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うつで休職し仕事ができない罪悪感に苦しむ30代男性|“何もしない自分”を責め続けていた心が、少し楽になるまで【相談事例】

うつで休職し仕事ができない罪悪感に苦しむ30代男性|“何もしない自分”を責め続けていた心が、少し楽になるまで【相談事例】

こんにちは。渡辺桜(わたなべ さくら)です。

今日は、
「仕事に向き合う気力がわかない」
「休職中なのに、自分を責めてしまう」
そんな苦しさを抱えていた30代のAさんの話を、ひとつの体験談としてお届けしたいと思います。

「休んでいる自分はだめだ」「周りに迷惑をかけている気がして仕方がない」──
そんな思いが渦巻いて、頭の中がずっと重苦しいと感じたことはありませんか?
特に仕事のことになると、理屈では休むべきだと分かっていても、心の奥では罪悪感がぐるぐると巡ってしまうものです。

この記事では、無理に答えを出さなくてもいい時間を大切にした関わりを通して、Aさんが少しずつ「自分の今を受け入れる感覚」を取り戻していったプロセスを、そのままの言葉で丁寧にお伝えしていきます。
何かひとつでも、「これは自分の気持ちかも」と感じてもらえたらうれしいです。

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投稿者プロフィール

渡辺桜
渡辺桜よりびと
■待機時間:10時~19時(土日祝を含む週5日程度のシフト制)
※シフトは2週間単位で掲載します

■年齢:20代後半

■ キャッチコピー:あなたの心の声をそのまま受け止める、安心の止まり木です。


■ 得意なテーマ

– もやもやしている気持ちの整理
– 誰にも言えない話の受け止め
– 人間関係の悩み・恋愛相談
– とにかく話を聴いてほしいとき
– 感情の吐き出し

■ 聴き方・スタイル

– 話す準備ができるまでじっくりと待ちます。
– 言葉の裏にある感情を丁寧に拾い上げます。
– 否定的な判断を挟まず、お話を丸ごと受け入れます。
– 解決策は求められるまで出しません。聴くことに徹します。

■ 経験

– 臨床心理学を学び、人格特性やストレスの対処法について研究していました。
– 認定心理士、証券外務員1種、FP等の資格を持ち、専門的な知識でサポートします。
– オンライン上の相談サービスで年齢や性別、国籍を問わず様々な相談を受けました。
– 守秘義務を徹底し、年間40件以上の相談を継続的に担当していました。

■ 大切にしていること

– 否定ゼロ。あなたの全てを受け入れます。
– 話したくないことは無理に聞きません。
– 対等な立場で傾聴します。
– 泣いても沈黙してもOK。決して急かしません。

■ 人柄・ユニークポイント

– 好きなもの:音楽 / ゲーム / ラーメン / 犬・猫
– よく言われる性格:温かみがある / 話しやすい / 誠実
– ちょっとしたこだわり:旅行先の地域で一番おいしいラーメンを探しています。
– 聴き手としての密かな強み:言葉の温度から、微細な感情の変化を読み取ります。


■ メッセージ

感情が溢れたり、話が前後しても気にしないでください。あなたの伝えたい気持ちを丁寧に見つけ出します。まずは気持ちの全てを預けて、心をそっと休ませてあげましょう。

目次

うつで休職中、仕事ができない自分を責め続けたAさん――“動けない”のに心だけが急いでいた

朝、目が覚めても体が起き上がらない。
「行かなきゃ」「やらなきゃ」と頭では分かっているのに、体がまるで言うことを聞かない。

Aさん(30代・男性)は、まさにそんな状態の真ん中にいました。責任感が強く、気づけば仕事を抱え込みすぎてしまい、数ヶ月前から朝が動けなくなっていったそうです。今は休職中。けれど、休んでいることが楽になるどころか、むしろ罪悪感がどんどん大きくなっていきました。

「同僚に迷惑をかけている」「自分だけが頑張れていない」
そう思うほど胸が痛くなって、連絡も取れず孤立していく。食欲もわかない。トイレに立つ以外は横になったままの日もある。夜になると涙が出てきて、「消えてしまいたい」と思ってしまう瞬間もあったと言います。

いちばん刺さっていたのは、Aさんの中に根強く残っていたこの言葉でした。
「仕事をしていない自分には、存在価値が1ミリもない」

ここから先は、Aさんが“答えを出す”より先に、自分の気持ちをほどいていく時間を持てたこと。
そして「休むこと」を別の角度から捉え直していくまでのお話です。

『働かなきゃ』が止まらないのに、体が動かない――そのギャップが心を削っていく

Aさんのしんどさは、「動けない」ことそのものだけじゃありませんでした。
本当に苦しかったのは、動けない自分を“許せない”気持ちがずっと続いていたことです。

体は鉛みたいに重いのに、心だけは仕事場に置き去りになっている感じ。
頭の中では「復帰のことを考えないと」「このままじゃキャリアが終わる」「お金も不安だ」と、休んでいる間もずっと会議が開かれているような状態です。

でも、いざ立ち上がろうとすると、体が反応しない。
そうすると、また自分を責める材料が増えてしまうんですよね。
「結局自分は弱い」「みんなは頑張ってるのに」って。

そして、その責める声が強いほど、人に頼れなくなっていきます。
上司にうまく頼れない。周りにも相談できない。
“弱っている自分”を見せたら終わりな気がして、連絡を避けてしまう。

こうして、体の疲れに加えて、心の孤立が深まっていきます。
Aさんの場合も、「一人で抱え込む」癖が、回復の邪魔をしているというより、回復の入り口に立つことさえ難しくしていました。

まず大事だったのは、「動けない理由」を正しく説明することよりも、
“今の自分は相当つらい場所にいる”と認めてあげることでした。

『役に立てないなら生きている意味がない』――優しさが自分を追い詰めることもある

Aさんの言葉の中で、とても印象的だったのが、
「誰かの役に立たなければ、自分が生きている必要がない」
という感覚でした。

これ、冷たさや傲慢さとは真逆で、むしろ“優しさ”や“誠実さ”が強い人ほど抱えやすい考え方だったりします。
人の期待に応えたい。迷惑をかけたくない。ちゃんとやりたい。
そう思って頑張ってきたからこそ、止まった瞬間に「価値がゼロになった」みたいに感じてしまう。

Aさんも、仕事を抱え込みやすく、頼るのが苦手でした。
本当は「助けて」が言えたらよかったのに、言えない。
言えないまま無理を重ねて、ある日突然、体がブレーキをかけてしまった。

それなのに、心は「ブレーキなんて踏むな」と自分に命令し続ける。
この矛盾が続くと、自己否定の言葉がどんどん激しくなっていきます。
「自分は社会のゴミだ」「情けない」って、心の中で叩き続けてしまうんですね。

ここで必要だったのは、「もっと前向きに考えよう」と言い聞かせることではなく、
その言葉が出てくるほど、Aさんが必死に生きてきた事実に目を向けることでした。

“役に立つ自分”だけが自分じゃない。
そう頭で理解するより先に、まずはその考えにしがみつかないと怖かったAさんの気持ちを、丁寧に言葉にしていくことから始めました。

『話しても意味がない』と思っていたAさんが、少しずつ言葉を取り戻すまで

Aさんは当初、「どうせ誰も自分の話なんて聞いてくれない」と感じていました。
それは“ひねくれ”ではなく、そう思ってしまうほど一人で耐えてきた時間が長かった、ということだと思います。

つらいほど、人は言葉が出なくなります。
説明しようとしてもまとまらないし、説明できない自分にまた落ち込む。
だから、最初から上手に話そうとしなくて大丈夫なんです。

このとき大切にしたのは、結論や対策を急がないことでした。
「じゃあ明日からこれをやりましょう」より前に、
“動けない今の自分”を、そのまま置いていける場所を作ること。

Aさんには、「何でもいいので、今の気持ちをそのまま言葉にしてみてください」とお伝えしました。
きれいな言葉じゃなくていい。矛盾していてもいい。
「こんなこと言ったら引かれるかも」と思うことほど、ゆっくり外に出してみる。

そして、ある瞬間にAさんがふっと力を抜いたように、
「仕事ができなくても、ここにいていい」
という言葉に反応して、声をあげて泣かれたといいます。

涙が出るのは、弱さの証明じゃありません。
それだけ、ずっと張り詰めていた証拠です。
Aさんが泣けたことは、“戻れた”サインでもありました。

ここから、Aさんは「休むことも今の自分にとって大事な仕事」と少しずつ捉え直していきます。
次では、その変化がどんなふうに起きていったのかを、もう少し具体的に辿っていきます。

休むほど罪悪感が増えていく――“何もしない時間”が怖くて、自分を追い詰めてしまった

休職中って、本当は体と心を回復させるための時間のはずです。
でもAさんにとっては、その時間が「自分を責める時間」になっていました。

動けない。食欲もない。寝ても疲れが取れない。
それでも頭の中では、仕事のことが止まりません。
「このまま戻れなかったらどうしよう」
「同僚に迷惑をかけ続けている」
「キャリアが終わるかもしれない」
考えれば考えるほど不安が増えて、心が休まる瞬間がほとんどない状態でした。

さらにしんどかったのは、誰かに頼ることがうまくできなかったことです。
上司に相談するのも怖い。身近な人に話すのも怖い。
「弱っている自分を見せたら、嫌われるんじゃないか」
そんな気持ちが邪魔をして、連絡を避け、どんどん孤立していきました。

休むことは必要なのに、休むほど「価値がなくなる」気がする。
この矛盾が、Aさんをじわじわ削っていったのだと思います。
ここからは、その“矛盾の正体”と、少しずつほどけていったポイントを辿っていきます。

『迷惑をかけている』が頭から離れない――罪悪感が強い人ほど、助けを求められない

Aさんは、休職中ずっと「周りに迷惑をかけている」と感じていました。
実際、誰かが困っている場面を想像すると胸が苦しくなって、申し訳なさでいっぱいになったそうです。

ただ、この罪悪感って、優しさの裏返しでもあります。
人のことを考えられる人ほど、「自分の都合で休む」ことに抵抗が出やすい。
だからこそ、休む必要があるときに、いちばん苦しくなってしまうんですよね。

しかも罪悪感が強いと、頼ることがさらに難しくなります。
「迷惑をかけているのに、さらに迷惑はかけられない」
「今さら連絡したら気まずい」
そんな気持ちで、ますます一人で抱え込んでしまう。

Aさんも、上司にうまく頼れないタイプでした。
「相談=できない人と思われる」気がして、言葉が喉で止まってしまう。
そうやって我慢を重ねた結果、ある日体が限界を迎えてしまったわけですが、
休職に入ってからも“我慢のクセ”だけは続いていたんです。

この段階では、「迷惑をかけないために頑張る」方向に意識が向きすぎていました。
でも本当は、回復には“迷惑をかけない努力”より、
“助けを受け取る練習”が必要になることも多いです。

まずは「迷惑をかけているから自分には価値がない」ではなく、
「迷惑をかけたくないと思えるほど、真面目にやってきた」
この見方を、少しずつ増やしていくことが大切でした。

『普通に働けるようになりたい』の裏側にあった焦り――回復を“仕事の再開”だけで測らない

Aさんの願いはとてもシンプルでした。
「普通に働けるようになりたい」
ただそれだけ。

でも、この言葉の中には強い焦りも混ざっていました。
「早く戻らないと」「止まっている自分はダメだ」
回復を“復帰できたかどうか”で測ろうとすると、今の自分がずっと不合格になります。

動けないのは、怠けではなく、限界を超えたサイン。
それなのに「働けていない=価値がない」と結びついていると、
休んでいる間ずっと自己否定が続いてしまいます。

Aさんは、心の回復より先に“評価される自分”へ戻ろうとしていました。
だから、休職中の一日が「何もできなかった日」になってしまう。
そして夜になると、涙が出て、「消えてしまいたい」という考えまで浮かんでしまう。
この流れは、本人の意志の弱さではなく、心が追い詰められた結果です。

そこで大事にしたのは、回復の物差しを変えることでした。
「仕事に戻れたか」ではなく、
「今日は少し水が飲めた」
「誰かに短い連絡ができた」
「自分の気持ちを一言でも言えた」
そういう小さな変化も、ちゃんと回復の一部として扱っていく。

“今の自分を合格にする”って、甘やかしじゃありません。
回復のスタート地点をちゃんと作る、現実的なやり方です。
Aさんも少しずつ、「心の声に耳を澄ますことから始めていい」という感覚を育てていきました。

『誰も自分の話なんて聞いてくれない』――孤独が深いと、言葉は出なくなる

Aさんが抱えていたのは罪悪感だけではありませんでした。
いちばん強かった感情として出てきたのは、みじめさと深い孤独感。
「誰にも必要とされていない」という絶望でした。

ここまで孤独が深くなると、「人に話す」という行動自体がすごく遠くなります。
話しても理解されない気がする。
どうせうまく説明できない。
説明できない自分がさらに情けない。
こんなふうに、言葉を出す前に心が折れてしまうことがあるんです。

Aさんも、連絡が取れず孤立していました。
誰ともつながれない日が続くと、「このまま消えても誰も困らないかも」と思えてしまう。
それは危険なサインですが、本人はそれほど追い込まれていたということでもあります。

この時期に必要なのは、励ましや正論よりも、まず“安全な会話”です。
立派な話じゃなくていい。矛盾してもいい。
「消えたいと思ってしまうくらい、今つらい」
この事実を、否定せずに扱える場所があるだけで、心は少し戻ってきます。

Aさんも最初は、「こんな話をしていいのか」と不安そうでした。
でも、話しながら少しずつ、
「誰も聞いてくれないと思い込んでいただけかもしれない」
そんな気づきが芽生えていきます。

孤独の中では、自分を守るために“諦め”が強くなります。
でも諦めの奥には、本当は「わかってほしい」「助けてほしい」が眠っていることが多い。
Aさんの中にも、その小さな声がちゃんと残っていました。

次では、その小さな声に寄り添いながら、
「解決を急がない時間」を持ったことで、何が起きたのかをお話しします。

“早く元に戻る”をいったん手放した日――答え探しより先に、心の声をそのまま置ける場所をつくった

Aさんはずっと、「普通に働けるようになりたい」と願っていました。
それ自体は自然な願いですし、責められることではありません。

ただ、その願いが強いほど、今の自分が許せなくなる。
休んでいる自分を見るたびに、「早く戻らなきゃ」「このまま終わるかも」と焦りが出て、心が休まらない。
そして焦りが出ると、また自分を追い立ててしまう。
Aさんはそのループの中で、ずっと一人で戦っていました。

そこで大切にしたのは、“解決”を急がないことでした。
今すぐ元気になる方法や、復帰への最短ルートを探すよりも、
まずは「動けない自分」の気持ちを、そのまま言葉にしてみる。
答えを出さなくていい時間を、ちゃんと確保する。
その時間があるだけで、心の緊張が少しゆるむことがあります。

Aさんも最初は、言葉が途切れ途切れでした。
でも、何かを正しく話そうとしなくていい。
きれいにまとめなくていい。
そんな空気の中で、少しずつ本音が出てきました。

そしてある瞬間、Aさんが「仕事ができなくても、ここにいていい」という言葉に触れたとき、初めて声をあげて泣かれたそうです。
その涙は、壊れたサインではなく、むしろ“戻ってきたサイン”だったのだと思います。

『何をどうしたらいいか分からない』でOK――まずは“言葉にならない気持ち”を一緒にほどく

しんどいときって、「何がつらいのか」を説明するだけで体力が要ります。
頭の中がぐちゃぐちゃで、言葉にしようとすると余計に苦しくなる。
Aさんもまさにその状態でした。

だから最初は、立派な説明を目指さなくていいんです。
「何がつらいか分からないけど、つらい」
「動けないのが怖い」
「情けない」
そんな短い言葉からで十分。

大事なのは、正解を言うことではなくて、今の自分の中にあるものを外に出してみること。
外に出せると、「あ、自分はこう思ってたんだ」と少し客観視できます。
客観視できると、感情がほんの少し落ち着きます。
この流れが、回復の土台になっていきます。

Aさんの場合、「働かなければ」という言葉が強すぎて、他の感情が埋もれていました。
でも話していくうちに、罪悪感の奥に、孤独や絶望があることが見えてきました。
「誰にも必要とされていない気がする」
「自分の話なんて誰も聞いてくれない」
こういう気持ちは、一人で抱えるとどんどん大きくなってしまいます。

そしてもう一つ、大事だったのは“否定しない”ことでした。
「そんなふうに思っちゃダメ」ではなく、
「そこまで思うほど、今つらいんだね」
この受け止め方があると、人は少しずつ言葉を取り戻していきます。

Aさんも、少しずつ息がしやすい顔になっていったそうです。
まだ何も解決していないのに、表情が変わる。
こういう変化は、“心が安全になってきた”サインです。

『役に立てない自分=価値がない』をほどく――“頑張りの根っこ”を見つけ直す

Aさんの中には、強い思い込みがありました。
「仕事をしていない自分には存在価値が1ミリもない」
これって、言い換えると「役に立てる自分でいなきゃいけない」というルールです。

このルールを持っている人は、普段は頑張れます。
周りの期待にも応えられるし、責任感も強い。
でも、体が止まった瞬間に、自分を守れなくなります。
頑張れない=価値がない、になってしまうからです。

ここでいきなり「価値はあるよ」と言っても、心はついてきません。
だってAさんにとっては、価値=働けること、だったから。
だから大事なのは、まず“そのルールが生まれた背景”を見ていくことでした。

Aさんは抱え込みやすく、頼るのが苦手でした。
「迷惑をかけたくない」
「ちゃんとしなきゃ」
その気持ちは、もともと優しさや誠実さから来ていることが多いです。
ただ、優しさが自分に向かなかったとき、優しさが刃物みたいになります。

そこで少しずつ、「頑張れた自分」だけじゃなく、
「頑張れない自分」も含めて人間だ、という感覚を増やしていきます。

例えば、
・今までやってきたことを一緒に振り返る
・抱え込みのパターンに気づく
・“休むこと”の意味を別の言葉に置き換える
こういう積み重ねが、思い込みをゆるめます。

Aさんも、「自分がパンクするまで抱え込みすぎていた」と気づいたとき、
少しだけ自分に対する見方が変わり始めました。
責める材料ではなく、理解する材料が増えると、心は軽くなっていきます。

『仕事ができなくても、ここにいていい』で涙が出た――“休むこと”を新しい言葉で持ち直す

Aさんが声をあげて泣かれた場面は、とても象徴的でした。
「仕事ができなくても、ここにいていい」
その言葉に触れた瞬間、張りつめていたものがほどけたんだと思います。

泣くって、実はエネルギーがいります。
だから、涙が出るのは“崩れた”というより、“止まっていたものが流れた”状態に近いです。
Aさんはずっと、涙が出ても自分を責めてきたかもしれません。
でもこのときの涙は、安心に触れた反応でした。

そしてこの場面のあと、少しずつ大事な考え方が育っていきます。
それが、
「休むことも今の自分にとって大切な仕事」
という捉え方です。

休むことを“逃げ”として見ると、罪悪感が増えます。
でも休むことを“回復の作業”として見ると、やることが変わってきます。
例えば、
・今日はベッドから出られた
・水分が取れた
・家族に短いメッセージが送れた
こういうことも「回復の仕事」になります。

Aさんはその後、家族に休職していることを話し、サポートを受けられるようになったそうです。
もちろん、すぐに全部がうまくいくわけではありません。
「話すのが怖い」という課題は残っていました。
それでも、孤立から一歩出たことは大きい変化です。

“今の自分を守る”という方向に舵を切れたとき、
回復はちゃんと始まります。
次では、Aさんが持ち帰った言葉と、ここからの一歩についてまとめていきます。

“何かができる自分”じゃなくても大丈夫――休むことを受け入れた先で、Aさんが持ち帰った言葉

Aさんは、すぐに元気になったわけではありません。
朝起きたらシャキッと動けるようになった、という話でもありません。
むしろ、現実はもう少し地味で、ゆっくりした変化でした。

でも、その“地味さ”が大事だったのだと思います。
「早く戻らなきゃ」という焦りで自分を追い立てるのではなく、
「今の自分を守る」方向へ、ほんの少し舵を切れたこと。
それが、Aさんにとって大きな転機になりました。

いちばん強かった思い込みは、
「仕事をしていない自分には存在価値が1ミリもない」
というもの。
けれど話していく中で、Aさんは少しずつ、別の言葉を持てるようになっていきました。

「休むことも今の自分にとって大切な仕事」
そして、最後にAさんが持ち帰ったメッセージは、もっとシンプルで、でも力のある言葉でした。
「あなたは、何かができてもできなくても、ただそこにいるだけで尊い」

この言葉は、魔法みたいに不安をゼロにするものではありません。
ただ、罪悪感の渦の中で“呼吸できる場所”を作ってくれる言葉です。
ここからは、Aさんのその後の変化と、同じように苦しい人へ届けたいポイントをまとめていきます。

“休むこと=逃げ”じゃない――回復のための『今やるべきこと』に名前をつけ直す

休職中にいちばんやっかいなのは、
体が休んでいるのに、心が休めないことです。
Aさんもまさにそうでした。動けない自分を責め続けて、休んでいるはずの毎日が、心の中では罰ゲームみたいになっていた。

この状態を抜けるために役立ったのが、
「休むこと」を別の言葉で捉え直すことでした。
“逃げ”ではなく、“回復の作業”。
“サボり”ではなく、“整える時間”。
言葉が変わると、同じ一日でも意味が変わります。

たとえば、
・今日は水分をちゃんと取れた
・少し窓を開けられた
・シャワーは無理でも顔だけ洗えた
・布団の中で深呼吸ができた
こういう小さなことも、回復のための作業です。
特に、うつっぽさが強いときは「できないこと」ばかりが目につきます。
でも、回復って“いきなり大きくできるようになる”より、
“ちょっとできる”が増えていく形で進むことが多いんですよね。

Aさんは少しずつ、「休むことも今の自分にとって大切な仕事」と思えるようになっていきました。
この感覚が出てくると、罪悪感が完全に消えなくても、責め方が弱まります。
責め方が弱まると、眠りや食欲、気持ちの波にも少し余白が生まれます。

もし今、休んでいるのに心が休まらない人がいたら、
まずは「休む=回復の作業」と名札をつけてみてください。
それだけでも、今日一日が少し違って見えることがあります。

一人で抱えない練習――“助けて”は迷惑じゃなくて、回復のためのスキル

Aさんの変化の中で、とても大きかったのが、
家族に休職していることを話し、サポートを受けられるようになったことです。

これ、簡単そうで意外と難しいです。
罪悪感が強い人ほど、「助けて」が言えません。
「迷惑をかけたくない」
「心配をかけたくない」
「弱いと思われたくない」
いろんな気持ちが出てきて、言葉が詰まってしまう。

でも、回復って“気合い”より“環境”が大事なことも多いです。
食事が出てくる、話せる相手がいる、急に一人にならない。
そういう土台があるだけで、心の負担はぐっと下がります。

Aさんは、まだ「自分のことを話すのが怖い」と感じる課題を残していました。
それでも、“怖いままでも一歩出た”ことがすごく大切です。
怖いがゼロになるのを待っていたら、ずっと動けないままになってしまうから。

「助けて」は、性格じゃなくてスキルです。
最初から上手に言えなくて当然。
たとえば、
「今しんどくて、長くは話せないけど聞いてほしい」
「今は解決策はいらなくて、ただ話したい」
「返事ができない日もあるけど、連絡してもいい?」
こんなふうに“条件つきの助けて”でも十分です。

一人で抱え込むクセがある人ほど、
助けを受け取る練習は、回復のスピードを上げてくれます。
Aさんが少しずつ孤立から出られたのは、その練習が始まったからでした。

最後に伝えたいこと――罪悪感があっても大丈夫。『ただそこにいるだけで尊い』は本当に嘘じゃない

Aさんが持ち帰った言葉、
「あなたは、何かができてもできなくても、ただそこにいるだけで尊い」
この言葉に、最初は抵抗が出る人もいると思います。

だって、今まで頑張ってきた人ほど、
「結果を出してこそ価値がある」
「役に立てるから居場所がある」
そうやって生きてきたから。

でも、しんどくなって動けなくなったときに気づくんですよね。
“頑張れる自分”しか認めないルールだと、
自分で自分を救えなくなる、ということに。

Aさんも、休職中の自分を「社会のゴミ」とまで言ってしまうほど、自分を追い詰めていました。
それは、サボっていたからじゃなくて、
ずっと真面目に頑張ってきたからこそ、止まり方が激しくなったんだと思います。

だから、罪悪感があるのは自然です。
急に消そうとしなくていい。
「罪悪感がある=休んじゃダメ」ではなく、
「罪悪感が出るくらい、真面目にやってきた」
そう捉え直すだけでも、心は少し楽になります。

もし今、同じように「仕事ができない自分」を責めている人がいたら、
今日だけは、たった一つだけ覚えておいてほしいです。

あなたは、何かができてもできなくても、ここにいていい。
泣きながらでも、ため息をつきながらでも、焦らなくて大丈夫。
回復は、“自分を責めるのを少しやめた日”から始まります。

読者へのメッセージ

最後に、読者のあなたへ。

もし今、休職中だったり、仕事に向き合えなかったりして、
「こんな自分じゃダメだ」
「迷惑をかけている」
そんな罪悪感で胸がいっぱいになっているなら、まず伝えたいです。

その苦しさは、あなたが怠けているからではなくて、
ずっと真面目に頑張ってきた証拠かもしれません。
動けない日があるのも、涙が出るのも、気持ちが沈むのも、ぜんぶ“おかしいこと”じゃありません。

そして、今すぐ前向きになれなくても大丈夫。
言葉がうまく出なくても大丈夫。
「どうしたらいいか分からない」ままでも、話していい場所はあります。

傾聴ラウンジ「ここより」では、答えを急いだり、無理に元気づけたりせず、
今のあなたの気持ちを、そのまま置ける時間を大切にしています。
「ただ聞いてほしい」
「整理できないけど吐き出したい」
そんな状態のままで、ふらっと来てください。

罪悪感がゼロにならなくても、回復は始められます。
あなたがあなたを責める時間が、ほんの少しでも減っていくように。
その最初の一歩を、「ここより」で一緒に作れたら嬉しいです。

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