本音が分からないのはどのような状況なのか?【1】
投稿者プロフィール
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【経歴】
・キャリアカウンセラー15年
・心理カウンセラー10年
※相談件数10,000件以上
【主な相談内容】
・うつ病、パニック障害などの精神疾患との向き合い方
・周りの人には言えない恋愛相談
・仕事が長続きしない、キャリア形成に悩んでいる
・人間関係が上手くいかない
【アプローチ】
まずは話したいこと、聴いてほしいこと、頭に浮かんだことを自由にお話ください。どんな話でも否定しませんので、安心してありのままをお話くださいね。あなたの話を受け止めた上で、心の声をキャッチし一緒に向き合い、フィードバックしていきます。
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目次
「本音が分からない」と感じる瞬間とは?
「本音が分からない」と感じる瞬間は、多くの人が経験するもので、さまざまなシチュエーションで現れます。たとえば、自分の気持ちや意見を表明したいのに、言葉にするのが難しいと感じたり、周囲にどう思われるかを気にしすぎて、結局何が本当の自分の気持ちなのか分からなくなる瞬間です。このようなときには、表面的な「こうであるべき」「こう思われたい」という気持ちと、自分が本当に感じていることの間で混乱が生じやすくなります。
また、大きな決断をしなければならないときや、困難な状況に直面したときにも、本音が分からなくなることがよくあります。たとえば、仕事の選択や恋愛関係の悩みなど、選択肢が多く、どの道を選ぶべきかを考えるとき、周囲の意見や社会的な期待に振り回され、本当に自分がどう感じているのかが分からなくなりがちです。
さらに、自分の価値観や人生観が変わりつつあるときも、本音が見えづらくなることがあります。たとえば、人生の転機や大きな環境の変化に伴い、自分のこれまでの考え方が通用しなくなり、新しい価値観を模索しているときに、心の中が混乱しやすくなります。その結果、これまでの「本音」が本当に自分のものであったのか、または周囲の影響を受けただけのものであったのかが曖昧になるのです。
こうした状況で「本音が分からない」と感じることは、自己理解の一環とも言えます。本音を見つけるには、静かに自分と向き合う時間が必要であり、焦らず自分の内面に耳を傾けるプロセスが重要です。
本音を隠してしまう心理的要因
本音を隠してしまう心理的要因は、さまざまな内的・外的な理由によって引き起こされることが多いです。以下、代表的な要因をいくつか挙げて解説します。
1. 周囲の期待や評価を気にする心理
日本社会では、協調性が重視され、他者に迷惑をかけないことが美徳とされています。そのため、自分の本音を言うことで周囲の期待に反するのではないかという不安から、意見を控えたり、周りに合わせてしまうことが多く見られます。自分がどう思われるか、失望されないかという気持ちが、本音を隠す原因になり得ます。
2. 拒絶や批判を恐れる気持ち
本音を明かすことで拒絶や批判を受けるのではないかという恐れが強い人は、自然と本音を隠してしまう傾向にあります。特に、過去に本音を話したことで嫌な思いをした経験があると、それがトラウマとなり、今後も本音を隠そうとする心理が働きやすくなります。
3. 「良い人」でいたい願望
多くの人は、周囲から「良い人」として見られたいという願望を持っています。この「良い人」でいるために、自分の本音を出すことで人間関係にヒビが入るリスクを避け、あえて自分の気持ちを抑えることがあります。これにより、本音を隠しながら周囲に合わせようとする傾向が生まれます。
4. 自己肯定感の低さ
自分の意見や感情に自信が持てないと、自分の本音を表に出すことが怖くなります。自己肯定感が低い人は、他人に自分を肯定してもらいたいという気持ちが強くなり、結果として、自分の本音よりも他者の意見に合わせてしまう傾向が出やすいです。
5. 内面と外面のギャップ
自分の本音と、周囲に見せる顔とのギャップが大きくなると、本音を隠すことが習慣化しやすくなります。特に、仕事や家族関係などで「こうあるべき」と自分を縛っている場合、周囲に合わせた役割を演じることが多くなり、本音を出せなくなる傾向が強まります。
6. 心の防衛機制としての自己防衛
心理的な防衛機制の一つとして、傷つくことから自分を守るために本音を隠すことがあります。たとえば、自分が本当に感じていることを隠すことで、他人からの否定や衝突を回避しようとする場合です。この防衛機制は、過去の経験から無意識に形成されることが多く、意識して解消しない限り続くことが多いです。
7. 過去の失敗やトラウマ
過去に本音を話したことで失敗した経験や、傷ついた出来事があると、再びそのような経験を避けるために本音を隠すようになります。特に、人間関係で失敗を経験した場合、それがトラウマとなり、再び本音を言うのが怖くなることが少なくありません。
8. 自己理解がまだ浅い場合
自分の本音を隠している人の中には、自分の気持ちや考えをまだ完全には理解していない人もいます。自己理解が進んでいないと、何が本当の気持ちなのかをはっきり自覚できないため、それを他人に伝えるのが難しくなります。このため、自然と本音を隠すことが習慣化されてしまうのです。
本音を隠してしまうことは、自分の心を守るための反応とも言えますが、それが習慣化すると自己理解が進まず、関係性の中で本来の自分を表現しづらくなります。
周囲の期待に合わせることで失われる自分
「周囲の期待に合わせることで失われる自分」というテーマは、多くの人が無意識に体験している現象です。特に日本社会では、協調性や「空気を読む」ことが重視されがちであり、周囲の期待に応えようとすることで自分自身を見失うリスクが高まります。ここでは、周囲の期待に合わせることでどのように自分が失われていくのか、その影響について詳しく見ていきましょう。
1. 他者の評価に依存する自己価値観
周囲の期待に応えることで一時的な安心感や承認を得ることができますが、それが続くと次第に「自分が何を望んでいるか」よりも「他者にどう評価されるか」が優先されるようになります。このため、自己価値観が他者の評価に依存しがちになり、本来の自分の気持ちや意見が埋もれてしまうのです。
2. 本来の興味や目標からの逸脱
期待に応えようとするあまり、自分の興味や目標を後回しにしてしまうことも少なくありません。例えば、家族や社会が望むキャリアパスや生き方に従うことで、気づけば自分が本当にやりたいことや、心から大切にしたいことから遠ざかっていることに気づきます。その結果、生活や仕事に対してやりがいや満足感を感じにくくなることが多くなります。
3. 自己表現の抑制
周囲の期待に合わせることが常態化すると、自分の考えや意見を抑え込む習慣がついてしまいます。自分の考えや感じていることを素直に表現する機会が減ることで、自分の本当の気持ちを言葉にするのが難しくなり、最終的には「自分が何を考えているのか分からない」という感覚に陥りやすくなります。
4. ストレスと自己不一致感の増加
周囲の期待に合わせることで自分の気持ちを抑え続けると、心の中にストレスが蓄積されていきます。また、自分が理想とする自分像と実際の行動が一致しない「自己不一致」が生じると、内面的な不安や不満が増し、自己嫌悪や疲労感につながりやすくなります。これが続くとメンタルヘルスにも悪影響を及ぼす可能性が高まります。
5. 「本当の自分」が分からなくなる
周囲の期待に応え続けると、自分が本当は何を望んでいるのか、どのような人間でありたいのかが分からなくなっていきます。特に、幼少期から「こうあるべき」「こうしなければならない」という期待を受け続けた人ほど、自分自身に対する理解が曖昧になりがちです。本来の自分を知ることが難しくなり、結果として人生の選択や人間関係において迷いが生じやすくなります。
6. 自己成長の停滞
周囲の期待に合わせることに集中していると、自分の内面的な成長が阻まれることがあります。自分の考えや意見に自信を持ち、チャレンジする経験を避けてしまうため、自分自身を深めたり、強みを育てたりする機会が失われてしまいます。これが続くと、人生に対する満足感や達成感も低下しやすくなります。
7. 周囲との境界線が曖昧になる
他者の期待に応えようとすることが常態化すると、周囲との境界線が曖昧になり、自分と他者の区別がつかなくなることがあります。この結果、自分が本来大切にしたいものや自分の価値観が後回しにされ、自己同一性が失われる危険性が高まります。
8. 長期的な自己不満と後悔のリスク
周囲の期待に応えて生きることは、短期的には安心感や安定感を与えるかもしれませんが、長期的には「自分の人生を生きていない」という後悔を生む可能性があります。本当の自分を無視し続けることで、人生の後半で虚しさや後悔が募り、「もっと自分らしく生きていればよかった」と感じることが増えるでしょう。
自分を失わずに生きるためには、周囲の期待に応えすぎないように意識的に自分の内面と向き合い、自分が本当に大切にしたいことや望んでいることを少しずつ明確にすることが大切です。
過去の経験が本音の認識に与える影響
過去の経験は私たちの本音や本来の気持ちに大きな影響を与えます。特に、過去に経験した出来事や人間関係、成功や失敗は、私たちが自分の気持ちをどのように認識し、表現するかを左右することが多いです。ここでは、過去の経験が本音の認識に与える主な影響をいくつか解説します。
1. 自己防衛のための感情抑制
過去に本音を話した結果、傷ついたり、批判されたりした経験があると、その経験がトラウマとなり、本音を抑え込む傾向が生まれることがあります。この自己防衛のメカニズムによって、自分の本音を押し殺し、周囲に合わせた意見を述べるようになります。こうした抑圧が続くと、次第に自分の本当の気持ちを認識するのが難しくなるのです。
2. 成功体験による自己規制
過去に特定の行動や発言が成功や承認につながった経験があると、「こうすればうまくいく」という信念が強化されます。この結果、自分の本音よりも「成功するための行動」に重きを置き、自己規制が働くようになります。成功体験が自己肯定感を支える一方で、本音を抑えてしまう原因にもなり得ます。
3. 過去の関係性による自己価値の形成
幼少期や青年期の家族や友人との関係が、本音の表現に影響を与えることが多いです。例えば、家庭内で感情を抑え込むよう育てられた場合、本音を素直に表現することに対して抵抗感を抱くことがあります。また、他人の期待に応えることで評価を得てきた経験が多いと、周囲の期待に合わせることが本音を見失う原因となります。
4. 失敗や挫折による自己批判の強化
過去の失敗や挫折が「自分は価値がない」「本音を出しても無意味だ」という感覚を強めることがあります。自己批判が強化されると、自分の気持ちや考えを素直に表現することが怖くなり、本音を隠す傾向が強まります。自己批判は過去の失敗から学ぶ姿勢を歪め、心の中で自分を否定し続ける要因となります。
5. 人間関係のトラウマ
人間関係の中でのトラウマ、たとえば裏切りやいじめ、無視される経験などは、本音を出すことへの恐怖を増幅させます。このようなトラウマから「本音を話すとまた傷つくかもしれない」と感じ、本音を隠したり、周りに合わせるようになってしまうことがあります。これにより、本来の自分を見失いやすくなるのです。
6. 「こうあるべき」という固定観念
過去に経験した社会的な価値観や、親や教師からの指導により、「こうあるべき」「こう感じるべき」という固定観念が形成されることがあります。こうした固定観念が強まると、自分の本音を押し殺し、社会的な期待に沿った行動を取るようになります。このような習慣は、本当の気持ちを隠す原因となり、長期的には自己理解の阻害要因となります。
7. ポジティブな過去と理想化
過去に特に満たされた経験や楽しい思い出があると、それに近い体験を求めるあまり、現実の自分の気持ちに気づけなくなることがあります。過去の理想的なイメージに執着することで、現在の自分の気持ちや不満に目を向けにくくなり、本音を認識することが難しくなります。
8. 自己肯定感の低さと自己否定的な思考
過去の経験から自己肯定感が低くなりがちな人は、自分の本音に対しても批判的になりやすいです。自分の気持ちを「間違っている」と捉えたり、「自分の考えは重要でない」と思い込んでしまい、本音を無意識に無視するようになります。自己否定が強いと、本音が何なのかさえ分からなくなることがあります。
過去の経験が本音の認識に与える影響は多様であり、時には自分を守るための適応的な反応であることもありますが、それが行き過ぎると自己理解や自己表現の妨げになります。自分の過去の影響を認識し、そこから解放されるためには、少しずつ自己対話や内観を行い、現在の自分の気持ちに耳を傾けることが大切です。