認知の歪みとは?考え方のクセに気づく12の認知パターン

「どうせ自分には無理だ」
「返信が遅いのは、嫌われたからかもしれない」
「一度失敗したから、また同じことになるに違いない」
何か出来事があったとき、こうした考えが自然と浮かんでくることはありませんか?
私たちは、起きた出来事をそのまま受け取っているようで、実際にはこれまでの経験や価値観、そのときの気持ちなどを通して物事を見ています。そのため、同じ出来事でも、人によって受け取り方は大きく変わります。
こうした受け取り方がいつも同じ方向に偏り、自分を必要以上に責めたり、不安を大きくしたり、人間関係で苦しくなったりするとき、その背景には「認知の歪み」と呼ばれる考え方のクセが関係していることがあります。
「歪み」という言葉を見ると、「自分の考え方が間違っているのでは」と感じるかもしれません。
しかし、大切なのは正しい・間違っていると判断することではありません。
まずは「自分はこんなときに、こう考えやすいんだ」と気づくことです。自分の考え方の傾向が分かると、「本当にそうだろうか」「ほかの見方もあるかもしれない」と、少し立ち止まって考えられるようになります。
この記事では、日常生活に表れやすい「認知の歪み(考え方のクセ)」を、代表的な12の認知パターンに分けて紹介します。
「これ、自分にもあるかもしれない」と感じるものがないか、普段の仕事・恋愛・家族・人間関係などを思い浮かべながら見てみてください。
それぞれの認知パターンについて詳しく知りたい方は、各項目から個別の記事もご覧いただけます。

投稿者プロフィール

- 心理カウンセラー
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ストレス・不安・人間関係・自己否定などの悩みを、安心して話せる対話から整理し、考え方のクセや気持ちのパターンを一緒に見つけていく心理カウンセラーです。
■経歴・資格
産業カウンセラー。
人材紹介会社でキャリアアドバイザーとして転職相談に携わり、仕事やキャリア、職場の人間関係など、さまざまな相談に対応してきました。
現在はオンラインを中心に、ストレス、不安、人間関係、自己肯定感、自己否定、HSP、仕事やキャリア、本音を言えない悩みなどの相談を受けています。
■得意な相談
・ストレス・不安・気分の落ち込み
・職場・家族・恋愛などの人間関係
・自己肯定感の低さ・自己否定
・HSP・繊細さによる生きづらさ
・仕事・キャリアの悩み
・本音が言えない、自分の気持ちが分からない悩み
■大切にしていること
まずは、否定されず安心して本音を話せることを大切にしています。
話を聴くだけで終わるのではなく、対話を通して気持ちを整理し、自分では気づきにくい「考え方のクセ」や、ストレス・不安が強くなるパターンを一緒に見つけていきます。
来談者中心療法の考え方を大切にしながら、必要に応じて認知行動療法(CBT)の考え方も取り入れています。
「こんなことで相談していいのかな」「うまく話せるか分からない」という段階でも大丈夫です。話がまとまっていなくても、安心してお話しください。
目次
- ○ 「認知の歪み」とは?
- ・出来事そのものと「受け取り方」は同じではない
- ・考え方のクセは過去の経験から作られることもある
- ・まずは「自分の考え方に気づく」ことから
- ○ なぜ考え方のクセが生まれるの?
- ・過去の経験が「次も同じかもしれない」につながる
- ・周囲から求められてきたことも影響する
- ・不安や落ち込みが強いと考え方も偏りやすくなる
- ○ 代表的な12の認知パターン
- ・二分割思考(白黒思考)
- ・過度な一般化
- ・心のフィルター(否定的選択)
- ・感情的決めつけ
- ・すべき思考
- ・レッテル貼り
- ・個人化
- ・先読み・未来予想
- ・破局的思考
- ・心の読みすぎ(読心術)
- ・ポジティブな面の否定
- ・拡大解釈・過小評価
- ・当てはまる数より「気づくこと」が大切
- ○ 認知パターンはいくつか重なることもある
- ・一つの出来事から複数の考え方が広がることがある
- ・場面によって出やすいパターンが変わることもある
- ・「なくす」のではなく「気づけるようになる」
- ○ 考え方のクセに気づいたらどうすればいい?
- ・まずは「事実」と「自分の考え」を分けてみる
- ・「ほかの見方はないかな?」と考えてみる
- ・自分だけでは気づきにくいクセもある
- ○ 自分の「考え方のクセ」をもう少し整理してみたい方へ
- ・認知パターン診断で自分の傾向を整理する
- ・一人では整理しにくいときは
- ○ 自分では気づきにくい「考え方のクセ」を知ってみませんか?
「認知の歪み」とは?

認知の歪みとは、出来事や相手の言葉、自分自身について考えるときに、物事の一部分を強く受け取ったり、実際よりも悪い方向へ考えたりする「考え方のクセ」のことです。
「歪み」という言葉から、考え方そのものが間違っているように感じるかもしれません。しかし、こうした受け取り方は特別なものではなく、誰にでも起こることがあります。
問題になるのは、その考え方を「事実そのもの」と思い込み、不安や落ち込み、人間関係の悩みが必要以上に大きくなってしまうときです。
出来事そのものと「受け取り方」は同じではない
たとえば、友人にメッセージを送ったのに、なかなか返信が来なかったとします。
「忙しいのかもしれない」と考える人もいれば、「何か嫌なことを言ったかな」「嫌われたのかもしれない」と考える人もいます。
起きている出来事は「返信がまだ来ていない」ということだけですが、その出来事をどう受け取るかによって、その後に感じる不安や気持ちは大きく変わります。
このように、私たちは出来事そのものだけではなく、自分なりの解釈を通して状況を見ています。
考え方のクセは過去の経験から作られることもある
物事の受け取り方には、これまで経験してきたことも影響します。
過去に人間関係で傷ついた経験があれば、「また嫌われるかもしれない」と考えやすくなることがあります。失敗を強く責められてきた人なら、小さなミスでも「失敗してはいけない」と感じるかもしれません。
つまり、考え方のクセには、その人なりの理由があります。
そのため、「こんな考え方をする自分はダメだ」と否定するより、「どうして私はこう考えやすいのだろう」と気づいていくことが大切です。
まずは「自分の考え方に気づく」ことから
認知の歪みを知る目的は、自分の考えを無理にポジティブへ変えることではありません。
「絶対に失敗すると思っているけれど、本当にそうだろうか」
「嫌われたと感じているけれど、そう判断できる事実はあるだろうか」
このように、自分の頭に浮かんだ考えを少し離れたところから見てみることで、別の可能性にも気づきやすくなります。
まずは自分にどんな考え方のクセがあるのかを知ること。それが、気持ちを整理し、物事を少し柔らかく捉えていくための第一歩になります。
なぜ考え方のクセが生まれるの?

私たちの考え方は、生まれたときから決まっているわけではありません。
これまでに経験してきたことや、家族・学校・職場などの環境、人との関わり方、そのときに感じた気持ちなどが少しずつ積み重なり、「こういうときはこう考える」という自分なりのパターンが作られていきます。
そのため、考え方のクセには、その人がこれまで自分を守ったり、状況に対応したりしてきた背景が隠れていることもあります。
過去の経験が「次も同じかもしれない」につながる
たとえば、過去に人間関係で強く傷ついた経験があると、新しく出会った人に対しても「また裏切られるかもしれない」と警戒しやすくなることがあります。
以前の経験から学んだことを、次の出来事にも当てはめようとするのは自然な反応です。
ただし、過去と現在は必ずしも同じではありません。それでも「きっとまた同じことになる」と考えてしまうと、不安が強くなったり、人との距離を必要以上に取ったりすることがあります。
周囲から求められてきたことも影響する
家庭や学校、職場などで、「失敗してはいけない」「人に迷惑をかけてはいけない」「期待に応えなければならない」と感じる経験が続くと、それが自分の中のルールになることがあります。
すると、大人になってからも「完璧にやらなければ」「断ってはいけない」「弱音を吐いてはいけない」と考えやすくなることがあります。
本人にとっては当たり前の考えになっているため、それが自分を苦しくさせていることに気づきにくい場合もあります。
不安や落ち込みが強いと考え方も偏りやすくなる
考え方は、そのときの気分からも影響を受けます。
不安が強いときには悪い可能性ばかりが目につきやすくなり、気持ちが落ち込んでいるときには、自分の失敗やできなかったことばかりを思い出しやすくなることがあります。
つまり、考え方のクセは「性格だから変えられないもの」ではありません。
まずは「私はどんな状況で、どんな考え方になりやすいのだろう」と気づくこと。その積み重ねによって、自分の考えを少し違う角度から見られるようになっていきます。
代表的な12の認知パターン

認知の歪みには、いくつかの代表的なパターンがあります。
ただし、「自分はこのタイプ」とひとつに決める必要はありません。仕事では「すべき思考」が出やすく、人間関係では「心の読みすぎ」が出やすいなど、場面によって異なるパターンが表れることもあります。また、複数の考え方のクセが重なっていることも珍しくありません。
ここでは、日常生活の中で見られやすい12の認知パターンを紹介します。「これ、自分にもあるかもしれない」と感じるものがあるか、普段の考え方を思い浮かべながら見てみてください。
二分割思考(白黒思考)
「成功か失敗か」「良いか悪いか」のように、物事を0か100かで考えやすいパターンです。「少しできた」「今回はうまくいかなかった」といった中間の状態が見えにくくなります。
過度な一般化
一度の失敗や限られた経験から、「いつもこうなる」「自分は何をやってもダメ」と広く結論づけてしまう考え方です。
心のフィルター(否定的選択)
良かったことよりも、失敗や嫌だったことばかりに目が向いてしまうパターンです。たくさん褒められていても、一つの注意だけが頭に残ることがあります。
感情的決めつけ
「不安だから、きっと悪いことが起きる」「自信がないから、自分にはできない」のように、自分が感じていることをそのまま事実として受け取ってしまう考え方です。
すべき思考
「ちゃんとするべき」「失敗してはいけない」「人に迷惑をかけるべきではない」など、自分や周囲に厳しいルールを求めやすいパターンです。
レッテル貼り
一度の失敗などから「自分はダメな人間だ」「あの人は信用できない人だ」と、人そのものを固定した言葉で決めつけてしまう考え方です。
個人化
誰かの機嫌が悪いと「自分が何かしたのでは」と考えるなど、本来自分だけの責任ではない出来事まで自分に結びつけてしまうパターンです。
先読み・未来予想
まだ起きていないことについて、「きっと失敗する」「悪い結果になる」と未来を先回りして決めつけてしまう考え方です。
破局的思考
小さな問題から「もう取り返しがつかない」「最悪のことになる」と、出来事を必要以上に大きく捉えてしまうパターンです。
心の読みすぎ(読心術)
相手に確認していないのに、「嫌われている」「怒っているに違いない」など、相手の気持ちを自分の想像だけで決めつけてしまう考え方です。
ポジティブな面の否定
褒められたり、うまくできたりしても、「たまたま」「誰でもできる」「大したことではない」と、良い出来事や自分の頑張りを打ち消してしまうパターンです。
拡大解釈・過小評価
失敗や欠点は必要以上に大きく捉える一方で、成功や自分の良いところは小さく評価してしまう考え方です。
当てはまる数より「気づくこと」が大切
12の認知パターンを見て、「ひとつだけ当てはまる」という人もいれば、「いくつか思い当たる」という人もいるでしょう。
大切なのは、自分をどれかのタイプに分類することではありません。「こんな場面では、この考え方が出やすいのかもしれない」と気づくことです。
自分の考え方のクセが分かると、同じような出来事が起きたときにも、最初に浮かんだ考えだけではなく、ほかの見方がないか少し立ち止まって考えられるようになります。
認知パターンはいくつか重なることもある

認知パターンは、いつもひとつだけ表れるとは限りません。
同じ出来事に対して、いくつかの考え方のクセが重なって表れることもあります。また、仕事では「すべき思考」が出やすく、恋愛では「心の読みすぎ」が出やすいなど、場面によって目立つパターンが変わることもあります。
そのため、「私はこのタイプ」と決めるよりも、どんな状況で、どんな考え方が浮かびやすいのかを見ていくことが大切です。
一つの出来事から複数の考え方が広がることがある
たとえば、仕事でミスをしたとします。
「こんなミスをする自分はダメだ」と考えれば「レッテル貼り」、「また絶対に失敗する」と考えれば「先読み・未来予想」、「仕事は完璧にできなければならない」と考えれば「すべき思考」が関係しているかもしれません。
一つの出来事でも、頭の中では複数の考え方が連続して浮かんでくることがあります。
場面によって出やすいパターンが変わることもある
仕事では「失敗してはいけない」と考える一方で、人間関係では「相手は自分を嫌っているのでは」と考えることもあります。
この場合、仕事では「すべき思考」、人間関係では「心の読みすぎ」が出やすいと考えることができます。
自分の認知パターンを知るときは、パターンの名前だけを見るのではなく、「いつ」「誰といるとき」「どんな出来事があったとき」にその考えが浮かぶのかも一緒に振り返ると、自分の傾向が見えやすくなります。
「なくす」のではなく「気づけるようになる」
考え方のクセは、気づいたからといってすぐになくなるものではありません。
また、すべての認知パターンをなくす必要もありません。
大切なのは、「今、自分は悪い方向へ先読みしているかもしれない」「相手の気持ちを想像だけで決めつけているかもしれない」と、自分の考え方に気づけるようになることです。
気づくことができれば、「ほかの可能性はないだろうか」「事実として分かっていることは何だろう」と考える余地が生まれます。
自分の認知パターンを知ることは、自分を評価するためではなく、いつもの考え方から少し距離を取り、物事を別の角度から見てみるためのヒントになります。
考え方のクセに気づいたらどうすればいい?

認知パターンに気づいたからといって、すぐに考え方を変えなければならないわけではありません。
「また悪く考えてしまった」と責めるよりも、「今、自分はこう考えているんだな」と少し離れて眺めてみることが大切です。
考え方のクセは長い時間をかけて身についたものなので、まずは気づく回数を増やすところから始めてみましょう。
まずは「事実」と「自分の考え」を分けてみる
たとえば、「相手から返信がないから嫌われた」と感じたとします。
このとき事実として分かっているのは、「まだ返信が来ていない」ということだけです。
「嫌われた」は、その出来事を見たときに自分の中に浮かんだ考えです。
事実と考えを分けてみるだけでも、「忙しいのかもしれない」「あとで返信しようと思っているのかもしれない」と、別の可能性を考えやすくなります。
「ほかの見方はないかな?」と考えてみる
最初に浮かんだ考えを無理に否定する必要はありません。
「絶対に失敗する」と思ったなら、「うまくいく可能性は本当にゼロだろうか」。「自分はダメだ」と思ったなら、「できていることは何もないだろうか」と問いかけてみます。
白か黒かで答えを出すのではなく、その間にある可能性を探してみるイメージです。
考え方に少し余白ができると、不安や落ち込みも必要以上に大きくなりにくくなります。
自分だけでは気づきにくいクセもある
考え方のクセは、自分にとって長く「当たり前」になっていることもあります。
そのため、自分では「普通に考えているだけ」と思っていても、同じことで何度も悩んだり、似たような場面でいつも不安になったりすることがあります。
そんなときは、「どんな場面で」「どんな考えが浮かんで」「そのあとどんな気持ちになったのか」を振り返ってみると、自分の認知パターンが見えやすくなります。
大切なのは、考え方を無理に変えることではなく、「自分にはこういう傾向がある」と知ることです。気づけるようになるだけでも、これまでとは少し違う選択肢を持ちやすくなります。
自分の「考え方のクセ」をもう少し整理してみたい方へ

「嫌われたのではないかと考えてしまう」
「失敗すると、全部ダメだったように感じる」
「まだ起きていないことまで悪い方向へ考えてしまう」
12の認知パターンを見て、いくつか思い当たるものがあった方もいるかもしれません。
ただ、自分の考え方のクセは、普段あまりにも自然に浮かんでいるため、自分だけでは気づきにくいこともあります。
認知パターン診断で自分の傾向を整理する
リハートカウンセリングでは、自分がどのような場面で、どんな考え方をしやすいのかを整理するための「認知パターン診断」をご用意しています。
目的は、「あなたはこのタイプ」と決めることではありません。
自分では気づきにくい思考の傾向を知り、
「人間関係では心の読みすぎが出やすい」
「仕事ではすべき思考が強くなりやすい」
「不安になると先読み・未来予想が出てくる」
といった、自分なりのパターンに気づくきっかけとして活用できます。
自分の考え方のクセが分かると、「また同じ考え方になっているかもしれない」と少し立ち止まれるようになり、これまでとは違う見方や選択肢も探しやすくなります。
一人では整理しにくいときは
認知パターンに気づいても、
「どうして自分はこう考えてしまうのだろう」
「頭では分かっているのに、同じことで悩んでしまう」
「考え方を変えようとしても、うまくいかない」
ということもあります。
リハートカウンセリングでは、表面的に考え方を変えることだけを目指すのではなく、その考え方が生まれやすくなった経験や状況も含めて、一緒に整理していきます。
「どの認知パターンが正しいのか」を探すのではなく、自分の中で何が起きているのかを理解し、自分に合った考え方や向き合い方を見つけていくことを大切にしています。
同じことで繰り返し悩んでしまうときや、一人では考えがまとまらないときは、無理に答えを出そうとしなくても大丈夫です。
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自分では気づきにくい「考え方のクセ」を知ってみませんか?
不安になりやすい、悪い方向に考えてしまう、同じことで悩んでしまう。そんなときは、自分の思考の傾向を知ることが整理の第一歩になります。
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