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親族の世話を頼まれそうで不安…子どものいない叔父叔母との距離の取り方【相談事例】

親族の世話を頼まれそうで不安…子どものいない叔父叔母との距離の取り方【相談事例】

親の最期の世話をやり遂げたあと、少し気持ちが落ち着くかと思っていたところ、今度は他の親族からも頼られそうになり、不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回ご相談くださったのは、30代女性のIさんです。

ご自身の親族やご主人の親族に子どもがいない方が多く、叔父や叔母などから「私たちに何かあったらあなたたちがやるのよ」と言われたことで、将来のことを考えるたびに気持ちが重くなっていたそうです。

Iさんにはご自身の家族があり、子育ても仕事もあります。

「自分の親のことだけでも精一杯だったのに、他の親族の世話までは正直やりたくない」

そう思う一方で、断ったら関係が悪くなるかもしれないという不安もあり、親族と会う機会や連絡を取ること自体が憂うつになっていました。

お話を伺う中で、Iさんが先回りしてたくさんの不安を抱えていたこと、そして「親族だから自分たちが何とかしなければならない」と感じていたことが見えてきました。

今回は、親族の世話や身元引受を頼まれそうで不安になっていたIさんが、気持ちを整理しながら「できること」と「できないこと」の線引きを考えていった相談事例をご紹介します。

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■ 年齢:40代

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■ 得意なテーマ

- ペットロス・グリーフケア(死別や離別による悲嘆反応)
- 身近な人間関係の悩み(親子・配偶者やパートナー・女性同士など)
- とにかく話を聴いてほしいとき

■ 聴き方・スタイル

- お相手のペースに合わせてゆっくり聴きます
- 話がまとまっていなくても大丈夫
- 否定せず、穏やかに受け止めます
- 沈黙も気まずくしないスタイルです

■ 経験

- 自分自身のペットロスとグリーフの経験によりグリーフケアを学び、対象別自助グループ傾聴ボランティアに参加(ペット・配偶者やパートナー・子ども・親・きょうだいを亡くされた方々が参加する会)
- 死別経験(妊娠後期流産・義父・義母・父・愛犬)
- 病気で介護状態になった父の身元引受人の経験
- 結婚生活20年以上
- 犬の飼育経験
- 子育て経験
- 両親の離婚や母の再婚により複雑な家庭環境で過ごした経験
- 資格・認定:認定傾聴カウンセラー/グリーフケア心理カウンセラー/ペットロス専門士/グリーフ専門士/グリーフケア・アドバイザー/心のサポーター/かかわり愛サポーター

■ 大切にしていること

- どんなお話も否定しません
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■ 人柄・ユニークポイント

- 好きなもの:犬/お花/映画やドラマ鑑賞
- よく言われる性格:「やさしい」「落ち着いている」「話しやすい」「頼もしい」
- ちょっとしたこだわり:自分時間を大切にしてコーピングを増やすこと
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■ メッセージ

今おひとりで抱えているつらいお気持ちや社会では理解されにくいことなど、どのようなお話でも大丈夫です。うまく言葉にならなくても泣いてしまっても問題ありません。あなたのペースで、安心してお話しくださいね。

目次

親族の世話を頼まれそうで不安になった30代女性の相談事例

親の最期の世話を終えたあと、本来なら少し肩の力を抜きたい時期だったと思います。

それでもIさんの中には、ほっとする気持ちよりも、「次は誰のことを背負うことになるのだろう」という不安が大きく残っていました。

Iさんは30代の女性です。ご自身の家族があり、子育ても仕事もされています。日々の生活だけでも十分に忙しい中で、ご自身の親の世話を最後までやり遂げてこられました。

そんな中、叔父や叔母など、子どものいない親族から「私たちに何かあったらあなたたちがやるのよ」と言われるようになったそうです。

その言葉を聞いた瞬間、Iさんの中には重たい不安が広がりました。

「自分の親のことだけでも精一杯だったのに、他の親族の世話までは正直やりたくない」

そう思う一方で、はっきり断れば関係が悪くなるかもしれない。冷たい人だと思われるかもしれない。親族の集まりでまた同じことを言われたらどうしよう。

まだ具体的に何かを頼まれたわけではなくても、先のことを考えるだけで気持ちが沈み、親族との連絡を避けたくなるほど憂うつになっていました。

私はまず、Iさんが感じている不安をそのまま言葉にしてもらうことを大切にしました。

「頼られたくない」と思うことは、わがままなのでしょうか。

「できない」と言うことは、家族として冷たいことなのでしょうか。

Iさんの中にある迷いや罪悪感を急いで整理しようとせず、まずはその気持ちが出てきた背景を一緒に見つめていきました。

親の世話をやり遂げたあとに残った、終わらない役割への不安

Iさんは、ご自身の親の世話を最後までやり遂げてこられました。

親の最期に関わるということは、身体的にも精神的にも大きな負担があります。手続き、通院、生活のサポート、気持ちの揺れ、家族間の調整など、外からは見えにくい大変さがたくさんあります。

それを終えたあとであれば、本来は「よく頑張った」と少し立ち止まる時間があってもいいはずです。

けれどIさんの場合、その余韻の中で、叔父や叔母などから将来の世話を当然のように期待される言葉を受け取りました。

「私たちに何かあったらあなたたちがやるのよ」

この言葉は、言った側にとっては軽い確認のつもりだったのかもしれません。でも受け取る側にとっては、人生の大きな責任を突然手渡されたように感じることがあります。

Iさんは、自分の家族もいて、子育ても仕事もある中で、これ以上何かを背負う余裕がないと感じていました。

それでも親族だから無視できない。断れば角が立つかもしれない。そう考えるほど、不安はどんどん大きくなっていきました。

私は、Iさんが「やりたくない」と感じたこと自体を否定する必要はないと思いました。

それは冷たさではなく、これまで頑張ってきた人だからこそ出てきた、自然な心の反応だったのだと思います。

「断ったら関係が悪くなるかも」と考えてしまう苦しさ

Iさんが特につらそうに話されていたのは、「断ったら関係が悪くなるかもしれない」という不安でした。

親族との関係は、友人関係や職場の人間関係とは少し違います。簡単に距離を取れないこともありますし、冠婚葬祭や家族の集まりなどで顔を合わせる機会もあります。

そのため、「嫌です」「できません」と言えば済む話ではないと感じる方も多いと思います。

Iさんも、心の中では「これ以上は無理」と感じていました。

けれど同時に、「そんなことを言ったら冷たいと思われるのではないか」「親族の中で自分たちだけが悪者になるのではないか」と考えてしまい、はっきり言えずにいました。

その結果、実際に頼まれる前から、親族と会うこと自体が重たくなっていたのです。

「また言われたらどうしよう」

「その場でうまく返せなかったらどうしよう」

「断れずに流されてしまったらどうしよう」

こうした不安が頭の中で繰り返されると、まだ起きていないことなのに、まるでもう責任を背負っているような気持ちになることがあります。

私はIさんのお話を伺いながら、「今すぐ結論を出さなくても大丈夫です」とお伝えしました。

まず必要なのは、相手を説得することよりも、自分の中で何ができて、何ができないのかを整理することだと思ったからです。

断ることは、相手を見捨てることではありません。

自分の生活を守るために、無理なものは無理だと確認することでもあります。

先回りした不安をほどきながら、自分の生活を守る視点へ

Iさんのお話を一緒に整理していくと、まだ具体的な話し合いが始まっているわけではないものの、Iさんの中ではすでにたくさんの不安が先回りしていることが見えてきました。

「将来、介護を頼まれたらどうしよう」

「身元引受まで求められたらどうしよう」

「お金や手続きのことまで背負うことになったらどうしよう」

「夫側の親族のことまで自分たちに来たらどうしよう」

こうした不安は、どれも現実的な心配です。だからこそ、ただ「考えすぎですよ」と片づけることはできません。

私は、Iさんの不安を受け止めながら、まずは法的な扶養義務があるのかどうかを確認してみること、そして仮に何らかの義務があったとしても、すべてを自分たちだけで抱えなければならないわけではないことを一緒に整理しました。

大切なのは、「親族だから全部やる」か「まったく関わらない」かの二択で考えないことです。

できることと、できないこと。

手伝える範囲と、引き受けられない範囲。

自分たちの生活を守るために必要な線引き。

そこを落ち着いて考えていくことで、Iさんの表情は少しずつ変わっていきました。

また、直接伝えることが難しい場合には、専門家など第三者に入ってもらい、話し合いの場をつくる方法もあります。

身元引受などについても、親族だけで抱える以外に、代行してくれる会社を調べる選択肢があります。

Iさんは、それらの話を真剣に聞きながら、「もし次に会う機会があって頼られそうになっても、冷静に伝えられる気がする」と話してくださいました。

親族の問題を、ひとりで抱え込まなくていい。

その感覚を少しでも持てたことが、Iさんにとって大きな一歩だったのだと思います。

「どうしたら頼られなくなるのか」と悩むほど、気持ちは追い詰められていた

Iさんのお話を伺っていると、いちばん強く伝わってきたのは、「親族を嫌っているわけではない」ということでした。

叔父や叔母のことを大切に思う気持ちがまったくないわけではありません。

ただ、自分の親の世話をやり遂げたばかりで、心も体もまだ十分に休めていない中で、さらに他の親族の将来まで背負うことを考えると、どうしても苦しくなってしまう。

その気持ちは、とても自然なものだと感じました。

Iさんには、ご自身の家族があります。

子育てもあり、仕事もあり、毎日の生活を回していくだけでも、たくさんのエネルギーを使っています。

その中で、叔父や叔母などから「私たちに何かあったらあなたたちがやるのよ」と言われると、まるで将来の責任をすでに引き受けたような気持ちになってしまっていました。

Iさんは「どうしたら頼られなくなるでしょうか?」と話してくださいました。

この言葉の中には、単に面倒を見たくないという気持ちだけではなく、「自分の生活が壊れてしまうかもしれない」「断ったら責められるかもしれない」「親族との関係が悪くなるかもしれない」という、いくつもの不安が重なっていたように思います。

私はその言葉を急いで否定せず、まずはIさんが何に一番苦しさを感じているのかを丁寧に伺いました。

頼られることそのものがつらいのか。

断れない状況になりそうで怖いのか。

親族の期待を裏切るようで罪悪感があるのか。

それとも、自分の家族や生活を守れなくなることが不安なのか。

ひとつずつ言葉にしていく中で、Iさんの不安は少しずつ形を持ちはじめました。

漠然とした不安は、頭の中だけで抱えているとどんどん大きくなります。

けれど、何が怖いのか、どこまでならできそうなのか、何は無理なのかを分けて考えていくと、少しずつ自分の立ち位置が見えてくることがあります。

親族の期待が「断れない空気」になってしまう苦しさ

Iさんが感じていた苦しさのひとつに、親族からの言葉が「お願い」ではなく、「当然のこと」のように聞こえてしまうことがありました。

「何かあったらあなたたちがやるのよ」

この言葉は、言う側にとっては深刻な意味ではなかったのかもしれません。

将来の不安を口にしただけだったのかもしれませんし、親族だから頼れると思っていたのかもしれません。

けれど、受け取る側のIさんにとっては、その一言がとても重たく響いていました。

なぜなら、そこには「引き受けるかどうかを選んでいい」という余白があまり感じられなかったからです。

「お願いしてもいい?」ではなく、「あなたたちがやるのよ」と言われると、もう決まっていることのように感じてしまいます。

Iさんは、その場では強く言い返すことができませんでした。

親族との関係を壊したくない気持ちもありましたし、空気を悪くしたくないという思いもあったからです。

でも、言い返せなかったからといって、納得したわけではありません。

その場では笑って流したとしても、家に帰ってから何度もその言葉を思い出し、気持ちが沈んでしまう。

「また会ったときに同じことを言われたらどうしよう」

「次はもっと具体的に頼まれたらどうしよう」

そんなふうに考えるうちに、親族と連絡を取ること自体が負担になっていきました。

私は、Iさんが感じている重さは、決して大げさではないと思いました。

家族や親族の関係では、「昔からそうだから」「親族なんだから」「助け合うものだから」という言葉で、個人の負担が見えにくくなることがあります。

でも、助け合いは、一方が我慢し続けることではありません。

Iさんが苦しくなっていたのは、親族を大切にしていないからではなく、自分の生活を守るための余白がなくなりそうだったからだと思います。

「まだ起きていないこと」でも不安になるのは自然なこと

Iさんは、まだ具体的に介護や身元引受を正式に頼まれたわけではありませんでした。

それでも、気持ちはすでにかなり疲れていました。

周りから見ると、「まだ何も起きていないのに、そんなに心配しなくてもいいのでは」と思われるかもしれません。

でも、Iさんの中では、過去に親の世話を経験したからこそ、これから起こりうる大変さが具体的に想像できていたのです。

親の世話をするということが、きれいごとだけでは済まないこと。

時間も体力も気力も必要になること。

手続きやお金のこと、通院や生活の支援、最期に向けた判断など、簡単には引き受けられない現実があること。

Iさんは、それを知っていました。

だからこそ、叔父や叔母の言葉を軽く受け流せなかったのだと思います。

知らないから不安なのではなく、少し知っているからこそ不安になることもあります。

一度経験したからこそ、「また同じようなことが起きたら、自分は耐えられるのだろうか」と考えてしまう。

これは、とても自然な反応です。

私はIさんに対して、「考えすぎ」とは感じませんでした。

むしろ、これまで責任を持って向き合ってきた方だからこそ、将来のことを真剣に考えてしまっているのだと思いました。

ただ、その不安をひとりで抱え続けると、まだ起きていないことまで、今すぐ背負っているような苦しさになってしまいます。

そこで私は、Iさんと一緒に「今、実際に起きていること」と「これから起こるかもしれないこと」を分けて整理していきました。

今起きているのは、親族から将来をにおわせる言葉を受け取ったこと。

まだ起きていないのは、具体的な役割分担や正式な依頼、実際の介護や身元引受です。

このように分けてみるだけでも、Iさんの中に少しだけ距離が生まれたように感じました。

「できない」と思う自分を責めなくてもいい

Iさんは、「他の親族の世話まではやりたくない」と感じている自分に、どこか後ろめたさを持っているようでした。

親族なのだから、困ったときは助けるべきなのではないか。

自分が断ったら、誰が見るのだろうか。

冷たい人だと思われるのではないか。

そんな思いがあるからこそ、「やりたくない」とはっきり感じている自分を責めてしまうところがありました。

でも私は、Iさんのその気持ちを否定する必要はないと思いました。

人には、それぞれ生活があります。

守りたい家族があり、仕事があり、自分自身の心と体があります。

誰かの人生を支えることは、とても大きなことです。

親族だからという理由だけで、簡単に引き受けられるものではありません。

特にIさんは、すでにご自身の親の世話をやり遂げています。

その経験があるからこそ、「もう同じようには背負えない」と感じるのは、むしろ自然なことだと思います。

「できない」と思うことは、相手を大切にしていないという意味ではありません。

自分の限界を知っているということでもあります。

無理をして引き受けて、途中で自分の家庭や健康が崩れてしまえば、結果的に誰にとっても苦しい状況になってしまうかもしれません。

だからこそ、最初から「どこまでなら関われるのか」「何はできないのか」を考えることは、とても大切です。

私はIさんに、いきなり親族へ何かを伝える前に、まずは自分の中で線引きをしてみることを提案しました。

たとえば、情報を調べることならできるのか。

専門家につなぐことならできるのか。

金銭的な負担は難しいのか。

日常的な世話は引き受けられないのか。

このように分けて考えることで、「全部無理」か「全部引き受ける」かの二択ではなくなります。

Iさんは少しずつ、自分の生活を守ることも大切にしていいのだと受け止めていかれました。

ひとりで背負う前に、できることとできないことを分けて考える

Iさんのお話を伺いながら、私は「親族だから何とかしなければならない」という思いが、Iさんの中でとても大きな重荷になっているように感じました。

叔父や叔母から「何かあったらあなたたちがやるのよ」と言われたとき、Iさんはその場ではっきり断ることができませんでした。

けれど、それは引き受けると決めたわけではありません。

親族との関係を壊したくない気持ち。

冷たい人だと思われたくない気持ち。

自分の親の世話をしてきた経験があるからこそ、また同じような負担を背負うことへの怖さ。

いろいろな気持ちが重なって、すぐに言葉にできなかったのだと思います。

そこで私は、まず「本当にIさんがすべてを背負わなければいけないのか」というところから、一緒に整理していきました。

親族の世話や身元引受の話になると、気持ちの問題だけでなく、法律や制度、手続き、お金、生活の支援など、さまざまな現実が関わってきます。

だからこそ、感情だけで「やる」「やらない」を決めるのではなく、事実を確認しながら考えていくことが大切です。

たとえば、法的に扶養義務があるのかどうかを確認してみること。

仮に何らかの義務があったとしても、それが「生活を犠牲にしてすべてを引き受ける」という意味ではないこと。

できることと、できないことを分けて考えていいこと。

そして、自分の家庭や子育て、仕事、自分自身の心身の状態を優先していいこと。

そうした視点を一つずつ確認していく中で、Iさんの不安は少しずつ「何もかも怖い」という状態から、「調べられることがある」「伝えられることがある」という方向に変わっていきました。

親族の問題は、情だけで抱え込もうとすると、どんどん苦しくなります。

けれど、情報を集めたり、第三者の力を借りたりすることで、自分たちだけで背負わなくていい道が見えてくることもあります。

扶養義務があるかどうかを確認することで、不安に輪郭が出てくる

Iさんが大きく不安を感じていた理由のひとつは、「親族だから、いつか自分たちが全部やらなければいけないのではないか」という思いでした。

叔父や叔母に子どもがいない場合、何かあったときに誰が支えるのかという問題は、たしかに現実的なテーマです。

ただ、その不安を頭の中だけで考え続けていると、どこまでが本当に必要なことなのか、どこからが思い込みなのかが見えにくくなってしまいます。

そこで私は、まず法的に扶養義務があるのかどうかを確認してみることを提案しました。

もちろん、法律のことは専門家に確認する必要があります。

ただ、「親族だから当然全部やる」と思い込んでしまう前に、実際にはどのような範囲の関係なのか、どのような義務があるのかを調べてみるだけでも、不安の形が少し変わることがあります。

Iさんの場合も、「何となく全部こちらに来る気がする」という漠然とした不安がありました。

でも、漠然とした不安は、とても大きく見えます。

まるで、まだ何も決まっていないのに、すでに介護も手続きもお金のことも全部背負わされているような気持ちになってしまいます。

だからこそ、「今わかっていること」と「まだ決まっていないこと」を分けることが大切だと思いました。

法的なことを確認するのは、親族を突き放すためではありません。

自分たちがどこまで関わる可能性があるのかを知り、必要以上に怖がりすぎないための準備です。

また、義務がある可能性があったとしても、それは「自分の生活を壊してまで全部背負う」という意味ではありません。

Iさんにはご家族がいて、子育ても仕事もあります。

その生活を守りながら考えることは、決してわがままではありません。

むしろ、無理な約束をしないためにも、最初に現実を確認しておくことが大切なのだと思います。

「できること」と「できないこと」を分けると、断ることへの怖さが少し軽くなる

Iさんは、「断る」という言葉にとても強い抵抗を感じていました。

断ったら、親族との関係が悪くなるかもしれない。

冷たい人だと思われるかもしれない。

困っている人を見捨てるように見えるかもしれない。

そんな不安があったからです。

けれど、お話を整理していく中で、私はIさんに「全部を断るか、全部を引き受けるかで考えなくても大丈夫です」とお伝えしました。

親族の世話に関することは、ひとつの大きなかたまりに見えます。

でも実際には、いろいろな内容に分けることができます。

たとえば、情報を調べること。

相談先を一緒に探すこと。

必要な手続きについて専門家を紹介すること。

話し合いの場に同席すること。

一方で、日常的な世話を担うこと。

お金を負担すること。

自宅に引き取ること。

仕事や子育てを犠牲にして対応し続けること。

こうして細かく分けてみると、「これはできるかもしれない」「これは難しい」と考えやすくなります。

Iさんも、最初は「頼られたら全部やらなければならない」と感じていました。

でも、できることとできないことを分けていくうちに、自分の中で少しずつ線引きが見えてきたようでした。

断ることは、相手を完全に拒絶することではありません。

「ここまではできます。でも、ここから先はできません」と伝えることも、ひとつの関わり方です。

それは、自分の生活を守りながら、できる範囲で向き合うための方法でもあります。

Iさんにとって大切だったのは、「親族だから全部抱えなければいけない」という思い込みから、少し距離を取ることでした。

自分の家庭を守りながら考えていい。

子育てや仕事を優先していい。

体力や気持ちに余裕がないときは、無理だと言っていい。

そう確認していくことで、Iさんの中にあった「断ることへの怖さ」は、少しずつ現実的な備えに変わっていきました。

第三者に入ってもらう選択肢があると、直接言えない不安を抱えすぎずに済む

Iさんは、親族に対して自分の気持ちを直接伝えることにも不安を感じていました。

本当は「他の親族の世話までは難しい」と思っている。

けれど、それをそのまま言えば角が立つかもしれない。

感情的に受け取られてしまうかもしれない。

親族の集まりで気まずくなるかもしれない。

そう考えると、なかなか言い出せなくなってしまうのも自然なことだと思います。

そこで私は、直接伝えることが難しい場合には、話し合いの場に第三者を入れる方法もあるとお伝えしました。

たとえば、法律や福祉、身元引受などに詳しい専門家に相談すること。

親族だけで話すのではなく、客観的な立場の人に入ってもらうこと。

自分たちができない理由を、感情論ではなく現実的な事情として整理して伝えること。

こうした形を取ることで、「私が悪者になって断る」という感覚が少し和らぐ場合があります。

親族同士だけで話すと、どうしても昔からの関係性や感情が強く出やすくなります。

「家族なんだから」

「前にも助けてくれたじゃない」

「他に頼れる人がいないから」

そんな言葉が出てくると、Iさんのようにやさしい方ほど、自分の限界よりも相手の期待を優先してしまうことがあります。

でも、第三者が入ることで、話し合いの内容を少し冷静に整理しやすくなります。

また、身元引受についても、親族が必ずすべてを担わなければならないわけではなく、費用を払うことで代行してくれる会社を検討できる場合があります。

もちろん、サービスの内容や費用、信頼できる会社かどうかは慎重に確認する必要があります。

それでも、「親族だけで抱えるしかない」と思っていたIさんにとって、他の選択肢があると知ることは大きな安心につながったようでした。

Iさんは、私の話をとても真剣に聞いてくださいました。

そして、すぐにすべてが解決したわけではありませんが、「調べてみること」「準備しておくこと」「第三者に頼ること」が選択肢として見えてきたことで、少しずつ落ち着きを取り戻していかれました。

親族の問題をひとりで抱えなくていいと思えた時間

お話を整理していく中で、Iさんは少しずつ「自分たちだけで全部抱えなくてもいいのかもしれない」と感じられるようになっていきました。

最初にお話しくださったときのIさんは、叔父や叔母から頼られそうな未来を想像して、とても不安そうでした。

親の最期の世話をやり遂げたばかりなのに、今度は子どものいない親族のことまで自分たちに回ってくるのではないか。

もし断ったら、親族との関係が悪くなるのではないか。

また会う機会があったとき、同じようなことを言われたらどう返せばいいのか。

そうした不安が重なり、親族との連絡を避けたくなるほど気持ちが沈んでいました。

私は、Iさんが感じている不安を「考えすぎ」とは受け取りませんでした。

親族の世話は、精神的にも肉体的にも大きな負担があります。

実際に親の世話を経験してきたIさんだからこそ、その大変さを具体的に想像できてしまうのだと思いました。

だからこそ、まずはその不安を言葉にしてもらいながら、何が怖いのか、どこまでが現実に起きていることなのか、どこからがまだ決まっていないことなのかを一緒に分けていきました。

そして、法的な扶養義務を確認してみること。

できることとできないことを分けて考えること。

直接伝えにくい場合には、専門家など第三者に入ってもらう方法があること。

身元引受についても、親族だけで担う以外の選択肢を調べられること。

そうした話を一つずつ確認していく中で、Iさんの中に少しずつ余白が生まれていきました。

相談の終わりには、Iさんから「もし次に会う機会があって頼られそうになったら、冷静に伝えられる気がする」という言葉がありました。

まだ具体的な話し合いが終わったわけではありません。

それでも、Iさんが自分の生活を守りながら考えていいと思えたことは、とても大切な一歩だったように感じています。

すぐに答えを出せなくても、準備しておくことで気持ちは少し落ち着く

親族の世話や身元引受の話は、すぐに結論を出せるものではありません。

特にIさんのように、自分の家族があり、子育ても仕事もしている中で、将来の親族のことまで考えるのはとても大変です。

「やります」と簡単には言えない。

でも、「できません」とはっきり言うのも怖い。

その間で揺れるのは、とても自然なことだと思います。

Iさんも最初は、「どうしたら頼られなくなるでしょうか?」という気持ちが強くありました。

頼られることそのものが怖いというより、頼られたときに断れない自分を想像して、不安になっていたのかもしれません。

そこで大切になるのは、いきなり親族に答えを出すことではなく、まず自分の中で準備をしておくことです。

たとえば、法的にどこまでの関係があるのかを調べておく。

身元引受や生活支援について、どんな制度やサービスがあるのかを知っておく。

自分たちの家庭で、どこまでなら関われるのかを話し合っておく。

こうした準備があるだけでも、いざ何か言われたときに、ただ流されるのではなく、落ち着いて返しやすくなります。

Iさんも、相談後に扶養義務や代行会社について調べてみたそうです。

それは、親族を突き放すためではありません。

自分たちの生活を守りながら、現実的に考えるための行動です。

不安は、頭の中だけでぐるぐる考えていると、どんどん大きくなります。

でも、少し調べてみる。

誰かに聞いてみる。

選択肢を知ってみる。

それだけで、「何もわからない怖さ」から少し距離を取れることがあります。

Iさんにとっても、準備できることがあるとわかったことは、大きな安心につながったように思います。

自分の家庭や生活を優先することは、冷たいことではない

Iさんが何度も気にされていたのは、「断ったら冷たいと思われるのではないか」ということでした。

親族だから助けるべき。

困っている人がいたら見捨ててはいけない。

そんな考えが心のどこかにあると、自分の限界を伝えることに罪悪感を持ってしまうことがあります。

でも、自分の家庭や生活を優先することは、冷たいことではありません。

Iさんには、守るべき毎日の暮らしがあります。

子育てもあり、仕事もあり、ご自身の心と体もあります。

その生活を後回しにしてまで、親族の世話をすべて引き受けることが、本当に誰にとっても良いことなのかは、慎重に考える必要があります。

無理をして引き受けた結果、Iさん自身が疲れ切ってしまったらどうでしょうか。

家庭の中に余裕がなくなり、子どもやパートナーとの時間が削られてしまったらどうでしょうか。

仕事にも影響が出て、心身のバランスを崩してしまったらどうでしょうか。

そうなってしまう前に、「ここまではできます」「ここから先は難しいです」と線を引くことは、とても大切です。

私はIさんに、自分の生活を守ることも立派な責任だと感じてほしいと思いました。

親族を大切にすることと、自分の家庭を大切にすることは、どちらか一つしか選べないものではありません。

ただ、優先順位を考える必要はあります。

Iさんが自分の家族や生活を守りながら、できる範囲で関わる方法を考えることは、わがままではありません。

むしろ、無理な約束をしないための誠実な姿勢だと思います。

「できない」と言うことは、相手を拒絶することではなく、現実をきちんと伝えることでもあります。

その視点を持てたことで、Iさんの中にあった罪悪感は少しずつ和らいでいったように感じました。

親族の世話に不安があるときは、ひとりで抱え込まないでいい

親族の世話や将来の身元引受について考えるとき、多くの方が「家族の問題だから、家族の中で何とかしなければ」と思いがちです。

けれど、実際には家族だけで抱えるには重すぎることもあります。

介護、医療、生活支援、お金、住まい、手続き、最期のこと。

どれも簡単に決められるものではありません。

まして、子育てや仕事をしながらそれらを担うとなると、負担はさらに大きくなります。

Iさんが不安になったのも、決して弱いからではありません。

むしろ、親の世話を経験し、その大変さを知っているからこそ、次に起こるかもしれないことを真剣に考えていたのだと思います。

だからこそ、親族の問題をひとりで抱え込まないことが大切です。

法律のことは専門家に確認する。

介護や福祉のことは地域の窓口に相談する。

身元引受については、信頼できるサービスや代行会社を慎重に調べる。

親族との話し合いが難しい場合は、第三者に入ってもらう。

そうした選択肢を持つことで、「自分たちだけが背負わなければならない」という思い込みから少し離れることができます。

Iさんも、すべてがすぐに解決したわけではありません。

具体的な話し合いは、まだこれからです。

それでも、「もし次に頼られそうになったら、冷静に伝えられる気がする」と感じられたことは、とても大きな変化でした。

親族の世話を不安に思うことは、悪いことではありません。

負担が大きいからこそ、不安になるのは当然です。

そして、不安を感じたときこそ、ひとりで抱え込まず、情報を集めたり、誰かに話したりしながら、自分の生活を守る方法を考えていけばいいのだと思います。

親族の世話をひとりで抱え込まないために

親族の世話や将来の身元引受について考えると、「家族なんだから自分が何とかしなければ」と感じてしまうことがあります。

でも、自分の生活や家族、仕事、子育てを犠牲にしてまで、すべてを背負わなければならないわけではありません。

不安になるのは、冷たいからではありません。

それだけ大きな責任を前にして、自分の心が「このまま抱えたら苦しいかもしれない」と知らせてくれているのだと思います。

今回のIさんも、最初は「どうしたら頼られなくなるのか」と悩んでいました。

けれど、お話を整理していく中で、できることとできないことを分けて考え、自分の生活を守りながら向き合っていいのだと少しずつ受け止めていかれました。

親族の問題は、ひとりで考えていると不安ばかりが大きくなりやすいものです。

「断っていいのかわからない」
「どこまで関わるべきか迷っている」
「親族との関係を悪くせずに伝えたい」

そんな気持ちがあるときは、一度立ち止まって、今の思いを言葉にしてみませんか。

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ひとりで抱え込まず、まずは今の気持ちを整理するところから始めてみてください。

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