介護だけに覆われていた毎日の中に、自分自身が少しずつ戻ってきます。
もちろん、予定どおりにいかない日もあるでしょう。親の体調によって、楽しみにしていた予定を変更することもあります。それでも、「また次の機会につくろう」と思っていいのです。
大切なのは、自分の時間を一度持てたかどうかではなく、これからも自分の時間を持っていいと思えることです。
介護があるからといって、私たち自身の人生まで止める必要はありません。家族を支えながら、私たちも自分の生活を続けていく。
そのために、小さくても「自分に返す時間」を少しずつ増やしていきましょう。
介護だけの毎日になっていると感じたら、「ここより」で自分の気持ちを話してみませんか

親の介護を続けていると、いつの間にか自分のことを考える時間が少なくなっていきます。
「本当は少し休みたい」
「自分の時間がほしい」
「介護のことを考えずに過ごしたい」
「このまま自分の人生が終わっていくようで苦しい」
そんな気持ちが浮かんでも、「親が大変なのに、こんなことを思ってはいけない」と飲み込んでしまうこともあるでしょう。
でも、親を大切にしたい気持ちと、私たち自身の人生も大切にしたい気持ちは、どちらか一方を選ぶものではありません。
傾聴ラウンジ「ここより」は、介護の方法を決めるためだけではなく、今抱えている気持ちを、そのまま話せる場所です。
「どうしたいのか自分でも分からない」
「家族には弱音を言いにくい」
「答えはいらないから、とにかく誰かに聞いてほしい」
そんな状態でも大丈夫です。
話していく中で、「本当は一人で休みたかった」「誰かに分かってほしかった」「自分の時間も大切にしたかった」と、私たち自身の気持ちが少しずつ見えてくることがあります。
きれいに整理してから話す必要はありません。話がまとまっていなくても、途中で言葉に詰まっても、そのとき浮かんだことからお話しいただけます。
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「もう少し頑張ってから」ではなく、
「最近、自分の時間がなくなっているな」と感じたときに。
介護する私たち自身の生活や気持ちも、置き去りにしなくて大丈夫です。
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