姉妹を比べて苦しくなる理由|妹が幸せそうに見えてつらい…40代女性の相談エピソード

お正月に実家へ帰っただけなのに、なぜか胸がぎゅっと苦しくなる。そんな経験はありませんか。家族が集まる場で、妹夫婦の楽しそうな会話や笑い声を見て、「いいな」と思った瞬間に、今度は「姉なのに羨ましがるなんて最低だ」と自分を責めてしまう——今回の相談者Sさん(40代)は、まさにその渦の中にいました。
私がまず大切にしたのは、答え探しよりも「いま感じているつらさ」をそのまま吐き出してもらうことです。評価もしないし、正しさも決めません。「私はちゃんとやってきたはずなのに」「なんであの子ばかり…」そんな言葉が出てくるのは、心が弱いからじゃなくて、ずっと頑張ってきた証拠かもしれないから。
この記事では、姉妹を比べて苦しくなる気持ちの正体と、比べてしまう自分を責めないためのヒントを、Sさんのエピソードを通してお話しします。うまく言葉にならなくても大丈夫。読んでいるうちに「私だけじゃなかった」と、少しでも心が軽くなるきっかけになればうれしいです。


投稿者プロフィール

- よりびと
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目次
- ○ お正月、妹の笑い声がまぶしくて…「姉なのに」と苦しくなった日
- ・「羨ましい」の裏側にあるのは、意地悪さじゃなくて“寂しさ”だった
- ・「姉なんだから」の呪いで、ずっと自分を追い立ててきた
- ・家族が集まる場でしんどくなるのは「性格」じゃなくて“役割”のスイッチが入るから
- ○ 「ちゃんとしてきた私」が報われない気がして…姉妹比較が止まらなくなった理由
- ・「正しい選択をすれば幸せになれる」は、頑張ってきた人ほど信じやすい
- ・姉妹比較がしんどいのは、妹よりも「過去の自分」と戦っているから
- ・「恵まれてるのに不満を言うのは贅沢」その思い込みが、苦しさを長引かせる
- ○ 「羨ましい」と言えた瞬間、心がほどけた。比べる癖を責めないカウンセリング
- ・まずは「羨ましい」を悪者にしない。感情に点数をつけない練習
- ・「比べる相手」は妹じゃなくて“理想の自分”だったと気づいた瞬間
- ・境界線をつくる:「昔の役割」と「今の私」を切り分けていく
- ○ 比べて苦しくなるのは、弱いからじゃない。あなたが“ちゃんと生きてきた”証拠
- ・「比べないようにする」より先に、「比べた自分を責めない」を優先していい
- ・羨ましさは「私もこうなりたい」のメッセージ。願いとして受け取ると道が見える
- ・次の帰省が少しラクになる「心の準備」:集まりの前後にできるミニ習慣
- ○ 読者へのメッセージ
お正月、妹の笑い声がまぶしくて…「姉なのに」と苦しくなった日
お正月に実家へ帰るのは、ほんとは「のんびりしたい」と思っていたはずなのに。家族が集まって、いつもより賑やかな空気になるほど、なぜか心が落ち着かない。そんなことってありませんか。今回の相談者Sさん(40代)は、実家で妹夫婦の楽しそうな会話を目にした瞬間、胸の奥がギュッと締めつけられるような苦しさを感じました。妹の家庭は笑い声が多く、夫婦のやり取りも自然で、安心感がにじんで見えたそうです。でもSさんはその横で、うまく輪に入れない自分を感じ、「早く帰りたい」と思ってしまう。そして次に湧いてきたのが、「姉なのに、羨ましいなんて思う私はダメだ」という罪悪感でした。
ここがつらいポイントで、羨ましさよりも、羨ましがってしまう自分を責める気持ちが、苦しさを何倍にもしてしまうんですよね。Sさんの言葉には「私はちゃんとやってきたはずなのに」「私なりに努力してきたのに」という想いも何度も出てきました。比べたくて比べているわけじゃないのに、勝手に比べて、勝手に傷ついてしまう——そんな状態から、私たちは一緒に整理を始めました。
「羨ましい」の裏側にあるのは、意地悪さじゃなくて“寂しさ”だった
Sさんが話してくれたのは、「妹が幸せそうでムカつく」みたいな攻撃的な気持ちではありませんでした。どちらかというと、寂しさとか、置いていかれた感じに近いもの。たとえば、妹夫婦が自然に冗談を言い合って笑っている場面を見たときに、「あの空気、いいな」と思う。次の瞬間、自分の家庭を思い出して、言葉にしづらい“空白”みたいなものが胸に広がる。
ここで起きやすいのが、「羨ましい=性格が悪い」という決めつけです。でも実際には、羨ましさって“悪い感情”というより、自分の大事な欲求が見えているサインなんですよね。「あんなふうに安心して笑いたい」「家の中で気を張らずに過ごしたい」みたいな願いがあるからこそ、まぶしく見える。
Sさんも、話しながら少しずつ「私、妹みたいになりたいわけじゃないんです。ただ…私も、安心したかったのかも」と言葉を変えていきました。羨ましさを否定しないで眺めてみると、意外と奥にあるのは“攻撃”じゃなくて“願い”なんです。まずそこに気づけると、「私ってダメだ」の自己否定が、少しだけ緩んできます。
「姉なんだから」の呪いで、ずっと自分を追い立ててきた
Sさんが何度も口にしたのが、「姉なんだから、ちゃんとしなきゃ」という言葉でした。これ、口癖みたいに言ってしまう人も多いんですけど、実はかなり強力です。だってこの言葉って、しんどい時に甘えたり、弱音を吐いたりする道をふさぐから。
お正月の場面でも、Sさんは本当は「居心地が悪い」「早く帰りたい」と感じていた。でもそれをそのまま認める前に、「でも姉としてちゃんとしていないと」「こんなことで苦しくなるなんておかしい」と自分にダメ出しをしてしまう。
さらに苦しくなるのは、「真面目に正しい選択をしていれば幸せになれるはず」という前提を持っているときです。頑張ってきた人ほど、ここに引っかかります。自分の努力が報われてほしいし、正しく生きた証明がほしい。でも目の前で妹が幸せそうに見えると、心のどこかで「私の頑張りって何だったの?」という痛みがうずく。
だからSさんの苦しさは、心が弱いからじゃなくて、むしろ逆で、ずっと踏ん張ってきた人の反動みたいなものだったんですよね。「姉なんだから」を握りしめてきた分だけ、ほどけるときは痛む。そこを丁寧に見ていくことが、最初の一歩になります。
家族が集まる場でしんどくなるのは「性格」じゃなくて“役割”のスイッチが入るから
「家族が集まると、なんか疲れる」って、理由がはっきりしないことも多いです。Sさんも最初は、「私が性格悪いのかな」「心が狭いのかな」と悩んでいました。でも私は、まずこう考えます。家族の場って、良くも悪くも、昔の“役割”が呼び起こされやすい場所なんです。
たとえば実家に帰ると、自然と「長女モード」「気を遣うモード」「ちゃんとするモード」に切り替わってしまう。両親が何か言ったわけじゃなくても、空気で感じるものってありますよね。Sさんも「昔からの役割分担が変わっていない気がする」と話していました。そうなると、場にいるだけでエネルギーを使うし、気持ちが置いてけぼりになりやすい。
一方で妹さんは、ありのままの自分でいられるように見えた。その差を見たとき、Sさんの中に「私はずっと頑張ってきたのに」という気持ちが出てくるのは自然です。
ここで大事なのは、「家族が集まるとしんどい自分」を直すことじゃなくて、スイッチが入っていることに気づいて、少しだけ緩める工夫を持つこと。たとえば帰省後に一人時間を確保する、早めに帰る選択肢を用意する、心の中で「今は長女役が出てるだけ」とラベリングする。そういう“小さな逃げ道”があるだけで、集まりの後に自分を責め続ける時間は減っていきます。
「ちゃんとしてきた私」が報われない気がして…姉妹比較が止まらなくなった理由
Sさんの話を聞いていると、いちばん苦しかったのは“妹そのもの”というより、妹を見たときに自分の中で始まってしまう「採点」が止められないことでした。
妹夫婦の笑い声を耳にした瞬間、「いいな」と思う。そこまでは自然です。でも次の瞬間には、「それに比べて私は…」と心の中で自分の暮らしや、これまでの選択や、頑張り方まで並べ始めてしまう。しかもこの採点は、だいたい自分に厳しい点数しかつけません。
Sさんは「私はちゃんとやってきたはずなのに」「真面目に正しい選択をしてきたと思うんです」と何度も言いました。ここに、姉妹比較が深く刺さる理由があります。
“ちゃんと”って、悪いことじゃない。むしろ責任感があるし、信頼されやすい。でも、ちゃんとしてきた人ほど、「こうすれば幸せになれるはず」という期待も強くなりやすいんですよね。だからこそ、目の前で妹が幸せそうに見えると、「私の努力って何だったんだろう」と、心がぐらっと揺れてしまう。
この章では、Sさんの中で起きていた「比べるスイッチ」の正体を、少しずつほどいていきます。
「正しい選択をすれば幸せになれる」は、頑張ってきた人ほど信じやすい
Sさんの言葉の端々から感じたのは、「私は間違っていないはず」という気持ちでした。これ、責めたいわけじゃなくて、むしろ健気なんです。だって、間違えないように一生懸命考えて、努力して、周りにも迷惑をかけないようにしてきた。そうして積み上げたものがあるから、「正しい選択=幸せにつながる」と信じたくなるのは当然です。
でも現実って、ちょっと意地悪で、正しく頑張ったからといって、必ずしも“分かりやすい幸せ”が来るとは限りません。家庭の空気感、夫婦の相性、タイミング、周りの環境…いろんな要素が重なって、結果が見える。そこに「努力だけで決まらない部分」があると、真面目な人ほど納得しづらいんですよね。
だから妹が幸せそうに見えたとき、Sさんの心の中では「私は何を間違えたの?」という問いが立ち上がってしまう。妹に勝ちたいわけじゃなくて、自分の頑張りが無駄じゃなかったと思いたい。それがうまく言えないまま、羨ましさや苦しさになって出てくる感じです。
ここで大事なのは、「正しい選択を信じてきた自分」を否定しないこと。むしろそれは、Sさんが人生を大切にしてきた証拠です。そのうえで、「幸せはテストの点みたいに結果が一枚で出るものじゃない」と視点を増やしていく。視点が増えると、比べるスイッチの勢いが少し弱まっていきます。
姉妹比較がしんどいのは、妹よりも「過去の自分」と戦っているから
姉妹比較って、表面だけ見ると「妹が羨ましい」という話に見えます。でもSさんの場合、話を丁寧に追っていくと、実は“妹”という相手よりも、「こう生きるべきだった」「こうすればよかった」という、過去の自分へのダメ出しが強かったんです。
たとえば、妹夫婦の自然な会話を見たときに、「うちにはああいう空気がない」と感じる。そこから「じゃあ私がもっとこうしていれば…」「私の選び方が悪かったのかな」と、原因探しが始まる。
これは一見、反省して前に進もうとしているようで、心の中では“裁判”が起きています。証拠集めをして、判決を出して、最後に自分に罰を与えるみたいな。そりゃ疲れますよね。
さらに、Sさんは「姉だから」「ちゃんとしなきゃ」を抱えてきた分、過去の自分を許すハードルも高くなりがちです。「あの時の私だって必死だった」と思えたら少し楽なのに、「でも…」と厳しさが出てしまう。
だから姉妹比較で苦しくなるときって、実は“今の妹”よりも、“過去の自分”を責め続けている可能性があるんです。
ここに気づけると、対処の方向性が変わります。妹をどうこうするんじゃなくて、「あの頃の私がどれだけ頑張っていたか」を言葉にしてあげること。過去の自分を味方にできると、比較の痛みはかなり和らいできます。
「恵まれてるのに不満を言うのは贅沢」その思い込みが、苦しさを長引かせる
Sさんが抱えていた前提のひとつに、「恵まれているのに不満を持つのは贅沢」というものがありました。これ、言い換えると「不満を感じる資格がない」という思い込みでもあります。
たしかに、生活が成り立っている、家族がいる、大きな問題がない。そういう“外から見た条件”がそろっていると、「こんなことでつらいなんて言っちゃダメ」と思いやすいんですよね。
でも、心のつらさって、条件だけで決まらないんです。たとえば同じ環境でも、孤独を強く感じる人もいれば、あまり気にならない人もいる。大事なのは「自分がどう感じたか」。
Sさんはお正月の場面で、居場所がないような感覚になって、苦しくなった。それは事実です。そこに「贅沢」とか「わがまま」とか、追加でラベルを貼ると、つらさが二重三重になります。
このタイプの人ほど、まず最初に必要なのは“許可”です。
「つらいって思っていい」
「羨ましいって感じてもいい」
「姉でも、しんどい日はしんどい」
そうやって、感情に席を用意してあげること。感情が認められると、ようやく整理が始まります。
不満を言うのは、誰かを責めるためじゃなくて、自分の心を守るためのサイン。Sさんの場合も、「贅沢だ」と押し込めていた気持ちを少しずつ言葉にできたことで、自分を責め続ける時間が減っていきました。
「羨ましい」と言えた瞬間、心がほどけた。比べる癖を責めないカウンセリング
Sさんがいちばん驚いていたのは、「妹が羨ましい」と口にしただけで、想像以上に涙が出てきたことでした。
これってすごく大事なポイントで、私たちは普段、羨ましさを感じた瞬間にすぐブレーキを踏みがちなんですよね。「そんなこと思っちゃダメ」「性格悪い」「姉なのに恥ずかしい」って。ブレーキを踏めば踏むほど、感情は行き場をなくして、体の奥に溜まっていく。だからある日、実家のお正月みたいに逃げ場が少ない場面で、一気にあふれやすくなります。
カウンセリングでは、まず“直す”より先に、“そのまま出す”ことを大切にします。Sさんにも、「羨ましいって思うほど、ずっと頑張ってきたんだと思うよ」「比べてしまうのは、Sさんが悪いからじゃないよ」とお伝えしました。するとSさんは、少し肩の力が抜けたような表情になって、「私、羨ましいって言ったら終わりだと思ってました」とぽつり。
でも実際は逆で、言葉にできた瞬間から、心は整理に向かい始めます。ここでは、Sさんが“比べる癖”を責めるのをやめていく過程を、具体的にお話しします。
まずは「羨ましい」を悪者にしない。感情に点数をつけない練習
Sさんにとって「羨ましい」は、ずっと“出しちゃいけない感情”でした。感じた瞬間に、自分で自分を注意する。いわば心の中に厳しい先生がいて、「そんなこと思うのはダメ!」って言ってくる感じです。
でも、感情って天気みたいなもので、湧いてくるのを止めるのは難しいんですよね。晴れの日もあれば雨の日もある。雨を「ダメな天気」と決めつけるほど、雨の日がつらくなる。羨ましさも同じで、湧いたこと自体が問題なんじゃなくて、「湧いた自分はダメ」と評価してしまうことが、いちばん心を傷つけます。
そこで最初にやるのが、感情に点数をつけない練習です。
「羨ましいんだね」
「苦しくなるくらい、まぶしく見えたんだね」
この“ね”が大事で、正解を決めずに、ただ確認する。すると不思議なんですけど、感情って受け止められると少し落ち着きやすい。暴れなくなるんです。
Sさんも最初は「羨ましいって言うの、抵抗あります」と言っていました。でも、何度か言葉にしていくうちに、「羨ましいって、私の願いなんですね」と自分で気づいていきました。
羨ましさ=意地悪じゃない。羨ましさ=“欲しかったもの”のヒント。こう捉え直せると、比べる癖に振り回される感じが、少しずつ減っていきます。
「比べる相手」は妹じゃなくて“理想の自分”だったと気づいた瞬間
Sさんが大きく変わったきっかけは、「妹に勝ちたいわけじゃない」と自分の本音に気づいたことでした。
たしかに、表面的には妹の家庭と自分の家庭を比べて苦しくなっている。でも深掘りしていくと、Sさんが本当に比べていたのは、妹という他人よりも、“こうあるべきだった私”なんですよね。
たとえばSさんの中には、
・姉としてちゃんとしている
・真面目に努力している
・正しい選択をしてきた
という「理想の自分像」がありました。そしてその理想に照らして、今の自分に×をつけてしまう。妹の幸せそうな姿は、その×を押されるスイッチになっていただけ。
だから、妹を遠ざけても根本は解決しにくいんです。どこにいても“理想の自分”がついてくるから。
ここで役に立つのが、「今の私は、どんな基準で自分を採点してる?」と気づくこと。
Sさんには、採点が始まったときに心の中で一旦止まって、
「また点数つけてるな」
「理想の私が出てきたな」
とラベリングする練習をしました。たったそれだけ?と思うかもしれませんが、これが効きます。自動運転の採点に、少しだけ“手動操作”が入るからです。
Sさんも「妹を見て苦しくなるのは、妹が悪いんじゃなくて、私が私を比べ続けてたのかも」と言っていました。ここまで来ると、次にやるべきことが見えます。妹を変えるのではなく、“理想の自分”の厳しさを少し緩めてあげること。それが、心の回復につながっていきます。
境界線をつくる:「昔の役割」と「今の私」を切り分けていく
もうひとつ、Sさんにとって大事だったのが“境界線”でした。といっても、人間関係をバッサリ切るみたいな話ではなくて、心の中で「ここから先は私の領域」「ここまでは家族の空気」と分けていくイメージです。
実家にいると、どうしても昔の役割が戻ってきます。長女として気を遣う、場を回す、我慢する。Sさんも「実家にいると、勝手にスイッチが入る」と話していました。でも今のSさんは大人で、昔と同じように背負わなくてもいいんですよね。
だから私が一緒に整理したのは、「過去の役割は当時のSさんを守ってくれた。でも今のSさんには別の選択肢がある」という視点です。
たとえば集まりの場で苦しくなったら、
・トイレやキッチンで一呼吸する
・自分のスマホに“戻る言葉”(例:私は私)をメモしておく
・滞在時間を最初から短めに決める
こういう小さな境界線が、心を守ってくれます。
Sさんは「全部をうまくやろうとしなくていいんですね」と言っていました。これも大きい変化です。
“姉として完璧にふるまう”をやめて、“今の私が無理しない”を優先する。そうやって境界線ができると、家族の場がゼロか百かの勝負じゃなくなります。
比べる気持ちが出ても、「出てもいい。でも私は私のペースで帰れる」と思えるだけで、心の消耗はかなり減っていきます。
比べて苦しくなるのは、弱いからじゃない。あなたが“ちゃんと生きてきた”証拠
Sさんは最後に、「妹を見ても、前みたいにズーンと落ちる感じが減りました」と話してくれました。もちろん、比べる気持ちがゼロになったわけではありません。人は誰でも、ふとした瞬間に比べてしまうものです。
でも大きく変わったのは、比べたあとに自分を責め続けなくなったことでした。「また比べちゃった…私って最低」と追い打ちをかける代わりに、「そっか、今の私は苦しかったんだね」と、自分の心を回収できるようになっていった。ここが本当に大事で、回復って“強くなること”というより、“自分の味方に戻ること”なんですよね。
Sさんが気づいたのは、姉妹で比べて苦しくなるのは性格の問題じゃなくて、むしろ真面目に頑張ってきた人ほど起きやすい反応だということ。姉として期待に応えようとしてきた分だけ、心が「私も安心したい」とサインを出していただけかもしれません。
ここでは、読者のあなたが今日から少し楽になるために、「比べてしまう自分」との付き合い方を、3つの視点でまとめます。
「比べないようにする」より先に、「比べた自分を責めない」を優先していい
よく「人と比べないことが大事」って言われますよね。もちろん理想としてはそうなんだけど、現実はそんなに簡単じゃないです。SNSを見ても、家族の集まりでも、職場でも、比べる材料はいくらでもある。だから「比べないぞ!」と気合いを入れるほど、比べてしまった瞬間に自己嫌悪が強くなることがあります。
Sさんもまさにこのタイプでした。比べた瞬間に、すぐ「ダメな自分」認定をしてしまう。ここで大事なのは、比べること自体よりも、その後の自分への扱いなんです。
比べた → 苦しくなった → 自分を責めた、の流れがあると、苦しさが長引きます。逆に、比べた → 苦しくなった → 「苦しかったね」と一回受け止める、に変えると、回復が早くなります。
たとえば心の中でこんな言い方をしてみてください。
「今、比べスイッチ入ったな」
「うん、そりゃ苦しいよね」
「でも、責めるのは後回しにしよう」
これだけで、心のダメージが全然違います。比べるクセを“矯正”するより、比べた自分に“優しくする”ほうが先。これは甘やかしじゃなくて、ちゃんと回復に必要な手順です。
羨ましさは「私もこうなりたい」のメッセージ。願いとして受け取ると道が見える
羨ましいって感情は、扱いが難しいですよね。自分でも認めたくないし、できれば見なかったことにしたい。でも、羨ましさって実はすごく素直な感情で、「私もそうなりたい」「私も欲しい」という願いが形を変えて出てきていることが多いんです。
Sさんの場合は、妹の“幸せそうな空気”が羨ましかった。でもそれは「妹みたいになりたい」というより、「安心して笑える家庭の空気が欲しい」「気を張らずに過ごしたい」という願いに近かったんですよね。
ここを“意地悪な感情”として封印すると、願いも一緒に封印されます。結果、「何が欲しいのか分からないけど、満たされない」状態が続いてしまう。
だからおすすめは、羨ましさを分解することです。
「私は何が羨ましいんだろう?」
「どの場面がいちばん刺さった?」
「本当は、私はどうしたい?」
これを考えるだけで、羨ましさが“ただの毒”じゃなくて、“地図”になります。
そして地図ができたら、小さく叶える方向へ。いきなり人生を変えなくていいです。夫婦の会話を5分だけ増やす、家で笑える時間を意識して作る、安心できる友人に話す。小さくでも願いに近づくと、「比べて傷つく時間」はちゃんと減っていきます。
次の帰省が少しラクになる「心の準備」:集まりの前後にできるミニ習慣
「わかってはいるけど、またお正月(帰省)が来たら同じ気持ちになりそう」って思いますよね。ここ、すごく現実的で大事な視点です。気持ちの整理は進んでも、場面が来たら揺れます。だからこそ、集まりの“前後”に小さな準備を入れておくのがおすすめです。
たとえば集まりの前。
・滞在時間を最初から短めに決めておく
・帰宅後に自分を回復させる予定(お風呂、カフェ、散歩)を入れておく
・心の中の合言葉を作る(例:「私は私のペースでいい」)
これだけで「逃げ道がある」感覚が生まれて、当日の緊張が下がります。
そして集まりの後がさらに大事。
帰ってから、反省会を延々としないこと。Sさんも「親戚の集まりのあと、自分を責め続ける時間が減った」と話していましたが、ここが回復の肝です。
おすすめは“3行メモ”です。
1)今日しんどかった場面
2)その時の感情(羨ましい、寂しい、疲れた、など)
3)自分にかけたい一言(よく頑張った、今日は十分、など)
たったこれだけでも、心が「終わったこと」に区切りをつけやすくなります。集まりがあるたびに自分を責めるのではなく、集まりがあっても自分を守れる。そうやって少しずつ、“家族イベントのダメージ”は小さくなっていきます。
読者へのメッセージ
比べてしまう気持ちって、できれば見ないふりをしたくなるし、「こんなこと思う自分はダメだ」と責めたくもなりますよね。
でも、羨ましさや苦しさが出てくるのは、あなたの心が弱いからじゃありません。むしろ、ずっと頑張ってきた人ほど、ふとした場面で心が限界サインを出しやすいんです。
もし今、「家族の集まりがしんどい」「姉妹(兄弟)を見るとモヤモヤが止まらない」「頭では分かってるのに、気持ちが追いつかない」と感じているなら、ひとりで正解を出そうとしなくて大丈夫。
気持ちは、整理しようとしても整理できないときがあります。そんなときは、まず“そのまま話せる場所”があるだけで、心が少し軽くなることが多いです。
傾聴ラウンジ「ここより」では、あなたの気持ちを評価したり、すぐ答えを出したりはしません。
「羨ましい」「苦しい」「なんで私ばっかり」——そんな言葉も、きれいにまとめなくて大丈夫。うまく言えない部分も含めて、一緒にほどいていく時間です。
比べる癖を消すことより、比べて傷ついた自分を置き去りにしないこと。
その練習を、安心できるペースで始めたい人は、傾聴ラウンジ「ここより」をのぞいてみてください。話すだけで少し整う、そんな入口になれたら嬉しいです。





