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HSP(過敏性情動反応性)がカウンセラーになる: 自分の感覚を生かした人間関係の構築

HSP(過敏性情動反応性)がカウンセラーになる: 自分の感覚を生かした人間関係の構築

HSPとは、Highly Sensitive Person(過敏性情動反応性のある人)の略語で、感覚が敏感で、情動的にも敏感な人のことを指します。HSPは、音や匂い、視覚などの感覚刺激に反応しやすく、深く考え、強い感情を持ちやすい傾向があります。また、人とのつながりや環境に対する受容性が高く、ストレスや刺激に敏感であることから、生きづらさを感じることも多いとされています。HSPは生得的な性質であり、1割程度の人がこの特徴を持っていると言われています。

HSPの人の向いている仕事の1つにカウンセラーが挙げられることが多いのですが、その理由はHSPの特性にあります。ただ、注意点も多々あり、もしHSPカウンセラーになろうと思われるのであれば、相当な覚悟が必要になります。その点を含めて説明していきたいと思います。

投稿者プロフィール

佐藤 公俊
佐藤 公俊心理カウンセラー
【経歴】
・キャリアカウンセラー15年
・心理カウンセラー10年
※相談件数10,000件以上

【主な相談内容】
1.ストレス管理とメンタルケア
・日々のストレスやプレッシャーにどう対応すれば良いか。
・仕事や家庭でのストレス解消法。

2.自己理解と自己成長
・自己肯定感を高めたい。
・自分の強みや価値観を明確にしたい。

3.人間関係の悩み
・職場や家庭でのコミュニケーションの改善。
・対人関係における不安や緊張感への対処法。

4.不安や恐怖の克服
・予期不安や強い緊張感に悩んでいる。
・パニック障害や全般性不安障害のケア。

5.うつ症状や気分の浮き沈み
・やる気が出ない、気分が落ち込みがち。
・抑うつ状態から抜け出したい。

6.人生の転機や変化への対応
・キャリアチェンジや子育てなど、ライフイベントへの適応。
・新しい環境への不安や戸惑い。

7.恋愛や夫婦関係の悩み
・パートナーシップの問題解決。
・自分の感情や価値観をどう伝えるべきか。

8.自己批判やネガティブ思考の改善
・自分を責めすぎる傾向を変えたい。
・過去のトラウマや後悔にとらわれず前向きに生きる方法。

9.家族関係や親子間の問題
・子育ての悩み。
・親や家族との関係性の見直し。

10.生きる意味や自己実現の探求
・人生の目的を再確認したい。
・自分らしい生き方を見つけるサポート。

【アプローチ方法】
1.傾聴を重視したカウンセリング
・クライアントの気持ちや考えを尊重し、安心して話せる場を提供します。
・言葉だけでなく表情や態度も大切に、深いレベルで共感することを心がけています。

2.クライアント中心療法
・クライアント自身の中にある解決の糸口を引き出すサポートを行います。
・「どうしたいか」「何を感じているか」を一緒に探るプロセスを大切にします。

3.認知行動療法(CBT)
・ネガティブな思考や行動パターンを明確にし、それを建設的なものに変えるお手伝いをします。
・小さな行動目標を設定し、実際の生活に役立つ具体的な変化を目指します。

4.ナラティブセラピー
・クライアント自身のストーリーを紡ぎ直し、ポジティブな視点で捉え直すプロセスを支援します。
・過去の経験を成長や学びとして活用する力を引き出します。

5.対話を通じた柔軟なサポート
・一人ひとりのニーズに合わせて柔軟にアプローチを変えます。
・言葉だけでなく非言語的な表現(声のトーンや間合い、表情やしぐさなど)にも焦点を当てる場合があります。

目次

1.HSPがカウンセラーに向いている理由

HSPがカウンセラーに向いている理由は、以下のようなものが挙げられます。

①共感力が高い:HSPは、感覚や情動に敏感であるため、他人の感情を理解し共感する能力が高い傾向があります。そのため、クライアントの気持ちを正確に察知し、受け止めることができます。

②洞察力が鋭い:HSPは、繊細な感性を持っているため、人の内面に対する洞察力が鋭い傾向があります。そのため、クライアントが言葉にできない感情や問題に対しても、深く理解することができます。

③フィードバックが適切:HSPは、繊細な感性を持っているため、相手の感情や反応に対して、繊細なフィードバックを送ることができます。クライアントが話す内容に対して、適切な反応を示し、安心感を与えることができます。

④クライアント中心のアプローチができる:HSPは、自分自身も繊細であるため、クライアントのニーズを優先することができます。そのため、クライアント中心のアプローチができ、クライアントが自分自身を受け入れ、成長するためのサポートができます。

以上の理由から、HSPは、カウンセラーとしての能力において、優れた特性を持っていると言えます。

2.HSPがカウンセラーとしての能力を高める方法

HSPがカウンセラーとしての能力を高めるためには、以下のような方法があります。

①自己理解を深める:HSPが自分自身を理解し、自己受容することで、クライアントに対しても同じようなアプローチができます。自分の感性や感情について深く理解し、受け止めることで、クライアントとの信頼関係を築くことができます。

②ストレス管理の方法を学ぶ:HSPは、ストレスや刺激に敏感であるため、カウンセリングの現場でもストレスを感じることがあります。ストレスに対する適切な対処法を身につけ、自己管理をすることで、カウンセリングに集中できるようになります。

③プラクティスを積む:カウンセリングには、経験が大切です。自己の感性を活かしつつ、クライアントとの関係性を築くために、実践的なトレーニングやスーパービジョンを受けることで、能力を高めることができます。

④知識や技術を習得する:カウンセリングには、理論や技術が必要です。自分自身の特性に合わせたアプローチを身につけ、クライアントに合ったアプローチを選択することができます。また、専門書やセミナーなどを活用して、知識や技術を習得することも大切です。

以上の方法を継続的に行うことで、HSPがカウンセラーとしての能力を高めることができます。

3.HSPがクライアントとの関係を築くためのコミュニケーション戦略

HSPがクライアントとの関係を築くためのコミュニケーション戦略は、以下のようなものがあります。

①アイコンタクトを確保する:HSPは、相手の感情や反応に敏感であるため、アイコンタクトを確保することが大切です。クライアントの目を見て話を聞くことで、相手の感情や反応をより正確に把握することができます。

②エンパシーを示す:HSPは、共感力が高いため、相手の感情や状況に対して、深い理解を示すことができます。クライアントの話に対して、共感し、自分の感覚や感情を表現することで、相手との信頼関係を築くことができます。

③パラフレーズを行う:HSPは、相手の気持ちを正確に理解するため、相手の話を要約するパラフレーズを行うことが大切です。相手の話を聞き、自分の言葉で言い換えることで、相手の感情や問題をより深く理解することができます。

④間口を開ける:HSPは、自分自身も繊細であるため、クライアントとの関係性を築くためには、自分から積極的に話を進めることが必要です。オープンな姿勢で相手の話に耳を傾け、質問を投げかけることで、相手の話の深層部分を引き出すことができます。

⑤サポートを示す:HSPは、共感力が高いため、相手の感情や状況に対して、サポートを示すことができます。クライアントが不安や緊張を抱えている場合には、自分の経験や知識をもとに、相手を支えることができます。

以上のコミュニケーション戦略を用いることで、HSPは、クライアントとの関係性を築き、カウンセリングの効果を高めることができます。

4.HSPが自分自身を守りながらカウンセリングを行う方法

HSPが自分自身を守りながらカウンセリングを行うためには、以下のような方法があります。

①セルフケアを実践する:HSPは、感情に敏感であり、他人の感情に共感することが多いため、自分自身を守るためには、セルフケアを実践することが大切です。十分な睡眠、栄養バランスの取れた食事、運動、趣味などを取り入れることで、ストレスを軽減し、自分自身を守ることができます。

②カウンセリングの準備をする:HSPは、カウンセリングを行う前に、自分自身の感情や状態を確認することが必要です。自分自身がストレスを感じている場合には、クライアントとのセッションを前に、リラックスする時間を取ることが必要です。また、自分自身がクライアントの問題に影響を受けてしまっている場合には、セッションの後にセルフケアを行うことが必要です。

③バウンダリーを設定する:HSPは、他人の感情やエネルギーに敏感であり、クライアントの問題に対して自分自身が過剰に反応してしまうことがあります。自分自身を守るためには、適切なバウンダリーを設定することが大切です。クライアントの問題に同情することは大切ですが、自分自身の感情や状態を優先することが必要です。

④スーパーヴィジョンを受ける:HSPが自分自身を守りながらカウンセリングを行うためには、スーパーヴィジョンを受けることが大切です。スーパーヴィジョンは、専門家からのフィードバックやアドバイスを受けることで、自分自身のセッションに対するアプローチを改善し、自己研鑽を深めることができます。

以上の方法を実践することで、HSPは自分自身を守りながら、クライアントに対して適切なサポートを提供することができます。

5.HSPカウンセラーとしての成功事例の紹介

HSPカウンセラーとしての成功事例の一つは、エレン・アーロン(Elaine Aron)博士です。彼女は、HSPの研究者であり、著名な著書「HSPのための自己啓発ブック」をはじめとするHSPに関する多数の著書を出版しています。

彼女は、HSPの人々に対して、セルフケアやストレス管理の方法などを指導するカウンセリングを提供しており、HSPの人々から高い支持を得ています。また、HSPの人々に向けたオンラインのコミュニティを主催し、HSPの人々が集まって情報交換を行う場を提供しています。

彼女は、HSPの特性を理解し、その特性をポジティブに捉え、HSPの人々が自分自身を受け入れ、生きやすい環境を作ることを支援することで成功を収めています。彼女のカウンセリングや著書が多数の人々に受け入れられ、HSPの人々の生活に大きな影響を与えています。

また、HSPカウンセラーとして成功している人々は、HSPの特性を自分自身の強みとして捉え、クライアントとの関係を築くことができるという点でも特徴的です。HSPの人々は、感情に敏感であり、他人の感情に共感することができるため、クライアントとの関係を深め、信頼関係を築くことができます。これによって、クライアントの問題解決につながるアプローチを提供することができます。

6.HSPカウンセラーが抱える課題とその解決方法

HSPカウンセラーが抱える課題は、自分自身の感情に過剰に反応することがあることです。これにより、クライアントの話を聞いているうちに自分自身の感情に囚われ、クライアントの問題に十分に集中できなくなってしまうことがあります。

その解決方法として、以下のような方法が挙げられます。

①自己観察とセルフケアの実践
自分自身がHSPであることを理解し、自己観察を行いながら、ストレスをコントロールするためのセルフケアを実践することが重要です。ストレスを減らすために、適度な運動や瞑想などのリラックス法を実践することが有効です。

②スーパーヴィジョンの受講
スーパーヴィジョンは、カウンセラーの成長と発展を促すために行われる、専門家からのアドバイスやサポートを受けることです。HSPカウンセラーは、自分自身がHSPであることを理解した上で、スーパーヴィジョンを受けることで、自分自身の感情に対処する方法を学ぶことができます。

③クライアントとのコミュニケーションの強化
HSPカウンセラーは、クライアントとのコミュニケーションを強化することで、自分自身の感情に過剰に反応することを防ぐことができます。クライアントとの信頼関係を築き、クライアントの状況に集中することが重要です。また、クライアントに対して自分自身がHSPであることを正直に話すことも有効です。

HSPカウンセラーが自分自身の感情に対処する方法を学び、クライアントとのコミュニケーションを強化することで、HSPカウンセラーが抱える課題を克服することができます。

7.HSPカウンセラーに必要な自己管理の方法

HSPカウンセラーに必要な自己管理の方法には、以下のようなものがあります。

①自己観察
自己観察は、自分自身がHSPであることを理解し、自分自身の感情や反応を把握することです。自己観察を通じて、自分自身がどのような状況でストレスを感じるかや、どのような感情や反応を示すかを知ることができます。

②セルフケアの実践
セルフケアは、自分自身の健康や精神的なバランスを維持するための実践です。HSPカウンセラーは、セルフケアを実践することで、ストレスを軽減することができます。セルフケアには、運動、瞑想、リラックス法、良質な睡眠、健康的な食生活などが含まれます。

③ストレス管理の方法
HSPカウンセラーは、クライアントのストレスを受け止めることがあります。そのため、自分自身がストレスを受けたときに、ストレスを解消する方法を知っていることが重要です。ストレス解消法には、深呼吸、瞑想、ストレッチ、音楽鑑賞などがあります。

④スーパーヴィジョンの受講
スーパーヴィジョンは、カウンセラーが自分自身を管理するためのサポートを受けることができる機会です。HSPカウンセラーは、スーパーヴィジョンを受けることで、自分自身が感情的になりすぎることを防ぐ方法や、ストレス管理の方法を学ぶことができます。

HSPカウンセラーは、自分自身を管理するための方法を実践することで、自己管理を向上させることができます。自己観察、セルフケアの実践、ストレス管理の方法、スーパーヴィジョンの受講などを通じて、HSPカウンセラーは、クライアントに対して適切なカウンセリングを提供することができます。

8.HSPカウンセラーに向けたアドバイスと今後の展望

HSPカウンセラーに向けたアドバイスと今後の展望について、以下にまとめます。

アドバイス:
①自分自身のHSPの性格を受け入れることから始めること。
②セルフケアの習慣を身につけ、自己管理能力を高めること。
③クライアントとの信頼関係を築くために、コミュニケーションスキルを磨くこと。
④スーパーヴィジョンを受講し、適切なサポートを受けること。
⑤継続的な学習と研究を行い、専門性を高めること。

今後の展望:
HSPカウンセラーは、世の中の多様な人々のニーズに対応することができるため、今後ますます需要が高まっていくと考えられます。特に、社会的な孤独や不安、ストレスなどが深刻化している現代社会では、HSPカウンセラーが求められています。また、今後はオンラインカウンセリングやテレヘルスなどの技術革新により、より多くの人々にアクセスしやすくなることが予想されます。HSPカウンセラーは、自分自身の性格や特性を受け入れ、セルフケアを実践しながら、クライアントに適切な支援を提供することで、今後も必要とされる存在となるでしょう。

9.まとめ

今回の記事はHSPがカウンセラーに向いている、という内容のコラムなどを目にする機会がある中で、警鐘を鳴らすという意味で書きました。

巷で言われているように、確かにHSPの特性はカウンセラーとして必要な資質とマッチしています。しかし、カウンセラーとして最も大切な能力である「第三の目」、いわゆる客観視することができないというのも特性の1つにあります。そうなると、クライアントの悩みに自分自身が飲まれてしまう、更には適切なカウンセリングができないことにも繋がります。

クライアントに寄り添うことができるカウンセラーが良いカウンセラーではありますが、メンタルが弱っているところに寄り添い、一緒に弱ってしまっては意味がありません。寄り添いながらも、外から第三の目として客観的に眺めることをしないと、本質は見えてこないのです。

HSPの人は良いカウンセラーになる可能性を秘めていますが、そのためには十分な訓練が必要になり、自己理解に常に努めていく必要があります。リ・ハートではスーパーヴィジョンの講習などは行っていませんが、必要に応じて対応していくことはできます。もし、カウンセラーとして活動していく中で悩みを抱えている人がいましたら、、お気軽にお問い合わせください。

カウンセリングを希望される人は、以下よりLINE公式アカウントを友だち追加し、ご予約をお願いします↓

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