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子どもを他の子と比べてしまう母親へ|自己嫌悪と不安がやわらいだ30代ママの相談事例

子どもを他の子と比べてしまう母親へ|自己嫌悪と不安がやわらいだ30代ママの相談事例

「周りと比べちゃダメだよね」
そう分かっているのに、気づけば他の子が目に入ってしまう。

今回ご紹介するのは、関東にお住まいの30代後半のSさん(仮名)の事例です。
5歳の息子さんが幼稚園に入園してから、行事や集団活動が増え、「どうして他の子はできるのに…」という思いが強くなっていきました。

園のイベント前になると動悸がする。
夜は考えすぎて眠れない。
SNSで楽しそうな親子を見るたびに、気持ちが沈む。

本当は、息子さんをそのまま受け止めたい。
周りと比べず、穏やかな気持ちで子育てをしたい。

でも現実は、比べてしまう自分を責めてしまう――。

「比べちゃう私って、ダメな母親ですよね」

そう話してくれたSさんの言葉から、この時間は始まりました。

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投稿者プロフィール

さとうなみ
さとうなみよりびと
■待機時間:月・火・水・木・金の10時~13時
※祝日はお休みです

■年齢:30代

■ キャッチコピー:「あなたの気持ちにそっと寄り添う、優しい居場所」


■ 得意なテーマ

– 人間関係・子育ての悩み(家族/夫婦/友達/職場/子どもの発達/ママ友づきあいなど)
– 発達グレー&発達特性のある子の子育てのリアル
– ママ・パパのメンタル/気持ちのアップダウン
– 夫婦関係の悩みや心のモヤモヤ
– 自分の気持ちがわからない/整理したい
– ひとりで抱えられないときの聞き役

■ 聴き方・スタイル

– あなたが今どんな気持ちになっているのかを大切にします
– 話すペースも内容も、思ったままで大丈夫です
– 気持ちが軽くなるような穏やかな雰囲気作りはお任せください

■ 経験

– 元教員として10年間、発達特性のある子たちを含め多くの子どもたちや保護者の 相談に乗ってきました。
– 現在は私自身も発達特性のある子の母として日々奮闘中です!
– 「どうしてうちの子が…」という悩みは孤独もたくさん経験してきました。
– 夫婦関係でも日々悩み、家族の大切さや難しさを実感しています。
– 友人や家族からは「いつも話を聞いてもらえるからつい長話をしちゃう」とよく言われます。

■ 大切にしていること

– 何よりあなたの気持ちが軽くなることを一番に考えます
– 「ひとりじゃない」と感じてもらうことを意識します
– 話しやすく安心できる雰囲気を大切にします
– 上手く言葉が出なくても、涙が出てしまっても大丈夫です

■ 人柄・ユニークポイント

– 好きなもの:犬 / 韓国ドラマ / 甘いもの
– よく言われる性格:「優しい」「おもしろい」「話しやすい」「たまにぬけてる」 ※MBTI性格診断はISFJ(擁護者)です
– ちょっとしたこだわり: 1日1回は自分と子どもを甘やかす
– 聴き手としての密かな強み:当事者ママとしてのリアルな共感力


■ メッセージ

たくさん頑張っているからこそ悩むし苦しいんですよね。

リハートカウンセリング.comの傾聴ラウンジにたどり着いて下さったこのご縁を大切に、今ここから少しでも気持ちを軽くできるようお手伝いしていきます。

あなたからのお電話をお待ちしています。

目次

子どもを他の子と比べてしまう…「分かってるのに止まらない」苦しさの始まり

「比べちゃダメって分かってるのに、気づいたら見ちゃうんです」
Sさん(仮名・30代後半/関東/女性)は、5歳(年長)の息子さんが幼稚園に入園してから、心がザワつく場面が一気に増えました。行事や集団活動で、周りの子が指示通りに動いているのを見るほど、息子さんの落ち着かなさが目立って見えてしまう。列から外れる、集中が続かない、そんな瞬間に胸がギュッとなって、「私の育て方が悪いのかな」「どうしてうちだけ…」と頭の中がいっぱいに。

さらに、公園や習い事でも「同じ年、もしくは年下の子でもきちんとできている」姿が目に入ってしまい、帰り道にどっと疲れる。SNSで楽しそうな親子の投稿が流れてくるたびに、なんとも言えないみじめさや自己嫌悪が押し寄せる。

Sさんは本当は、息子さんをそのまま受け止めて、穏やかな気持ちで子育てをしたい人です。だからこそ「比べないようにしなきゃ」と自分に言い聞かせる。でも、その正しさが強いほど、心は逆に苦しくなる。私はまず、答えを急がず、Sさんが安心して言葉にできるペースを大事にしながら、起きていることを一つずつ一緒にほどいていきました。

行事のたびに心臓がドキドキ…「見られてる気がする」緊張の正体

幼稚園の行事って、想像以上に“比べやすい環境”なんですよね。
整列、返事、制作、発表。周りに先生や保護者もいて、どこか「ちゃんとできているか」をチェックされているような空気が漂います。Sさんもまさにその渦中にいて、行事が近づくだけで動悸がしたり、前日から眠れなかったりしていました。

当日、周りの子がスムーズに動くほど、息子さんの落ち着かなさが目に入る。
「また列から外れた…」
その瞬間に、息子さんの姿より先に“自分の心”がビクッと反応してしまうんです。恥ずかしい、申し訳ない、焦る。頭の中で「ちゃんとさせなきゃ」が鳴り続けて、気づけば呼吸が浅くなる。

Sさんがしんどかったのは、「息子が落ち着かないこと」そのものよりも、まず比べてしまう自分を責めてしまうことでした。
「比べるなんて、愛情が足りない母親みたいで…」
そんな言葉が出るくらい、Sさんは真面目で、息子さんを大事にしたい気持ちが強い人です。

ここで大切なのは、気合いで“比べない”を目指すことより、まず「緊張が高まる場面では、比較が起きやすいのが自然」だと知ること。
否定されない安全な空気の中で、Sさんが感じている不安やみじめさをそのまま言葉にしていくと、少しずつ心の力みがほどけていきます。焦って結論を出さず、「そう感じるの、当然だよね」と受け止めてもらえるだけで、体の反応(動悸や不眠)が和らいでいく人は多いんです。

公園や習い事でも刺さる「同じ年なのに…」の一言が頭から離れない

園行事だけじゃなく、公園や習い事でも比べるスイッチは入りやすいです。
目に入るのは、なぜか“できている子”ばかり。しかも同じ年、もしくは年下の子がテキパキしていると、心の中で小さくダメージを受けてしまう。Sさんも、「うちはなんで…」が積み重なって、帰宅後にどっと落ち込み、自己嫌悪でいっぱいになっていました。

このときのポイントは、「比較は、情報を集めようとする脳の動き」でもあるということです。
初めての子育てで分からないことだらけ。周りの基準が見えないからこそ、近くの親子を無意識に観察してしまう。これは意志の弱さというより、“不安を減らすために”起きている反応なんですよね。

ただ、観察が続くと、心の中でこんな会話が始まります。
「どうして他の子はできるのに」
「比べちゃう私ってダメだよね」
この“二段攻撃”が本当にしんどい。前半で落ち込み、後半で自分を叱って、さらに消耗する。Sさんが「一番つらいのは、比べてしまう自分を責めること」と話していたのは、まさにここです。

だから私は、まず「比べてしまう自分」を悪者にしないことから始めます。
比べた瞬間に、すぐ反省会を開かない。
「また比べちゃった…」の代わりに、いったんこう言い換えてみるんです。
「それだけ息子のことが大切なんだな」
たったこれだけでも、心のトゲが少し丸くなります。

もちろん、すぐに楽になるわけじゃありません。
でも、“責めるループ”を止める練習をしていくと、比べる頻度より先に、落ち込みの深さが変わってきます。Sさんも、まずそこに小さな変化が出ていきました。

SNSを見るたびに落ち込む…「キラキラ親子」がつらい日に起きていること

SNSって便利だけど、疲れているときほど心に刺さります。
Sさんも、楽しそうな親子の投稿を見るたびに気持ちが沈み、「うちはうまくできてない」と感じてしまうことが多かったそうです。しかも厄介なのが、見た瞬間は平気でも、あとからジワジワ落ちてくるところ。夜になると考えすぎて眠れない、という流れにもつながっていました。

ここで知っておきたいのは、SNSは“相手のハイライト”が流れてくる場所だということ。
上手くいっている瞬間だけが切り取られているから、こちらのしんどい現実と比べると、どうしても自分が小さく見えてしまうんです。特に、毎日の育児と家事で余裕がない時期は、心のバッテリーが少ないのでダメージが大きくなります。

Sさんの場合、「周りと比べずに穏やかに子育てしたい」という願いが強いぶん、SNSの刺激が余計につらかった。
“穏やかでいたい”が“穏やかでいなきゃ”に変わると、自分に厳しくなってしまうんですよね。
そして厳しさは、だいたい眠れない夜に増幅します。

そこでSさんが実際に試したのが、SNSを見る時間を減らすこと。
これ、逃げでも甘えでもなくて、普通にめちゃくちゃ賢い工夫です。心が弱っているときに刺激を減らすのは、体調が悪いときに無理をしないのと同じ。さらに、落ち込んだ日は「今日は疲れてるだけ」と認める。これも大事なセルフケアです。

私は、こういう工夫を押しつけるのではなく、「Sさんの生活の中で、無理なくできる形」に落とし込みながら一緒に考えていきます。正解探しより、今のSさんの心が少しでもラクになる道を、焦らず選ぶ。その積み重ねが、次の展開につながっていきます。

「比べないようにしなきゃ」が逆につらい…自分を追い詰める“正しさ”の罠

Sさんは最初から「比べたい」人ではありません。むしろ、比べてしまう自分を強く責めていて、「こんなふうに思う私はダメな母親ですよね」と何度も口にしていました。
だからこそ、Sさんの中には“正しい努力”がありました。「周りと比べない」「気にしない」「もっと穏やかに」。そのどれも、頭では分かっている。だけど、分かっているのにできない。ここがいちばん苦しいんですよね。

比べる瞬間があるたびに、心の中で反省会が始まる。
「また比べちゃった」
「ほら、私ってやっぱりダメ」
この流れが続くと、悩みの中心が“子どものこと”から、“自分の人格チェック”にすり替わっていきます。息子さんを受け止めたい気持ちはあるのに、まず自分を責めることでエネルギーが削られてしまう。毎日の育児と家事で余裕がない時期なら、なおさらです。

ここで私は、いきなり「比べない方法」を教えるのではなく、まず“比べてしまう気持ち”を否定しないところから始めます。比べることは悪ではなく、強い不安や責任感があるときに自然に起きやすい反応。そう捉え直すだけで、Sさんの表情や呼吸が少しずつ変わっていきました。
「比べない」より先に、「責めない」を一緒に育てていく。今の段階では、ここが大きな土台になりました。

「比べない=良い母」みたいな基準が、心を余計に疲れさせる

Sさんが抱えていたのは、単純な比較だけではありませんでした。
「比べないでいられる母親が理想」
「比べる私は未熟」
そんな“見えない採点表”が、いつも頭の片隅にある感じです。

これって、すごく真面目で、頑張り屋さんほどハマりやすいんですよね。
自分にルールを作って、ちゃんと守ろうとする。だから、守れない自分を見つけた瞬間に一気に落ち込む。しかも、ルールが“正しそう”だから、手放しにくい。まさに正しさの罠です。

でも実際の子育ては、正しさだけで回りません。
体調、睡眠、仕事、家事、子どもの気分…いろんな要素が毎日変わる。そんな中で「常に比べない母」を目指すのは、ほぼ修行です。できない自分が悪いというより、目標設定がハードすぎる。

そこで大事になるのが、採点表を一度テーブルの上に出してみること。
「私の中で“良い母”ってどんな人?」
「それって誰が決めた基準?」
こうやって言葉にしていくと、Sさん自身も「あれ、私、めちゃくちゃ厳しい基準で生きてたかも」と気づきやすくなります。

比べることをゼロにするより、比べた瞬間に“自分を罰しない”。
そのほうが現実的で、心が回復しやすい。Sさんも、まずここで「比べた=失格」ではない感覚を少しずつ取り戻していきました。

「比べたくて比べてるわけじゃない」不安が強いほど比較は起きやすい

Sさんがポツリと言った言葉が印象的でした。
「比べないようにしなきゃ、って思うほど苦しくなってました」
これ、めちゃくちゃ本質を突いています。

比べるって、性格の問題に見えやすいけど、実は“状態”の影響が大きいです。
余裕がある日はスルーできても、疲れている日は刺さる。睡眠不足だと、いつもよりネガティブに傾く。行事前みたいに緊張が高いと、周りが気になりやすい。つまり、比較が出るときは「心が危険を感じてるサイン」でもあります。

特にSさんは、初めての子育てで分からないことが多い中、息子さんのことを本気で大切に思っていました。大切だから、不安になる。責任感があるから、周りの情報を拾ってしまう。
ここを「私はダメ」と結論づけると、ただでさえ不安なのに、さらに自分で不安を増やしてしまいます。

だから私は、Sさんが比較した瞬間に、すぐ“反省”へ飛ばないように一緒に練習します。
まずは実況中継みたいに、淡々と。
「今、他の子が目に入った」
「今、焦りが出た」
それだけでも、感情の波に飲まれにくくなるんです。

「比べた=悪」じゃなくて、
「比べた=今ちょっと余裕が減ってる」
こう捉え直せると、対策も変わります。気合いより、休息や刺激の調整へ。Sさんも少しずつ、“自分を責める以外の選択肢”を増やしていきました。

まずは安心して話せる空気づくり:「直さなきゃ」より「そのまま言っていい」

Sさんが一番しんどかったのは、悩みを誰にも言えず、1人で抱え込んでいたことでした。
周りに同じ悩みを話せる人がいない。相談したとしても、「比べちゃダメだよ」と正論が返ってきそうで怖い。だから、言えない。言えないから、頭の中で同じことを何回も繰り返す。夜になるとさらに増幅して眠れない。こういうループ、ほんとに起こりやすいです。

だからここの段階でいちばん大事にしたのは、問題を“直す場所”にしないことです。
「ちゃんとしなきゃ」を増やさない。
「そう思っちゃうんだね」をまず置く。
その上で、Sさんの言葉を急かさず待つ。私はこの“間”をすごく大事にしています。

実際、Sさんも話し始めは短い言葉でした。
でも、否定されないと分かってくると、言葉数が増え、表情がやわらぎ、涙が出ても呼吸が落ち着いていきました。ここはすごく大きな変化です。人って、安心できると、ちゃんと自分で整理できるようになるんですよね。

「比べない方法」より前に、
「比べてしまう私を、いったんここでは責めなくていい」
この感覚が育つと、次にできることが見えてきます。

Sさんにとっても、いきなり“理想の母”になる必要はありませんでした。
まずは、苦しさをそのまま言っていい。
そこから、少しずつ前に進む準備が整っていったんです。

比較の正体は“愛情の薄さ”じゃなかった…「責める」をやめた瞬間に見えた本当の気持ち

上記の段階でSさんが少しずつ掴み始めたのは、「比べてしまう=母親失格」ではない、という感覚でした。ここが大きな分かれ道になります。
Sさんはずっと、息子さんを他の子と比べてしまうたびに「私は愛情が足りないのかも」「受け止められていないのかも」と自分を責めていました。でも丁寧に話を追っていくと、比べる気持ちの奥にあったのは“冷たさ”ではなく、むしろ真逆のもの。息子さんを大切に思うほど、不安が強まり、周りの基準に目がいく。責任感が強いほど、「ちゃんと育てなきゃ」が膨らむ。
つまり比較は、愛情がないサインではなく、愛情と責任感が強い人ほど起きやすい反応だったんです。

ここで私は、Sさんの言葉をそのまま受け取りながら、ラベル貼りを急がないようにしました。「こういう性格だから」と決めつけず、「その場で何が起きていた?」を一緒に振り返る。するとSさんの中で、点だった出来事が線になってつながっていきます。
「比べたくて比べてるわけじゃない」
「大切だから不安になるだけだった」
この気づきが出た瞬間、Sさんの表情がふっとやわらぎました。この段階では、“比較を止める”より先に、“比較に意味づけを変える”ことで、心の流れが変わっていきました。

「また比べちゃった…」を「大切なんだな」に言い換えると、心のダメージが減る

比べてしまった瞬間って、ほぼ反射です。
だから「比べない!」と気合いを入れても、ゼロにするのは難しい。そこで効いてくるのが、比べた“あと”の自分への声かけです。

Sさんは今まで、比べた瞬間にこうなっていました。
比べる → 落ち込む → 自分を叱る → さらに落ち込む
このループが、しんどさを何倍にもしていたんです。

そこで提案したのが、言い換え。
「また比べちゃった…」の代わりに、まずこう言ってみる。
「それだけ息子のことが大切なんだな」
これ、最初は抵抗が出やすいです。だって落ち込んでいるときに自分を肯定するのって、なんか嘘っぽく感じるから。でもポイントは、“肯定しよう”じゃなくて、“事実の見方を変える”こと。

比べた=悪
ではなく
比べた=不安が強い/責任感が強い
だとしたら、やることは自分を罰することじゃなく、少し安心を増やすことになります。

Sさんも最初は「そんなふうに思えない」と言っていました。
でも、比べたあとに一回だけ深呼吸して、「今、不安なんだな」と言葉にする練習を続けると、心の落下がゆるやかになっていきました。比べる回数がすぐ減らなくても、ダメージが減る。ここが大事なんです。

「比べる瞬間」を細かく振り返ると、引き金が分かって対策しやすくなる

比較って、いつでもどこでも起きるようで、実は“起きやすい条件”があります。
Sさんの場合、特に強かったのは「園行事」「集団活動」「周りの視線を感じる場面」。ここを丁寧に言葉にしていくと、対策が気合いではなく“作戦”になります。

例えば、行事前に動悸が出る。
それって体が「緊張してるよ」と教えてくれているサインです。
このサインを無視して「頑張れ私!」で突っ込むと、当日は余裕がなくなって比較が増えやすい。逆に、サインに気づけると、事前にできることが増えます。

・前日は睡眠を優先する
・当日は完璧を目指さず、まず自分の呼吸を整える
・帰宅後の予定を詰めすぎない
こういう小さな調整が、比較の波を弱めます。

Sさんは「比べる=性格の欠点」だと思っていたので、ずっと自分を直そうとしていました。
でも引き金が分かると、「環境と状態の問題も大きいんだ」と理解できる。
この理解があるだけで、自己嫌悪が減って、行動に移しやすくなります。

そして不思議なことに、対策が進むと、息子さんを見る目も少し変わります。
“周りと比較して評価する目”が弱まり、
“今この子が何に困ってる?”を見る目が戻ってくる。
この段階で起きた変化は、まさにここでした。

泣けたこと、言葉が増えたことが大きな前進:心がほどけると見える景色が変わる

Sさんは話している途中で涙が出ました。
でも、それは悪いことではなくて、むしろ大きな前進でした。自分を責め続けていると、感情って固まって出にくくなるんです。泣けるということは、心が少し安全になった証拠でもあります。

最初のSさんは、短い言葉で、どこか緊張していました。
「私が悪いんです」
「比べちゃダメなのに」
でも、否定されない空気の中で、ゆっくり話していくうちに、言葉数が増え、表情がやわらぎ、呼吸も落ち着いていきました。

私はこの変化をすごく大事に扱います。
なぜなら、心に余白が戻ると、次の一手が自然と浮かびやすいからです。
余白がないときは「どうしよう」しか出ない。
余白ができると「こうしてみようかな」が出る。

実際、Sさんも上記の段階で、
「SNSの時間を減らしてみようかな」
「落ち込んだ日は“疲れてるだけ”って言ってみようかな」
と、自分に合った工夫を自分の言葉で選べるようになっていきました。

つまり上記で起きたのは、劇的に“比べなくなった”ではなく、
“比べたときの自分への扱い方が変わった”ということ。
この変化こそが、次につながる大事なターニングポイントになりました。

比べる気持ちは残ってもいい…「自分を責めない子育て」に戻れたSさんのその後

上記の段階でSさんは、「比べてしまう自分=ダメ」ではないと分かり始めました。ここで大切なのは、ここから“理想のゴール”を現実サイズにすることです。
子どもを他の子と比べる気持ちをゼロにする。完璧に穏やかでい続ける。そういうゴールを置くと、また同じ苦しさが戻ってきます。Sさんも、比較が完全になくなったわけではありません。園行事や公園で、ふと目に入ってしまう瞬間は今もある。でも、決定的に変わったのはその後です。
「比べちゃった…最悪」ではなく、「今、不安が出てるな」「疲れてるだけかも」と自分に声をかけられるようになった。SNSを見る時間を減らし、落ち込んだ日は“立て直す日”として扱えるようになった。そうやって自分を責める回数が減った分、息子さんを見る目も少しずつ柔らかくなっていきました。

そしてSさんの中に残ったメッセージは、すごくシンプルでした。
「比べてしまっても、それは愛情の一部」
この言葉は、子育てのしんどさを一発で消す魔法ではありません。でも、つらさの底に落ちていくのを止めてくれる“手すり”にはなります。ここでは、Sさんが日常に持ち帰った工夫と、これからの課題も含めて、無理のない形で前に進む姿をまとめます。

SNSを減らしただけで心が軽くなる日がある:刺激を減らすのは立派な工夫

Sさんが実際にやってみたことの一つが、「SNSを見る時間を減らす」でした。
これって地味に見えるけど、効果が出やすい工夫です。SNSは“良い瞬間の切り抜き”が多い場所なので、疲れているときほど心に刺さります。しかも、見た直後に落ち込むとは限らない。あとからジワジワ来て、夜に反芻が始まり、眠れなくなる。Sさんはまさにこの流れにハマっていました。

そこで、いきなり断つのではなく、まず「見る回数を減らす」。
たとえば、行事前日と当日は見ない。寝る前は触らない。落ち込みやすいアカウントは距離を置く。こういう“現実的な線引き”が、心の余裕を取り戻す助けになります。

大事なのは、「私は弱いから見ない」じゃなくて、
「今は回復を優先するから刺激を減らす」
という発想です。体調が悪いときに辛いものを避けるのと同じで、心にも“消化に良いもの”が必要な時期があります。

Sさんも、SNSを減らしただけで「比較のスイッチ」が入りにくい日が出てきました。比べる回数が少しでも減ると、自己嫌悪が減り、結果的に息子さんとの時間に意識が戻ってくる。派手さはないけど、こういう積み重ねがいちばん強いんですよね。

「今日は疲れてるだけ」って言えた日が勝ち:落ち込みの日の扱い方が変わると回復が早い

Sさんがもう一つ持ち帰ったのが、落ち込んだ日の言葉です。
前は、落ち込むたびに「私ってダメ」「ちゃんとできない」と自分を責めていました。すると落ち込みが長引いて、次の日も引きずる。さらに疲れて、また比べやすくなる。悪循環です。

でも、この段階ではこう言える日が増えました。
「今日は疲れてるだけ」
この一言、軽く見えてめちゃくちゃ大事です。

落ち込みって、内容だけじゃなく“体の状態”に左右されます。
寝不足、忙しさ、緊張、ホルモンバランス、天気。条件が重なると、普段ならスルーできることが刺さる。つまり、落ち込んだ日の自分に必要なのは、説教より休息です。

「落ち込んだ=問題発生」ではなく、
「落ち込んだ=回復のサイン」
こう扱えるようになると、回復が早くなります。

Sさんの場合、落ち込みの原因が“子どもの行動”に見えていたけど、実際は「自分を責める癖」がしんどさを増幅していました。だから、落ち込んだ日に責めずに済むだけで、次の日の心の立ち上がりが変わる。これがここでの一番大きい成果だったと思います。

比較がゼロじゃなくても前に進める:これからの課題と「手すり」を持って歩く

Sさんは今も、比較が完全に消えたわけではありません。
園行事で周りが整って見えると、不安が出ることはある。公園で年下の子がしっかりしていると、胸がチクッとすることもある。でも、以前と違うのは「そのあと自分をどう扱うか」です。

比べた瞬間に、すぐ裁判を始めない。
「今、不安なんだな」
「大切だから焦るんだな」
そうやって“手すり”を握れるようになった。これが、日常を大きく変えます。

一方で、残っている課題もあります。
息子さんの支援の方向性の検討は必要、という点。ここは、焦って結論を出すより、状況を整理しながら必要な情報を集めていくフェーズになります。大事なのは、支援を考えるときに「比較で追い立てられた気持ち」で決めないこと。Sさんのペースで、息子さんの特性や環境を踏まえて、選択肢を増やしていくことが安心につながります。

最後に、Sさんが持ち帰った言葉をもう一度。
「比べてしまっても、それは愛情の一部」
比べる気持ちが出たときは、あなたが弱いからじゃなくて、あなたが必死に大切にしているから。そこに気づけるだけで、子育ては少しラクになります。

もし今、同じように一人で抱え込んでいるなら、まずは“責めるループ”を止めるところから。そこから、ちゃんと前に進めます。

読者へのメッセージ

子どもを他の子と比べてしまうとき、いちばん苦しいのは「比べた事実」よりも、そのあとに自分を責めてしまうことだったりします。
「分かってるのに止まらない」って、ほんとしんどいですよね。

でも、比べてしまうあなたがダメな親なわけではありません。
それだけ子どものことが大切で、不安になってしまうだけ。
比べる気持ちが出た日は、「またやっちゃった」じゃなくて、まずは「今ちょっと余裕が減ってるのかも」と自分に言ってあげてください。

そして、もし一人で抱え続けて限界を感じているなら、言葉にしていい場所を持つのはすごく大事です。
頭の中だけで反省会を続けるより、誰かにそのまま話して、整理していくほうが回復は早いです。

傾聴ラウンジ「ここより」では、正論でジャッジしたり、無理に元気づけたりはしません。
「比べちゃう」「しんどい」「うまくいかない」――そのままの言葉を、途中で遮らずに受け止めながら、一緒に気持ちのほどき方を探していきます。

今すぐ答えを出さなくても大丈夫。
まずは、あなたの中に溜まっているものを、安心して外に出してみませんか。
「ここより」で、お待ちしています。

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